特定技能「建設」の職種とは？外国人の受け入れ方法や注意点も解説

建設業界では深刻な人手不足が続いており、その解決策として特定技能制度が注目されています。特に「建設」分野では、多様な職種で外国人材の受け入れが可能です。

本記事では、特定技能「建設」の具体的な職種や、外国人材の受け入れ方法、そして企業が注意すべきポイントについて詳しく解説します。建設業界で人材確保に課題を抱える企業や、外国人材の活用を検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

特定技能「建設」の概要と背景

建設業界における人材不足の現状

日本の建設業界は、高齢化や若年層の減少により、深刻な人材不足に直面している状況です。特に、熟練した技能を持つ労働者の確保が難しく、建設プロジェクトの進行に支障をきたす企業も増えています。このため、外国人労働者の受け入れが重要な対策として位置づけられています。

特定技能制度導入の目的

特定技能は、即戦力となる外国人労働者を受け入れるために導入された制度です。特定技能制度により、一定の技能を持つ外国人が特定の産業分野で働くことが可能となり、人手不足の解消と経済の活性化を図ることが目的です。

特に建設分野では、技能を持つ外国人労働者の確保が重要視されています。

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号は、基本的な技能を持つ外国人労働者が取得できる在留資格で、在留期間は通算で5年までです。対象業務は、基礎的な建設作業が含まれます。

一方、特定技能2号は、より高度な技能を持つ外国人労働者が取得できる在留資格で、在留期間に制限がなく、家族の帯同も可能です。特定技能2号には、現場の指導や管理業務も含まれます。

特定技能1号「建設」で認められる業務一覧

特定技能1号の資格を持つ外国人労働者は、主に以下の工事に従事することができます。

工事区分	具体的な内容
土木区分	型枠施工／コンクリート圧送／トンネル推進工／建設機械施工／土工／鉄筋施工／とび／海洋土木工／その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業
建築区分	型枠施工／左官／コンクリート圧送／屋根ふき／土木／鉄筋施工／鉄筋継手／内装仕上げ／表装／とび／建築大工／建築板金／吹付ウレタン断熱／その他、建築物の新築、増築、改築若しくは移転、修繕、模様替又は係る作業
ライフライン・設備区分	電気通信／配管／建築板金／保温保冷／その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業

引用：出入国在留管理庁

特定技能「建設」と技能実習制度の違い

出典：一社）建設技能人材機構

在留期間と更新の可能性

特定技能1号は通算で最大5年間の在留が認められますが、更新が必要です。特定技能2号は在留期間に制限がなく、無期限で日本に滞在できます。

一方、技能実習制度の在留期間は最大3年で、条件を満たす場合はさらに2年間延長可能です。いずれも更新手続きが必要です。

職場移動の自由度

特定技能制度では、職場移動が比較的自由です。同一分野内での転職が認められ、労働者が自分に適した職場を選ぶことができます。

一方、技能実習制度では、原則として同じ企業での就労が求められ、職場移動の自由度は低いです。

求められる技能レベルの違い

特定技能1号は、即戦力となる技能を持つ外国人労働者を対象としています。特定技能2号は、さらに高度な技能を持ち、現場の指導や管理業務を行える労働者が対象です。

一方、技能実習制度は、技能を習得するための制度であり、基礎的な技能を学ぶことを目的としています。

建設会社が特定技能外国人を受け入れる際の要件

建設業許可の取得

建設会社が特定技能外国人を受け入れるためには、まず建設業許可を取得する必要があります。建設業許可は、一定規模以上の工事を請け負う際に必要であり、企業の技術力や経営能力を証明するものです。

許可を取得するためには、経営業務の管理能力、専任技術者の配置、財産的基礎などの要件を満たす必要があります。

建設キャリアアップシステムへの加入

建設キャリアアップシステム（CCUS）は、技能者の資格や就業履歴を登録・管理するシステムです。建設会社は、このシステムに加入し、技能者の情報を登録することで、技能者の適正な評価や処遇改善を図ります。

CCUSへの加入は、技能者のキャリアパスの明確化や労働環境の向上に寄与します。

JACへの加入

建設技能人材機構（JAC）は、特定技能外国人の受け入れを支援する団体です。建設会社は、JACの正会員団体に加入するか、賛助会員として加入する必要があります。

JACへの加入により、特定技能外国人の受け入れに関するサポートや情報提供を受けることができます。また、受け入れ負担金の支払いも必要です。

なお、受入れ負担金は、特定技能外国人1人あたり月額12,500円で、年額15万円です。この負担金は、教育訓練や技能評価試験の実施、巡回指導などに使用されます。（令和7年3月現在）

建設特定技能受入計画の認定取得

建設特定技能受入計画は、特定技能外国人を受け入れるための計画書であり、国土交通省の認定が必要です。計画には、雇用契約書や労働条件の説明書、賃金台帳などの書類が含まれます。

認定を受けることで、特定技能外国人の在留資格申請が可能です。計画の認定には、建設業許可やCCUSへの登録、JACへの加入が前提条件となります。

特定技能「建設」外国人の採用方法

技能実習修了者からの採用

特定技能「建設」外国人の採用方法の一つとして、技能実習修了者からの採用があります。技能実習2号を修了した外国人は、特定技能1号への移行が可能です。

技能実習期間中に取得した技能や知識を活かすことで、即戦力として建設現場で活躍してくれるでしょう。また、特定技能試験を免除される場合もあるため、スムーズな採用が可能です。

特定技能試験合格者の直接採用

特定技能試験に合格した外国人労働者を直接採用する方法もあります。特定技能試験は、建設分野における必要な技能を評価する試験であり、試験に合格した外国人は特定技能1号の資格を取得できます。

企業は、特定技能試験に合格した労働者を直接採用することで、即戦力に期待ができるでしょう。

留学生からの採用

留学生からの採用も、特定技能「建設」外国人の採用方法の一つです。日本の教育機関で学びながら、日本語や専門知識を習得した留学生は、特定技能試験に合格することで特定技能1号の資格を取得できます。

留学生を採用することで、言語や文化への適応がスムーズに行え、建設現場における即戦力人材の獲得が可能です。

特定技能外国人の雇用に関する注意点

日本人従業員との同等待遇

特定技能外国人労働者には、日本人従業員と同等の待遇を提供する必要があります。給与や労働条件はもちろん、労働環境や福利厚生についても公平であることが重要です。

これにより、外国人労働者が安心して働ける環境を提供し、モチベーションやパフォーマンスの向上を図ります。

受入れ人数の上限管理

特定技能外国人労働者の受入れ人数には制限があります。具体的には、日本人従業員と特定技能外国人の比率を適切に保つことです。

企業においては、受入れ人数の上限を守り、過度な外国人労働者の集中を防ぐことで、労働環境のバランスを保つことが求められます。

母国語による契約書の交付

特定技能外国人労働者には、母国語による労働契約書を交付する必要があります。これにより、労働条件や権利義務を正確に理解してもらうことが可能です。

契約書は、外国語と日本語の両方で作成し、労働者に交付することが重要です。

国土交通省の調査・指導への協力

企業は、国土交通省や関連機関からの調査や指導に対して協力しなければなりません。適切な労働環境の整備や法令遵守の確認のため、定期的な調査や指導が行われることもあります。そこで企業では、積極的に協力し、法令に基づいた適切な運用を行うことが重要です。

特定技能「建設」のキャリアパスと将来展望

特定技能1号から2号への移行条件

特定技能1号から特定技能2号への移行には、特定技能2号評価試験の合格が必要です。さらに、建設分野で6ヶ月〜3年の実務経験が求められます。

特定技能2号は、特定技能1号よりも高度な技能とリーダーシップが必要で、在留期間に制限がないのが特徴です。

建設業界における外国人材の重要性

日本の建設業界は高齢化や若年層の減少により、深刻な人材不足に直面しています。外国人材の受け入れは、技能や労働力の確保に不可欠であり、建設プロジェクトの円滑な進行に貢献します。

外国人労働者の存在は、業界の持続的な発展に欠かせない要素です。

今後の制度拡充の可能性

特定技能制度は、今後さらに拡充される可能性があります。対象分野の拡大や手続きの簡素化が検討されており、より多くの外国人労働者が日本で働く機会が増えると期待されています。

また、企業側の支援体制の充実や、外国人労働者のキャリアパスの整備が進むことで、労働市場のニーズに応じた柔軟な制度が構築されるでしょう。

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