建設コンサルタントの平均年収は低い？大手企業年収ランキングトップ5を比較【2024年最新版】

インフラ整備や大規模建築を中心に行う建設コンサルタントは、ゼネコンなどの建設業の他業種と比較して働きやすく、そして平均収入が高い傾向にあるのが特徴です。

ただし、建設コンサルタントとして働くには、必要な資格や能力があります。

そこで今回は、建設コンサルタントの平均年収や、平均年収が高い理由、建設コンサルタントの詳しい仕事内容などを解説します。

建設コンサルタントへの転職をお考えの方はもちろん、建設コンサルタントに興味のある方も、ぜひ参考にしてください。

建設コンサルタントとは？役割や仕事内容を解説

建設コンサルタントとは、インフラ設備や大規模建築などの工事を行う際に、工事の発注者であるクライアントに対して、建設に関するさまざまなアドバイスを行う仕事です。

建設コンサルタントの役割

建設コンサルタントの役割は、社会資本整備のなかで、調査・計画・設計・管理などの業務をおこない、事業者の事業執行を支援することです。

建設コンサルタントの仕事内容

建設コンサルタントの主な仕事内容は、以下のように分類できます。

計画業務

計画業務とは、クライアントが予定している工事概要について、実現可能性や問題点を検討し、予算や工期などを策定する仕事です。

調査業務

調査業務とは、工事予定地とその周辺に関する情報を収集し、地盤や環境などのデータを分析する仕事です。

設計業務

設計業務とは、工事の内容や規模に応じて、図面や仕様書などを作成する仕事です。

管理業務

管理業務とは、工事の進捗や品質を監督し、安全やコストなどを管理する仕事です。

上記のような仕事をこなす建設コンサルタントには、道路やダム、港湾や空港など、さまざまな分野の専門知識をもつ必要があります。

また、建設コンサルタントを営む企業は、国土交通省に登録することが義務付けられており、登録部門は21種類あります。

建設コンサルタントになるには、土木系の大学や専門学校を卒業し、建設コンサルタント会社に就職するのが一般的です。

建設コンサルタントの平均年収

建設コンサルタントの平均年収は632万円、中央値は535万円でした。平均年収推移は、420〜650万円となっています。

日本全体の平均年収は436万円、中央値は270〜360万円のため、比較すると建設コンサルタントは平均より年収が高い傾向があることがわかります。

それでは、建設コンサルタントの各種別平均年収を解説していきます。

企業規模別の平均年収

建設コンサルタントは最大手で売上1200億円程の企業があります。どこの業界でもそうですが、企業規模が大きい企業ほど年収が高い傾向にあります。

建設コンサルタントで大手と呼ばれる企業では、平均年収800～840万円ほどで、中小企業だと平均年収650万円ほどとなっています。

年齢別の平均年収

ここでは、年齢別の平均年収を見てみましょう。

1. 20代　400万円
2. 30代　530万円
3. 40代　650万円
4. 50代　750万円

このように年齢が上がるにつれて平均年収が高くなることがわかります。これは、年功序列もありますが、資格の取得・経験を積むことで給与アップが考えられます。

地域別の平均年収

次に、地域別の平均年収を見てみましょう。

1. 北海道・東北　570万円
2. 関東　　　　　700万円
3. 北陸　　　　　600万円
4. 中部　　　　　650万円
5. 近畿　　　　　650万円
6. 中国　　　　　620万円
7. 四国　　　　　580万円
8. 九州　　　　　570万円

このように関東の平均年収がずば抜けて高いことが分かります。また、近畿や中部などの主要都市のある地方は仕事が多いため、給与が高くなる傾向があります。

雇用形態別の平均年収

最後に雇用形態別の平均年収を見てみましょう。

1. 正社員　　　　　650万円
2. 非正規社員　　　550万円
3. フリーランス　　500万円

やはり契約社員や嘱託社員の方々より、正社員の平均年収の方が高いです。これは定年後に嘱託社員となり年収が半分程度になっている社員も含まれるため、このようになっています。

また、フリーランスの平均年収については、1000万円以上稼いでいる方から開業したばかりで売上の立っていない方も含まれるため、一概に平均年収では語ることは難しいのが現実です。

このように雇用形態別で平均年収を並べてもそれぞれ、日本全体の平均年収より大幅に高いことが分かります。

大手建設コンサルタント会社の年収ランキングトップ５を徹底比較

日本国内で大手と呼ばれる建設コンサルタントの平均年収をランキング方式で見てみましょう。

1位：セントラルコンサルタント

出典：セントラルコンサルタントHPより

セントラルコンサルタントの平均年収は約922万円となっており、大手建設コンサルタントの平均年収ではトップです。

セントラルコンサルタントは1967年に設立された会社で、道路、交通、橋梁、河川、上下水道などの分野で調査から計画、設計、維持管理までを行っています。

2位：建設技術研究所

出典：建設技術研究所HPより

建設技術研究所の平均年収は約903万円となっています。

建設技術研究所は1963年に設立された会社で、土木建設事業に関する企画、調査、計画、設計及び事業監理などを行っており、「日本で最初の建設コンサルタント」として知られています。

3位：八千代エンジニヤリング

出典：八千代エンジニヤリングHPより

八千代エンジニヤリングの平均年収は約860万円です。

八千代エンジニヤリングは1963年に設立された会社で、土木、建築、機械、電気設備等に関する計画、調査、設計、評価、施工、工事、事業監理および技術協力などを行っています。

4位：NJS

出典：NSJ HPより

NJSの平均年収は約826万円となっています。

NJSは1951年に創立された会社で、水道、下水道、河川、環境保全などの分野でサービスを提供しています。

5位：大日本ダイヤコンサルタント株式会社

出典：大日本ダイヤコンサルタント株式会社HPより

大日本ダイヤコンサルタント株式会社の平均年収は約772万円です。

大日本ダイヤコンサルタント株式会社は、さまざまなインフラプロジェクトに関するコンサルティングサービスを提供している会社です。

上記の企業は、専門性が高く、公共事業に関連する仕事が多いため、年収が高い傾向にあります。また、大規模なプロジェクトを扱うことが多く、その分、責任も重くなりますが、それに見合った報酬が設定されていることがわかります。

建設コンサルタントの仕事は、社会資本の整備に貢献する重要な役割を担っており、その専門性と責任の大きさが高い年収に反映されていると言えるでしょう。

建設コンサルタントの年収が高い理由5つ

上記のように、建設コンサルタントは他業種と比較して年収が高い傾向にあります。その理由として、

1. 仕事の専門性が高い
2. 公共事業関連の仕事が多い
3. 他業界と比較して残業が多い
4. 転勤・出張が多い
5. ビジネスモデルが確立されているから

の5つが挙げられます。それぞれについて解説していきます。

1.仕事の専門性が高いから

建設業の中でも、発注者の側面を持つなど専門性が高いため、付加価値が伴うことにより、他業種と比べて年収が高い傾向にあります。

2.公共事業関連の仕事が多いから

公共事業関連の案件は、利益はあまり出ないことが多いです。人々の暮らしを豊かにするインフラ事業は利益を追求するものではないからです。建設コンサルタントが受託する業務の大半は公共事業のため利益率は低い傾向にあります。

しかし、利益率は低くても国家の予算振りによって収益は高くなります。またそれに伴い社員の待遇も良くなります。国家の公共工事に対する予算に左右される一方、国土強靭化計画などが進んでいるため、これからも高い給与で安定するでしょう。

3.他業界と比較して残業が多め

公共事業は納期が厳格に決まっているため、天候状況などによりペースが遅れてしまった際には残業が多くなりがちです。残業代などで給与面が上振れする傾向があります。一方で、ゼネコンと比較すると、国と仕事を行っている建設コンサルタントは残業が少ない傾向にあり、決して過酷な労働環境ではありません。

4.転勤・出張が多いから

建設業にとって、転勤・出張はつきものです。会社の規模・方針にもよりますが、基本的に工事現場が全国各地にあるため、それに伴い全国各地への転勤・出張は他業種と比較して多い傾向にあります。そのため手当などがついて他業種よりも平均年収が高い傾向にあります。

5.ビジネスモデルが確立されているから

建設コンサルタントは主に行政からの案件が中心となるビジネスモデルです。行政からの案件に対して設計を行い、施工者であるゼネコンやメーカーに行政が工事を発注する、という仕組みです。

そのため、行政の予算から利益が発生するため、高給かつ安定的に稼げる仕組みになっています。

建設コンサルタントが年収を最大限アップさせるコツ5つ

比較的年収が高い傾向にある建設コンサルタントですが、それ以上に年収を上げる方法があります。

1. 複数資格を取得する
2. 大手建設コンサルタント会社への転職
3. ヘッドハンティングの話を受ける
4. 技術力を高める
5. 正社員以外の雇用形態で働く

が考えられます。それぞれについて見ていきましょう。

1.複数資格を取得する

建設コンサルタントとして働く上で、必須資格はありませんが、技術士とRCCMは業務の幅を広げる為には求められる資格です。資格を持っていると専門知識を有しているという証明になり、年収にも反映されるでしょう。

技術士とは、各技術部門において、国が高い技術的知識と高い技術者倫理を備えていることが認められる資格です。建設コンサルタントで主に求められる部門は「建設」「農業」「水道」などが上げられます。

RCCMとは、シビルコンサルティングマネージャー（Registered Civil Engineering Consulting Manager）の略称で、建設業界29種類の枠において、土木工事業にあたる土木工事関連の専門知識を有するものとして証明される資格となります。

これらの資格は、どちらも難易度が高く取得者数も少ないため、資格をもって経験があれば、年収にも大きく反映される材料となるでしょう。

2.大手建設コンサルタント会社へ転職する

大手で年収の高い建設コンサルタント会社へ転職するという方法があります。

弊社のご転職支援の実例として、売上40億円の地場建設コンサルタントから、大手建設コンサルタントへの転職により、年収650万円から年収800万円と大幅に年収が上がった方がいました。

3.ヘッドハンティングの話を受ける

ヘッドハンティングとは、外部で活躍している優秀な人材を自社に引き入れる人材採用のことを言います。ヘッドハンティングはもともと外資系企業を中心に日本の雇用市場で自社のビジネスに有益な人材を獲得するために行われていました。

しかし現在は、

1. 雇用の流動化
2. 転職活動の認知
3. ビジネスのグローバリゼーション

により、外資系企業に限らず日本企業でも積極的な活用が進んでいます。特に建設業界では、人手不足や資格不足が相まってヘッドハンティングでの転職が当たり前な業界となっています。

今の会社でしっかりと成果を出した上で給与が割に合わないと感じた場合は、ヘッドハンティングを受けると、能力・成果に見合った最大限の給与を得ることが出来るのではないでしょうか。

4.技術力を高める

建設コンサルタントに限らず、建設業界では技術力のある人材が評価を受ける傾向にあります。本業の技術が上がることで給料も比例して上がるのではないでしょうか。

前述の通り、技術が上がっても給料に反映されない場合は、大手への転職などを検討してみましょう。

5.正社員以外の雇用形態も検討する

建設業界でも、正社員以外での雇用形態が珍しくなくなってきました。一生懸命働いても給料に反映されない場合は、フリーランスや派遣にすることで、働いたぶんに対して給料が出る雇用形態に変えるのも、一つの手段です。

ビーバーズは、建設業界に特化した総合人材サービスを手掛ける会社です。正社員のみならず、フリーランスや派遣など様々な働き方をご提案可能ですので、興味のある方は是非一度ご相談ください。

建設コンサルタントは独立も可能

建設コンサルタントは、独立が可能です。しかし、完全に独立して開業するというのは現実的ではありません。

なぜなら、建設コンサルタントは公共工事を中心とする大規模な案件が中心となっているからです。そのため、開業というよりは建設コンサルタントの下請けとしてフリーランスで働くようなイメージとなります。

しかし、建設コンサルタントの下請けはあまり聞くことはないでしょう。その理由は、「公共土木設計業務等標準委託契約約款」などでは「一括再委託」が禁止されているからです。

建設コンサルタント業務は、委託契約であり行政の代理人として高度な技術的判断を行います。それを第三者に委託することは法的に禁止されているのです。

ですが、禁止されているのは、所謂丸投げや技術的判断を伴うことの委託であり、最終的技術判断及び管理・照査を建設コンサルタントが行うことを前提に、図化や検討作業を協力会社に外注することは許容されています。フリーランスとして活動する場合は、そこの業務を担うのです。

建設コンサルタントの独立の仕方・仕事のとり方などについては、こちらの記事で解説しているので、興味のある方はぜひご参照ください。

建設コンサルタントになるための資格

建設コンサルタントになるための資格は、必ずしも必要ではありませんが、仕事に役立つ資格がいくつかあります。

建設コンサルタントになるための代表的な資格には、以下のようなものが挙げられます。

技術士

科学技術に関する専門的な技能を有する国家資格です。技術士になるには、一次試験と二次試験に合格する必要があります。

技術士の試験の合格率は、約10%～20%前後です。

RCCM（シビルコンサルティングマネージャ）

建設事業に関する知識や計画立案能力などを有する民間資格です。実務経験を積んだ後に試験に合格する必要があります。合格率は30%～50%前後です。

土木施工管理技士

土木工事の工程管理や安全管理などを行う国家資格です。1級と2級がありますが、建設コンサルタントは1級を目指すべきです。

1級試験は学科試験と実地試験に分かれており、合格率は15%前後です。

建築士

建物の設計や建築工事の監督を行う国家資格です。1級と2級がありますが、建設コンサルタントは1級を目指すべきです。

1級試験は学科試験と製図試験に分かれており、合格率は20%前後です。

測量士

土地の面積や形状、高低差などの測量作業を行う国家資格です。測量士補という下位の資格を取得した後に、研修を受けることで測量士になることができます。

測量士補の合格率は30%～40%前後です。

以上が、建設コンサルタントの仕事におすすめの資格です。ぜひ参考にしてください。

建設コンサルタントに向いている人の特徴

建設コンサルタントに向いている人の特徴は、以下のようなものが挙げられます。

論理的に問題を解決できる人

建設コンサルタントは、クライアントの課題を見つけ出し、それに対する有効な解決策を編み出すことが求められます。

そのため、冷静かつ客観的に状況を分析し、隠れた課題を見つけ出し、それに対する有効な解決策を編み出すことのできる人が向いています。

常に学び続ける人

建設コンサルタントは、工事や設計に関することはもちろん、政治にも法律にも経済にも詳しくなければなりませんし、前述したような各種資格も取得していかなくてはなりません。

そのため、知識が増えるのが楽しい、長時間の勉強もそれほど苦にならないというタイプの人は、建設コンサルタントに向いています。

大規模工事に魅力を感じる人

建設コンサルタントは、道路やダム、港湾や空港など、さまざまな分野の専門知識をもつ必要があります。

そのため、社会資本整備のなかで、後世に残る大きなことを成し遂げたいという人は、建設コンサルタントにふさわしい人材といえるでしょう。

プレッシャーに強い人

建設コンサルタントは、かなりのハードワークが求められる仕事です。残業時間もかさみがちで、とくに納期直前ともなると、睡眠時間さえろくに取れないなか、絶対に締め切りに間に合わせなければならないという強いプレッシャーを受けながら働かなければなりません。

そのため、心身ともにタフな人でないと務まらない職業といえるでしょう。

体力のある人

建設コンサルタントは、デスクワークの分量は膨大であり、会議や打ち合わせなども頻繁にあります。また、工事予定地を視察するために長距離の移動が入ることもよくありますし、泊りがけの出張になるケースもざらです。

そのため、体力的に無理が効くという点においては、スポーツ経験のある人や体育会出身者などは適性があるかもしれません。

建設コンサルタントの仕事のよくある質問Q&A

Q: 建設コンサルタントになるにはどんな資格が必要ですか？

A: 建設コンサルタントになるには、必ずしも資格は必要ありませんが、技術士やRCCM（シビルコンサルティングマネージャ）などの専門的な資格を持っていると有利です。また、土木施工管理技士や建築士、測量士などの国家資格も役立ちます。

Q: 建設コンサルタントの仕事は激務と聞きましたが、本当ですか？

A: 建設コンサルタントの仕事は、デスクワークだけでなく、現場調査や視察、クライアントとの打ち合わせなども多く、残業時間もかさみがちです。また、公共事業に関わる仕事のため、利益率が低く、多くの案件を請け負わなければならないこともあります。

そのため、激務と言えるでしょう。しかし、激務に見合った年収の高さや将来性にも期待ができます。

Q: 建設コンサルタントの年収はどのくらいですか？

A: 建設コンサルタントの平均年収は約600万円です。ただし、年収は経験や能力、資格、勤務先などによって大きく異なります。

一般的には、大手のコンサルタント会社や上位計画に携わるコンサルタントの方が高い年収を得られる傾向にあります。

Q: 建設コンサルタントに向いている人はどんな人ですか？

A: 建設コンサルタントに向いている人は、論理的に問題を解決できる人、常に学び続ける人、大規模工事に魅力を感じる人、プレッシャーに強い人、体力のある人などが挙げられます。

建設コンサルタントは、クライアントの課題に対して有効な解決策を提案したり、社会資本整備のなかで大きなことを成し遂げたりする仕事です。そのため、専門知識や技能だけでなく、コミュニケーション能力や忍耐力なども必要とされる仕事です。

建設コンサルタントのまとめ

今回は建設コンサルタントの平均年収について解説しました。

建設コンサルタントは専門知識の必要性や国との仕事であるが故の責任の重さがあり、平均年収が高い仕事です。大手のみならず、中小企業でも比較的年収の高い傾向にあります。

そこで、建設コンサルタントに就職・転職をしたいと考えている方は、ぜひ一度ビーバーズにご相談ください。あなたに最適な職場を提供いたします。