建設コンサルタントはブラックだからやめとけと言われる理由と実態
建設 働き方やキャリア 転職 建設コンサルタント建設コンサルタントとして働きたい人のなかには「建設コンサルタントはブラックだからやめておいたほうがいい」という話を聞いて不安になっている方も多いのではないでしょうか。そのような意見もあるかもしれませんが、しっかりと優良な企業を見分けることができれば、労働環境が整った状態で、やりがいのある仕事をすることができるので、一概にやめておいたほうがいいとは言えません。
この記事では建設コンサルタントの実情や、ホワイト企業の見分け方について詳しく解説していきます。
建設コンサルタントとは?
建設コンサルタントとは、発注者として道路や水道などのインフラ工事、公共施設や大型商業施設などの工事の計画や調査、設計を行う仕事のことです。街づくり全般にかかわるため、忙しい反面、やりがいのある仕事だと言えます。
建設コンサルタントはやめとけと言われる理由7選
建設コンサルタントの経験がない方に向けて、やめておいたほうがいいと言われる理由を7つにまとめてご紹介します。
1.残業・休日出勤が多いから
建設コンサルタントは大規模な工事や公共事業などを取扱うことがほとんどのため、業務量が多くなりがちです。その上、基本的にどこの会社も業務の一部は外注するほど人手が足りていないため、休日出勤や残業が多くなるのが建設コンサルタントの特徴です。
2.人間関係が大変だから
建設コンサルタントは基本的に工事の発注者として働きますが、工事は依頼されているので、クライアントが存在します。そのため発注した建設会社とクライアントとの板ばさみになり、人間関係の面で大変と感じる方も多いようです。
具体的には、クライアントは現場の実情を知らないことも多く、無茶な要求をしてくることがあり、それを現場に伝えると今度は現場からクレームが入る、などといった問題が多々あるようです。
3.仕事の領域が広く幅広い知識が必要だから
建設コンサルタントは工事の計画や設計、積算や工事会社への工事の発注など、業務が多岐にわたるため、幅広い知識が必要となります。もちろんすべての業務を専門的にこなせるほどの知識は必要ありませんが、工事を包括的に計画、管理するので、特定の分野にだけ知識があってもうまく業務をこなすことはできません。
業務量が多い上に知識も必要なので、業務を通して勉強し続けることが必要になります。考えることが多いのもきついと感じる方が多い理由かもしれません。
4.仕事量の割に給料が安く感じるから
建設コンサルタントと比較されやすい仕事の一つにゼネコンがあります。そちらは部署にもよりますが、建設コンサルタントよりも激務なぶん、平均年収も900万円程度とかなり高い年収となっています。
一方で建設コンサルタントの平均年収は500万円程度と、ゼネコンと比べるとかなりの差があることがわかります。もちろん会社の規模によっても異なりますが、多くの方は働いている割に年収がもらえないと感じているようです。
5.案件規模が大きく責任が重いから
建設コンサルタントは、インフラなど街づくりに関わる公共性の高い工事を担当するので、どれも責任が重いことが多いです。現場の安全性に加えて、工事中の周辺住民や関連会社にも大きな影響を与える工事なので、どの工事も責任重大であることがわかります。
6.案件が同時並行で進むから
建設コンサルタントは多くの工事の工期が長く、一つの案件だけを担当することはあまりないようです。そのため多くの仕事を並行して行う必要があり、仕事に対するストレスも大きくなりやすいようです。
7.常に最先端技術を会得する必要があるから
建設コンサルタントは工事全体の管理、計画を行うので、幅広い知識が必要なだけでなく、それらの知識を常にアップデートし続ける必要があります。こうした知識をインプットするための時間に対しては給料は基本的に支払われません。
業務時間以外にも勉強が必要なことから、やめておいたほうがいいという人がいるのも無理はありません。
建設コンサルタントで働く魅力やメリット
ここまでは建設コンサルタントで働く上での苦労やマイナスな面についてご紹介しましたが、もちろん建設コンサルタントとして働く魅力もたくさんあります。ここからはそのいくつかのメリットについてご紹介します。
社会貢献度が高く成果が目に見える
責任が大きい仕事を行う建設コンサルタントですが、そのぶん公共性も高いので、社会に対する貢献度は他の職業よりも感じやすいと言えます。手がける工事は大規模なものも多いので、完成させた時の達成感は他の職業ではなかなか得られないので、やりがいを感じたい方にとってはおすすめです。
建設業界のなかではホワイトな方
激務であると言われやすい建設コンサルタントではありますが、実は建設業界のなかではホワイトな職業です。大手になると忙しいことが多いものの、会社によってはホワイトなところもあるので、就職・転職の際にはしっかり確認しておきましょう。
海外で活躍することも可能
建設コンサルタントの会社のなかには海外事業に力を入れているところも少なくありません。特に発展途上国ではインフラの整備が急激に進んでいるところもあるため、一からその地域をつくるようなやりがいのある仕事もできます。
国内では道路工事や施設の工事だけで物足りないという方も、海外で道路工事以外にも学校や病院など、街づくりに深く携われることがあるようです。英語のスキルなど求められるものは増えますが、大きなことを成し遂げたい、人の役に立ちたいという方にとってはかなり向いていると言えそうです。
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建設コンサルタントの優良企業の見分け方
建設コンサルタントはブラックなことも少なくありませんが、なかには優良な企業もあるので、その見分け方について紹介していきます。
未経験採用に積極的な企業
建設コンサルタントは即戦力の人材の中途採用をする会社が多い傾向にあります。これは会社自体が教育をできておらず、また、人手が足りていないことが原因となっているので避けたほうが無難でしょう。
逆に未経験の採用に積極的であれば、今すぐ人が必要なほど人手不足なわけではなく、また、教育体制も充実しているので、就職してからも働きやすい傾向にあります。
平均勤続年数が長い企業
平均勤続年数が長い企業は離職する人が少ないので比較的、労働環境がいいと言えます。建設コンサルタントのなかでは平均勤続年数が14年程度あればかなり長いほうですので、人があまり退職することなく、働きやすい傾向にあるでしょう。
逆に会社によっては平均勤続年収が5年程度しかない会社もあるので、就職や転職の際には平均勤続年数もチェックしておきましょう。
女性が働きやすい制度がある企業
女性が働きやすい制度がある会社は、そのぶん労働環境が整っていることが多く、福利厚生が充実しています。たとえば産休や育休の制度が明確にされており、実際に活用されていれば、休みを取っても余裕があり、社員が無理せず働ける企業だと言えるでしょう。
建設DXの推進に積極的な企業
建設業界でも多くの会社がDXを取入れ、積極的に業務の効率化を行っています。DXによって現場に直接、出向くことがなくなったり、図面などをクラウド上で修正できるなど、多くの作業時間を削ることができます。
このようなDXの整備にはもちろんお金がかかりますが、きちんと推進している会社は残業や休日出勤を減らそうという意識があるので、働きやすいと言えるでしょう。
離職率が低い企業
離職率とは一般的には直近1年で会社を退職した人の割合のことを指します。これが低いと退職していく人が少なく、働きやすい会社であると言えるでしょう。
離職率が低いことで組織として働きやすいだけでなく、採用コストや育成コストがかからないので、そのぶんのコストを事業や給料などに回せます。しかし、離職率が低いからと言って一概にいい企業とも言い切れません。仕事に忙殺され、転職を考えるひまもないというブラック企業の場合もあるので注意が必要です。
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建設コンサルタントで活躍するために必要な能力
ここでは建設コンサルタントを目指す方に向けて、仕事で活躍できる能力について解説していきます。
利害関係調整力
クライアントと建設会社の板ばさみにあいやすい建設コンサルタントにとっては、この交渉力が欠かせません。無理な注文をしてくるクライアントと、できるだけ余裕を持って工事を進めたい建設会社の間に立ち、うまく調整して工事を進めていく必要があります。
時には近隣住民や自治体とも上手に関係を作っていく必要があるので、交渉力が重要なポイントとなるでしょう。
新しい知識のキャッチアップ力
建設コンサルタントは幅広い知識と、それをどんどん新しくしてインプットする能力が必要です。建設会社やクライアントからの信頼を獲得するためには常に新しい情報をキャッチし続けて、それらをうまく使って工事を進めていく必要があるので、新しい知識のキャッチアップは必須です。
リスク回避力
建設コンサルタントが取扱う案件は非常に大きな工事が多いので、さまざまな会社や場合によっては国土交通省なども関わってくるものになります。大きな工事を始める場合に、少しでも大ざっぱな計画を立ててしまうと、工事が進んだ時に上手くいかなかったり、設備の安全性に影響が出たりすることがあります。
そのような事態を避けるためには、最初の指針を立てる段階の建設コンサルタントが、施主の要望は満たしつつも、慎重に計画を立てることが必要なので、リスクを好まない人のほうが向いていると言えます。
建設コンサルタントとして働く上で有利な資格
建設コンサルタントになる上で、特に必要な資格はありませんが、持っておくと有利な資格をご紹介します。
技術士
技術士にはさまざまな部門がありますが、そのなかでも建設部門の技術士の資格は建設コンサルタントが持っておくべき資格だと言えます。技術士の資格には一次試験と二次試験があります。
一次試験の受験資格は制限がないので誰でも受けることができ、内容は全部門共通の基礎科目と適正科目に加え、建設部門の専門科目を受験するというものです。この試験に合格し、登録をすることで技術士補を名乗ることができます。
一次試験に対し、二次試験には受験資格があり、一次試験を合格して技術士補として登録し、その上で4年の実務経験が必要です。ただし、技術士補として実務経験がない場合には7年の実務経験が必要なので注意してください。
詳しくは日本技術士会のHPをご覧ください。
RCCM
この資格は世間一般的には認知されていない民間資格ですが、建設コンサルタント業界のなかではかなり有利になる資格です。RCCMは建設業界のなかでも、土木工事業にあたる土木工事関連の専門技術者の資格となっており、業務においては監理技術者か技術士の有資格者の指導の下で直接、業務の管理ができます。
受験するには学歴によって7~11年の実務経験が必要です。詳しくはRCCM資格ホームページをご覧ください。
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建設コンサルタント志望者の事例
ここでは建設コンサルタントを志望する方の事例についてご紹介します。
ゼネコン出身者
ゼネコンから建設コンサルタントを志望する方は、ワークライフバランスを充実させたい方が多いようです。工事の受注側であるゼネコンから工事の発注側に転職することで、労働環境の改善ができ、休日出勤や残業が少なくなるため、転職したいという方が多いようです。
ゼネコンは忙しい時期になると休みがほとんどない場合もある反面、建設コンサルタントであればしっかりと土日の休日がある会社もあるので、そのような休みを増やしたいという動機もあるようです。
官公庁出身者
官公庁などにいた人が民間企業に転職する場合にも、建設業界のなかでは仕事のギャップが少ないという理由から建設コンサルタントが転職先に選ばれやすいようです。取扱う工事は公共事業が多く、それらの計画を行ったり、関係会社に発注したりという点で建設コンサルタントと似ているので、即戦力として働くことができるでしょう。
不動産出身者
民間の事業の施主は不動産会社であることがほとんどなので、建設コンサルタントとの仕事のギャップを感じにくいことから、転職希望先として挙げられやすいようです。また、不動産業界は土日の休みがなく、また、ハードな部分もあるので、そういった理由からも転職したいと考える方が多いようです。
まとめ
今回は「建設コンサルタントはやめておけ」という噂に対して、実際の事情や業務で苦労する部分など、さまざまな面から建設コンサルタントについて解説していきました。基本的に建設コンサルタントは業務量が多く、質も求められる上、業務外でも勉強する必要があることから激務になりがちです。
そのためあまり興味がない方や、会社自体がブラックな場合はやめておいたほうがいいと言えます。しかし、魅力も多い仕事であり、なかにはホワイトな会社もあるので、しっかり吟味して選ぶようにしましょう。
また、建設コンサルタントとして活躍するには技術士の資格はほぼ必須とも言えるので、ぜひ取得を目指しましょう。
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