特定技能1号と2号の違いを比較｜建設会社の外国人採用の注意点も解説

建設業界では深刻な人手不足が続いており、その解決策として特定技能制度が注目されています。特定技能には1号と2号があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

本記事では、特定技能1号と2号の違いを詳しく比較し、建設会社が外国人材を採用する際の注意点について解説します。在留期間や家族帯同の可否、求められる技能レベルなど、重要な違いを理解することで、企業の人材戦略立案に役立つ情報を提供しますので、ぜひ参考にしてください。

特定技能1号と2号の基本的な違い

出典：出入国在留管理庁

在留可能期間の比較

特定技能1号の在留期間は、通算で最大5年間と定められています。

一方、特定技能2号は無期限の在留が認められており、長期的な就労が可能です。これにより、特定技能2号の取得者は日本でのキャリアを長期間にわたって築くことができます。

家族帯同の可否

特定技能1号では、家族帯同は認められていません。一方、特定技能2号では、家族帯同が可能です。

特定技能2号を取得することで、労働者は家族と共に日本での生活を送ることができ、安定した生活基盤を築くことができます。

対象となる分野

特定技能1号と2号は、いずれも特定の産業分野における労働力不足を解消することを目的としています。

特定技能1号の対象分野は、下記の16分野にわたります。

出典：出入国在留管理庁

一方、特定技能2号の対象分野は以下の11分野です。これは、令和5年6月9日の閣議決定によるもので、同年8月31日より施行されています。

1. 建設
2. 造船・舶用工業
3. ビルクリーニング
4. 工業製品製造業
5. 自動車整備
6. 航空
7. 宿泊
8. 農業
9. 漁業
10. 飲食料品製造業
11. 外食業

これらの分野では、特定技能2号を持つ外国人が即戦力として活躍することが期待されています。

参考：出入国在留管理庁

特定技能1号の特徴と要件

技能水準と日本語能力

特定技能1号の外国人労働者には、基礎的な技能と日本語能力が求められます。具体的には、特定技能評価試験の合格が必要です。

また、日本語能力については、日本語能力試験（JLPT）N4レベル以上の合格が求められます。これにより、業務を円滑に進めるためのコミュニケーション能力が確保されます。

就労可能期間の制限

特定技能1号の在留期間は、通算で最大5年間と定められています。在留期間は最長で1年ですが、更新を重ねることで最大5年間まで延長可能です。

この期間内に、労働者は企業での実務経験を積み、必要な技能を習得することが期待されています。

転職の自由度

特定技能1号の外国人労働者は、同一分野内での転職が認められています。これにより、労働者はより良い労働条件や職場環境を求めて転職することが可能です。

ただし、転職先の企業も特定技能外国人労働者の受入れに関する要件を満たしている必要があります。

特定技能2号の特徴と要件

高度な技能と管理能力の必要性

特定技能2号は、特定の分野で高度な技能を持ち、管理能力も必要です。具体的には、特定技能1号での経験を積み、さらに特定技能2号評価試験に合格することが求められます。

これにより、現場でのリーダーシップや指導業務を担当できる人材として認められます。

永住権取得への道筋

特定技能2号を取得することで、永住権取得への道が開かれます。特定技能2号の在留期間は無期限であり、一定の条件を満たせば永住権を申請することが可能です。例えば、引き続き10年間の在留実績や安定した収入、法令遵守などが必要となります。

家族帯同の条件

特定技能2号では、家族帯同が認められています。労働者は、配偶者や未成年の子供を日本に呼び寄せ、一緒に生活することができます。これにより、労働者は安心して働ける環境が整い、家族と共に日本での生活を楽しむことができるでしょう。

建設業における特定技能1号と2号の役割

建設分野での業務内容の違い

特定技能1号の労働者は、基礎的な建設作業に従事します。具体的には、特定技能1号の資格を持つ外国人労働者は、主に以下の工事に従事することが可能です。

工事区分	具体的な内容
土木区分	型枠施工／コンクリート圧送／トンネル推進工／建設機械施工／土工／鉄筋施工／とび／海洋土木工／その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業
建築区分	型枠施工／左官／コンクリート圧送／屋根ふき／土木／鉄筋施工／鉄筋継手／内装仕上げ／表装／とび／建築大工／建築板金／吹付ウレタン断熱／その他、建築物の新築、増築、改築若しくは移転、修繕、模様替又は係る作業
ライフライン・設備区分	電気通信／配管／建築板金／保温保冷／その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業

引用：出入国在留管理庁

一方、特定技能2号の労働者は、より高度な技能を持ち、現場の指導や管理業務を担当します。具体的には、プロジェクトの進行管理や技術指導を行うことが多いです。

受入れ人数の制限

特定技能1号の労働者については、企業ごとに受入れ人数の上限が設定されています。これは、日本人労働者とのバランスを考慮し、公平な雇用環境を確保するためです。

一方、特定技能2号の労働者に関しても、受入れ人数の制限がありますが、特定技能1号ほど厳しくはありません。

キャリアパスの可能性

特定技能1号から2号への移行が可能であり、労働者はキャリアアップを図ることができます。特定技能1号で実務経験を積み、特定技能2号評価試験に合格することで、無期限の在留資格を取得できます。

また、特定技能2号を取得すると、家族帯同も可能となり、さらに永住権取得への道が開かれます。

建設会社が外国人材を採用する際の注意点

在留カードの確認と不法就労の防止

建設会社が外国人材を採用する際には、在留カードを確認し、在留資格と就労可能な範囲を確認することが重要です。在留カードの有効期限や在留資格の種類を確認することで、不法就労を防止し、法令を遵守した雇用を実現します。

日本人労働者との待遇の同等性

特定技能外国人労働者には、日本人労働者と同等以上の待遇を提供する必要があります。適正な給与、労働時間、休暇制度を整え、公平な労働環境を確保します。これにより、外国人労働者のモチベーションと生産性が向上し、長期的な雇用関係を築くことが可能です。

支援計画の立案と実施

特定技能外国人労働者を受け入れる際には、支援計画の立案と実施が求められます。支援計画には、日本語学習支援、生活相談窓口の設置、労働環境の整備などが含まれます。これにより、労働者がスムーズに新しい環境に適応し、安心して働けるようになるでしょう。

特定技能制度の今後の展望と課題

制度の拡充と改善の可能性

今後、特定技能制度の対象分野の拡大や、手続きの簡素化が期待されています。また、外国人労働者の支援体制の強化や、労働環境の改善なども検討されています。

これにより、より多くの外国人労働者が日本で働ける環境が整い、労働力不足の解消に寄与するでしょう。

建設業界における人材不足への対応

建設業界では、特定技能制度を通じて即戦力となる外国人労働者を受け入れることで、人材不足への対応を図っています。また、技術の高度化や現場の効率化を図るための研修プログラムの充実が求められています。これにより、建設業界の持続的な発展に期待できるでしょう。

外国人材の長期的なキャリア形成支援

特定技能制度により、外国人労働者が長期的なキャリアを形成するための支援が重要です。特定技能1号から2号への移行や、技術・技能の向上をサポートする研修プログラムの提供が求められます。また、外国人労働者が安心して働けるよう、生活環境の整備や家族帯同の支援も必要です。

特定技能1号から2号への移行プロセス

出典：一社）建設技能人材機構

必要な技能試験と評価方法

特定技能1号から特定技能2号への移行には、特定技能2号評価試験に合格することが必要です。評価試験は、業務内容に応じた高度な技能を確認するための学科試験と実技試験で構成されています。特定技能2号の評価基準は厳しく、現場でのリーダーシップや管理能力も求められます。

実務経験の要件

特定技能2号への移行には、特定分野での実務経験が必要です。具体的には、特定技能1号としての実務経験が3年以上求められます。これにより、労働者は高度な技能を習得し、現場での指導や管理業務を行うための基盤を築くことができます。

申請手続きの流れ

特定技能1号から2号への移行手続きは、以下の流れで行われます。

まず、特定技能2号評価試験に合格し、その後、必要な書類を準備します。書類には、雇用契約書、実務経験証明書、特定技能2号評価試験の合格証明書などが含まれます。

次に、入国管理局で在留資格変更許可申請を行います。申請が承認されることで、特定技能2号の在留資格が付与され、外国人労働者が正式に就労できるようになります。

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