品質管理の平均年収はいくら？仕事内容や資格、転職におすすめの業界も解説

品質管理は、製造工程の最後の砦として、自社製品の品質を守る重要な役割を果たす仕事です。そのため、大手メーカーの新卒採用では、たいてい「大卒以上」の学歴が求められ、理系学部出身者が活躍する傾向が強い職種でもあります。

品質管理の平均年収は、約460万円程度で、日本全体の平均年収と比較すると高いのが特徴です。

品質管理の仕事は、新製品の出荷前に問題がないかどうかを確認することから始まり、製品のテストや検査、品質改善の提案など、日々の業務を堅実にこなす能力が求められます。また、品質管理は観察力や発想力、協調性、マネジメント能力などが求められるため、男女間で収入差はほとんど見られないのも注目すべきポイントです。

そこで今回は品質管理の平均年収や仕事内容、必要な資格や転職におすすめの業界について詳しく解説します。品質管理に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

品質管理の仕事内容と重要性

品質管理は、製造業やサービス業において非常に重要な役割を果たす職種です。そこで以下では、品質管理の仕事内容とその重要性について解説します。

品質管理の仕事内容3つ

品質管理には、主に次の3つ重要な業務があります。

1.工程管理業務

工程管理は、工場や生産ラインにおける製造工程を適切な状態に維持・管理する仕事です。

生産計画の立案や生産スケジュールの策定、生産設備の設計、外部の仕入業者との交渉なども含まれます。

「QC（品質）工程表」や「作業標準書」の作成も、工程管理の業務に関連します。

2.品質検証業務

品質検証は、完成品が求められるクオリティに達しているか、不良品がないかをチェックする仕事です。

製品だけでなく、作業工程や設備も含めた生産ライン全体を対象とします。

3.品質改善業務

品質改善は、品質管理におけるさまざまな問題点を指摘・発見し、原因を突き止めて再発防止策を考えたり、製造方法を改良する仕事です。

PDCAサイクル（計画・実施・評価・対策）を用いて品質を高めていきます。

品質管理の重要性と理由5つ

品質管理は、企業イメージと利益を守る重要な役割を果たします。以下は、品質管理の仕事が重要な理由です。

1.製品の信頼性と安全性を確保できるから

品質管理は、製品の設計、製造、出荷、販売の各段階で品質を監視し、高い信頼性と安全性を確保します。

不良品や欠陥品を防ぐことで、消費者に安心感を提供し、企業の評判を高めます。

2.顧客満足度の向上に繋がるから

品質の高い製品は、顧客に満足感をもたらします。

顧客満足度が高まることでリピート購入率が上昇し、新たな顧客を獲得できます。

3.競争力が向上するから

品質の高い製品は、他社との差別化に寄与します。

市場での競争力を高め、ビジネスの成長に繋がります。

4.コストの削減に繋がるから

品質管理は、不良品の発生を最小限に抑えることで、廃棄物や再生産のコストの削減に寄与します。

5.法的規制と規格への適合に寄与するから

品質は法的規制や業界規格に適合している必要があります。

品質管理は、これらの要件を満たすために重要な役割を果たす、重要な仕事です。

品質管理の平均年収はいくら？手取り月収やボーナス、初任給の金額も解説

求人サイト各社のデータをみると、品質管理の給料は年収400万円～500万円前後が実態で、平均すると約460万円となっています。ただし、実際の給料は企業規模によってかなり差があり、小さな企業では平均以下に、大企業では平均以上となるのが一般的です。

また、品質管理はさまざまなメーカーに広く配置されている職種であり、給料事情は業界によっても異なります。おおまかに言えば、非鉄金属や輸送用機械、半導体、電気・電子などのメーカーは平均より給料が高い傾向です。反対に、食品や飲料、化粧品、雑貨などのメーカーは、給料がやや低めとなるケースが目立ちます。

品質管理の手取り月収やボーナスの平均額

次に、品質管理の手取り月収やボーナス事情について解説します。

日本におけるメーカー企業の平均ボーナスは、およそ月給の2ヶ月分（夏冬各1回ずつ）ほどが相場です。一般的な品質管理の年収を460万円と想定すると、月収は約33万円、ボーナスはおよそ64万円と試算されます。

そこから社会保険料や税金などを差し引いた手取り金額は、独身者の場合で月々約26万円、ボーナスが約51万円程度です。この額は、日本人の平均所得とほぼ同じくらいであり、高くも低くもない世間相場並みの水準といえるでしょう。

ただし、上場企業などの大手メーカーでは、月給が高く、ボーナス支給額もおよそ4か月ほど支給されるのが一般的です。その一方で、中小のメーカーではボーナス自体が支給されないケースもあるため、年収で見た場合の「企業間格差」が非常に大きくなっています。

また、品質管理の職に関しては、年功序列型の給与形態が多く、勤務年数が長い方ほど給与が高いのも特徴です。

品質管理の初任給の平均額

品質管理の初任給は、4年制大卒で約20万円、院卒で約22万円前後が相場であり、新卒給与としてはごく一般的な水準です。

また、初任給に関しては、大手企業でも中小企業でもほとんど同じ額であり、スタートラインにおいては規模による差は見受けられません。しかし、勤続年数を重ねるほどに差が開いていくケースがほとんどです。

そこで、給料にこだわりたい場合は社員全体の平均年収に着目し、大手企業などの就職先を選択するのがおすすめです。

品質管理の平均年収の年齢・性別・地域格差について

以下では、品質管理の年収の年齢・性別・地域格差について解説します。

品質管理の平均年収の年齢格差

品質管理の年齢別の平均年収は、以下の表のようになっています。

 

年代	平均年収
20代前半	338万円
20代後半	405万円
30代	460万円
40代以上	556万円

この表からも、品質管理の年収が年功序列で、勤続年数が長いほど年収が上がっていることが伺えます。

品質管理の平均年収の性別格差

品質管理の男女別の平均年収は、次のようになっています。

性別	平均年収
男性	471万円
女性	350万円

この表をみると、品質管理の年収には大きな男女格差があるように見て取れますが、実際には女性の勤続年数が短い（結婚や出産による退職など）によって差が生じているのが現状です。

現代では、働き方改革の影響もあり、男女間の業務の平等化、女性の社会進出が進んでいます。しかし、品質管理については、男女間で収入差はほとんど見られません。これは、品質管理が観察力や発想力、協調性、マネジメント能力などを求めるタイプの仕事であり、女性が活躍しやすいことが影響していると思われます。

ものづくりの第一線でバリバリ活躍したいという女性にとっては、品質管理は非常におすすめできる職種といえるでしょう。

品質管理の平均年収の地域格差

品質管理の仕事の年収は、地域によっても異なります。そこで以下では、地域別の平均年収について解説します。

品質管理の年収は関東（特に東京都）が最も高い水準で、平均年収は約538万円です。一方、最も年収の水準が低い都道府県は島根県で、平均年収は約382万円となっています。東京都と島根県との年収差は約156万円もあることがわかります。

ただし、実際の給料は企業規模や業界によっても異なるため、注意が必要です。特に、中小企業では平均以下の年収である場合が多く、大企業では平均以上になる傾向があります。

また、品質管理はさまざまなメーカーに広く配置されている職種であり、業界によっても平均年収が大きく異なります。

一般的に、非鉄金属や輸送用機械、半導体、電気・電子などのメーカーは平均より給料が高い傾向にありますが、食品や飲料、化粧品、雑貨などのメーカーはやや低めとなるケースが目立ちます。

品質管理の福利厚生の特徴

品質管理の福利厚生の特徴は以下の通りです。

基本的な福利厚生

交通費や残業手当などの基本的な福利厚生が提供されます。一定規模以上の企業では住宅手当なども支給されます。

休暇の取得奨励

各種休暇の取得が奨励されています。

福利厚生と品質管理の関連性

福利厚生を充実させて、製造スタッフが働きやすい環境を整えることも、広くいえば品質管理の一環です。

自社商品の品質管理にこだわっている企業ほど、福利厚生も手厚くなる傾向にあります。

給与体系

品質管理に限りませんが、製造メーカーの技術系職種や生産系職種は、年功序列の傾向が強いのが特徴です。

また、品質管理については男女間で収入差がほとんど見られないこともあり、女性にもおすすめの職種と言えるでしょう。

ただし、上記のような特徴は一般的な傾向であり、具体的な福利厚生は企業ごとに異なります。また、これらの福利厚生は、品質管理の職種に限らず、製造業全般に見られる傾向です。

品質管理の収入アップにつながる資格7選

品質管理には、必須となる資格は原則ありません。ただし、下記のような資格を取得することで、品質管理の知識やスキルを証明できるため、収入アップに繋がる可能性があります。

品質管理に関する資格は、さまざまな分野やレベルに分かれており、それぞれにメリットや難易度があります。

品質管理に必要な資格を取得することで、収入アップ以外にも、次のような効果に期待できるでしょう。

• 品質管理の基礎知識や実践方法を学ぶことができる
• 品質管理の専門家として認められることができる
• 品質管理の仕事に応募しやすくなる
• 品質管理のキャリアアップや転職にも有利となる

品質管理の収入アップにつながる資格の例としては、次の7つが挙げられます。

1.品質管理検定（QC検定）

品質管理検定とは、品質管理の知識や実践方法を問うもので、品質管理で最も一般的な資格です。

品質管理検定には1級から4級までのレベルがあり、それぞれのレベルごとに品質管理に関する知識を証明できます。

2.信頼性技術者資格認定制度（JCRE)

信頼性技術者資格認定制度とは、製品の信頼性に関する知識やスキルを問う認定制度です。この資格は品質管理だけでなく、研究や設計開発、生産技術など、製品の信頼性に関わる全ての部門が対象となるため、さまざまな知識やスキルを証明するのに役立ちます。

3.R-Map実践技術者認定制度

R-Map実践技術者認定制度とは、R-Map（リスクマップ）を使ったリスク評価と、リスクアセスメントのスキルを学んだことを証明できる認定制度です。

この制度は、製品安全リスクマネジメント専門家の育成を目的としています。具体的には、さまざまな製品、システム、装置、部品などに内在する大小のリスクに対して、確実なリスク対策を講じることができる方を「R-Map実践技術者」として資格認定します。

4.ソフトウェア品質技術者資格認定制度（JCSQE）

ソフトウェア品質技術者資格認定制度は、すべてのソフトウェア技術者が品質技術を身につけ、実践することにより、ソフトウェア品質の向上を実現することを目的とする制度です。

5.JSTQBテスト技術者資格認定

JSTQBテスト技術者資格認定とは、エンジニアのテスト技術を向上させ、ソフトウェアの品質を確保することを目的とした認定資格です。この資格は、世界的に通用する国際資格でもあります。

そのため、JSTQB認定テスト技術者資格は、ソフトウェア分野での専門知識とスキルを持つ方々にとって有用なものとなっています。

6.QCサークル指導士資格認定制度

QCサークル指導士資格認定制度とは、製造品質向上のために行う「QCサークル」の指導者を育成する認定制度であり、QCサークルに関する唯一の資格です。

QCサークル指導士は、改善活動のエキスパートとして、企業の改善活動を普及・拡大させる一翼を担っています。

7.マネジメントシステム監査員検定

マネジメントシステム監査員検定とは、ISO内部監査員に対して、そのスキルを見極めるために行う認定制度です。

この制度は、企業や団体で正しくマネジメントシステム監査を教育・指導できる人を「マネジメントシステム監査員」として認定するものです。

品質管理が収入を上げるための方法3つ

品質管理が収入を上げるための方法には、次の3つのような方法が挙げられます。

1. 品質管理のスキルを向上させる
2. 仕事に関連する資格を取得する
3. 転職する

それぞれ解説します。

1.品質管理のスキルを向上させる

品質管理のスキルを向上させることで、より高度な業務を担当し、それに伴い収入も上がる可能性があります。

2.仕事に関連する資格を取得する

品質管理に関連する資格を取得することで、専門性を証明し、より高い給与を得ることが可能です。

3.転職する

年功序列による昇給以外で品質保証が収入を上げるには、転職することがほぼ唯一の方法となります。

これらの方法は、品質管理の業務における収入を上げるための一部の例です。具体的な方法は、個々の状況や目標により異なる場合があるため、気になる方は転職エージェントのキャリアアドバイザーなどに相談するのがおすすめです。

品質管理の転職には転職エージェントの活用がおすすめ

品質管理の転職では、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントを活用することで、次のようなメリットがあります。

専門知識のある転職のプロがサポートしてくれる

転職エージェントは、品質管理の専門知識を持つコンサルタントが多く、求職者のキャリアを深い技術知識に基づいて分析し、適切な企業を紹介してくれます。

非公開求人を紹介してくれる可能性がある

転職エージェントは、一般に公開されていない求人情報を提供できます。これにより、より広範な選択肢から最適な職場を見つけることが可能になります2。

無料で転職サポートを受けられる

転職エージェントは、履歴書・職務経歴書の作成支援、面接対策、転職活動の進行管理など、転職活動全般をサポートします。

効率よく転職活動ができる

転職エージェントを利用することで、自分で求人を探す手間を省き、スピーディに選考に臨むことができます。

現職で働きながら転職活動ができる

転職エージェントを活用することで、在職中の転職活動をスムーズに進めることができます。

また、転職エージェントは、面接日程の調整や入社日の交渉などを代行してくれるため、在職中でも効率的に転職活動を進めることができるでしょう。

さらに、転職エージェントによっては、退職手続きなどのサポートも無料で受けることが可能です。

これらの理由から、品質管理の転職においては、必ず転職エージェントの活用をおすすめします。

品質管理の年収のまとめ

このように、品質管理の仕事は、企業のブランドイメージの向上や顧客満足度に直結する重要な職種の1つで、比較的収入が高く、需要が安定している傾向の強い仕事です。

また、男女差の年収格差が少ないこともあり、今後はより多くの女性の進出が見込まれる職種の1つでもあります。

ただし、品質管理にはさまざまな知識やスキルが求められるため、就職や転職を考える際は、ご自分の持つスキルや資格、適性に合う仕事を見つけるための分析を行い、十分に理解したうえで転職活動を行うことが重要です。

転職エージェントのキャリアコンサルタントのサポートを受けながら就職や転職活動を進められれば、転職に関する悩みを解消できるだけでなく、自己分析やヒアリングを通して自分の向いている仕事に気付けるかもしれません。

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