測量士の仕事はきつい?やめとけと言われる理由や将来性と魅力を徹底解説
測量士 働き方やキャリア 転職測量士とは、土地の位置や形状を正確に測量する仕事です。測量士によって測量されたデータは地図の作成や工事の検証データとして活用されます。
測量士は、仕事内容や難易度、収入などの観点から「やめとけ」と言われることもあるようですが、実際には将来性や魅力の多い仕事の1つです。
それでは、なぜ測量士は「やめとけ」などと言われるのでしょうか?そこには、測量士の仕事ならではの特徴があるからです。
そこで今回は、測量士の仕事はきつい、やめとけと言われる理由だけでなく、将来性や魅力についても徹底解説します。
測量士を目指している人や、測量士として働く中で仕事や年収の悩みを持つ人はぜひ参考にしてください。
測量士はきつい?やめとけと言われる理由6つ
以下では「測量士はやめとけ」と言われる理由について、代表的な6つを解説します。
- 屋外の作業がきついから
- 拘束時間が長くて残業が多いから
- 測量士補の試験の難易度が高いから
- 測量士補から測量士になるのに時間がかかるから
- 女性の測量士が働く環境が整ってないことが多いから
- 常に学び続けないといけないから
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.屋外の作業がきついから
測量士の仕事のほとんどは、野外での作業です。なぜなら、測量する対象が屋外の建物や土地だからです。
暑い夏も寒い冬も毎日外で働く仕事は体力的にかなりきついため、やめとけと言われる原因となっています。
さらに、測量場所によっては、危険な動物がいたり、虫に刺されたりするなど、労働環境が厳しいケースもあります。
2.拘束時間が長くて残業が多いから
測量士は、日本各地の測量を行う仕事です。そのため、毎日測量する場所が異なり、常に移動が付きものです。
会社周辺の測量であればすぐに終わりますが、時には車で数時間以上かかる場所の測量をする場合もあります。
そのため、定時までに時間が終わったとしても、現場から帰宅するまでに時間がかかり、家に着くのが深夜になることもあるでしょう。
このように、仕事の拘束時間が長いことで、業務がきついと感じる方がいるかもしれません。
3.測量士試験の難易度が高いから
測量士として働くためには、測量士試験に合格しなければなりません。測量士試験とは、測量法や測量法施行令に基づいて行われる国家試験です。
建設業界の職種における資格試験の多くは実務経験が必要ですが、測量士試験には受験資格がない点が魅力です。
ただ、試験の難易度は高く、令和5年に実施された測量士試験の合格率は10.3%程度です。つまり、10人が試験を受けても9人が不合格になるほど難しい試験と言えます。
年 | 受験者数(人) | 最終合格者数(人) | 最終合格率 |
令和5年 | 3,667 | 379 | 10.3% |
令和4年 | 3,194 | 460 | 14.4% |
令和3年 | 2,773 | 497 | 17.9% |
令和2年 | 2,276 | 176 | 7.7% |
令和元年 | 3,232 | 479 | 14.8% |
引用:[アガルートアカデミー]
測量士の資格がない状態でも企業で働くことは可能ですが、その場合は年収が下がってしまいます。
測量士として働くには資格が必須となるため、試験に向けて勉強し続ける強い意志が必要です。
4.測量士補から測量士になるのに時間がかかるから
測量士試験に不合格だった人は、測量士補試験に挑戦するのもおすすめです。測量士補試験は測量士試験と比べて合格率が高いため、挑戦しやすい資格といえるでしょう。
測量士試験 | 測量士補試験 | |
令和4年度の合格率 | 14.4% | 44.1% |
ただ、測量士補試験に合格するだけでは、有資格者の測量士として働くことはできません。測量士補試験に合格した後は、2〜3年の実務経験が必要です。
実務経験を積んでいる段階では、測量士補としての給与しかもらえないため、給与面に満足できない人もいることでしょう。
測量士としての年収を得るには、試験の合格や実務経験が必要です。そのため「すぐには稼げないからやめとけ」と言われるのかもしれません。
5.女性の測量士が働く環境が整ってないことが多いから
測量士として働く女性がきついと感じるポイントは、労働環境や設備などが整っていないケースが多いからです。
建設業界は男社会というイメージが強く、徐々に設備の改善はされているものの、まだまだ女性が働くにはきついと感じることも多いでしょう。
例えば、女性用のトイレ・更衣室がなかったり、育休・産休の制度が導入されていなかったりするケースもあります。
さらに、測量士は屋外での仕事が多いため、トイレの不備や体力的な面で、女性には過酷な労働環境ともいえるでしょう。
6.常に学び続けないといけないから
測量士の仕事で使用する機器は、常に進化し続けています。
たとえば、近年建設業界で進められている働き方改革によって、測量する際にドローンを使用するなどの現場が増えています。
引用:[i-Construction~建設現場の生産性革命~参考資料]
このような、最新技術や機器を使用するには、使い方を覚えたり、慣れたりしなければなりません。そのため、測量士は、常に勉強し続ける必要があります。
また、測量士の資格を取得した後も、自分の年収を上げるためには、関連資格の取得も必要です。
このように、学び続ける意欲がない人は、測量士として働くのはきついと感じるかもしれません。
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測量士の仕事内容と種類|外業と内業
以下では、測量士の仕事内容について解説します。
測量士の外業と内業とは?
測量士の仕事は「屋外で機械を使って何かを測っている」というイメージが強いですが、内業と外業2つに分かれています。
外業とは測量士のイメージ通り、屋外で機械を使って対象物を測量する仕事です。一般的には、トータルステーションと呼ばれる機械を使い、日本各地の依頼場所を測定します。
一方、内業とは、外業で測定したデータを使って測量計画を作成したり、製図、測量データの分析をしたりする仕事です。内行は屋内での仕事で、予算管理や機器の調達などの事務作業も仕事の一部となります。
このように、測量士は働く職場によって業務の内容が異なるため、職場ごとの仕事内容を把握しておくことも重要です。
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測量士の職場と待遇の違い
ここからは測量士の仕事内容について、職場による違いを紹介します。
- 測量事務所
- コンサルティング会社
- 公務員
それぞれ詳しくみていきましょう。
測量事務所で働く測量士の仕事
測量士が働く職場として、測量事務所が挙げられます。
測量事務所の行う業務は以下のとおりです。
- 作業計画・測量計画などの立案
- 測量
- 観測したデータを基にした計算作業
- 測量ソフトを利用した図面作成
- 製図
- 書類作成
測量事務所で働く人のほとんどは測量士の資格を取得しています。
つまり、測量事務所で働けば、同じ知識を有する仲間と切磋琢磨しながら業務を進められるということです。
ただし、測量士としての知識が必要になるため、測量士資格が求められます。
測量に関する業務のみの対応で良いため、測量士としてスキルを高めたい人におすすめです。
コンサルティング会社で働く測量士の仕事
建設に関連するコンサルティング会社でも、測量士は働くことが可能です。コンサルティング会社での測量士の業務は、測量だけでなくコンサルティング業務も含まれます。
そのため測量士資格以外にも、RCCMや建築士、施工管理技士などの資格があればより高い年収を狙うことができるでしょう。
コンサルティング会社は年収が高い会社が多いため、自分のスキルを活用しながらより良い条件の会社を目指すのもおすすめです。
公務員で働く測量士の仕事
測量士は公務員として働くことも可能です。公務員の測量士は、測量を「発注する」立場であることがほとんどです。
国や地方公共団体で施設など建設が決まった場合には、まず必要な土地の調査や測量データの収集を行います。
測量士の資格がある場合は、直接測量を行うケースもありますが、ほとんどの場合は測量事務所などに依頼して測量データを集めることが多いでしょう。
測量士としての資格を十分に活かせない点はデメリットといえますが、公務員の安定した給料を確保できるメリットがあります。
自分が仕事おいて何を求めるかをよく考え、公務員を目指してみるのもおすすめです。
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測量士の年収はどのくらい?
ここからは測量士の年収について2つの観点から比較していきます。
- エリアによる年収の変化
- 年齢による年収の変化
それぞれ詳しくみていきましょう。
エリアによる年収の変化
求人ボックスのデータによると、測量士の平均年収はエリアによって異なることが分かりました。
エリアごとの平均年収の違いは以下のとおりです。
エリア | 平均年収 |
北海道・東北 | 410万円 |
甲信越・北陸 | 413万円 |
関東 | 452万円 |
東海 | 438万円 |
関西 | 443万円 |
中国 | 416万円 |
四国 | 403万円 |
九州・沖縄 | 403万円 |
引用:[求人ボックス]
データを見てわかるように、人口の集中している都市部で働く測量士の平均年収が高いことが分かります。
測量士の主な仕事はインフラ整備に必要なデータを集める仕事です。そのため、インフラ整備の需要が高い都市部に仕事が集中する傾向があります。
そこで、測量士の仕事を求める人には、都市部の会社を探すのがおすすめです。
年齢による年収の変化|測量士の平均年収は55〜59歳で最高値
測量士の年齢による年収の変化は以下のとおりです。
引用:[job tag]
上記のグラフから、20代の測量士の平均年収は300〜400万円台であることが分かります。
20代の頃は資格の取得を目指す段階であるため、収入が上がりにくい傾向がみて取れます。ただ、30代から40代にかけては年収が上がっており、55〜59歳の時点では583.29万円となっています。
40代や50代で高年収を狙える点からも、測量士は長く働ける仕事と言えるでしょう。
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測量士として働く魅力とやりがい3つ
ここからは測量士として働く3つの魅力とやりがいを紹介します。
- 将来性のある仕事に関われる
- 全国各地で仕事ができる
- 常に最新技術に携われる
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.測量士は将来性のある仕事に関われる
測量士は将来性のある仕事です。なぜなら、測量士が関わる仕事はインフラ整備であるため、なくなることのない仕事だからです。
また、自分が人々の役に立っていることを感じながら仕事ができる点も、測量士の魅力といえるでしょう。
2.測量士は全国各地で仕事ができる
測量士の測量依頼は全国各地にあります。インフラ整備を目的とした測量であれば、海や山などの郊外で測量することもあるでしょう。
日本各地の測量依頼を請け負う会社であれば、定期的な出張で、さまざまな地域や場所に行くことも可能です。
仕事に従事することはもちろんですが、仕事の後に出張先で現地の食べ物を楽しんだりいつもとは違う生活ができる点は、人によってはメリットと感じるかもしれません。
旅が好きな人や、毎日違う場所で働くことが好きな人にとって、測量士は向いているといえるでしょう。
3.測量士は常に最新技術に携われる
測量士として、データを収集する際に使われる機械は日々進化しています。常に最新技術に触れながら仕事ができる点は、変化を好む人におすすめです。
たとえば、近年では建設業界のIoT化に伴って、測量現場へのドローンの導入がスタートしています。
撮影や遊びとしてではなく、仕事の道具として最新道具を使えることや、常に新しい技術を学べることは、測量士のやりがいと言えるでしょう。
測量士に向いている人の特徴
ここまで測量士のやりがいや仕事の特徴について紹介しました。
これらの情報を踏まえて、測量士に向いている人の特徴をまとめました。
- 計算が好きな人
- 細かい作業が得意な人
- 毎日違う職場で働くことが苦ではない人
- 出張をしながら全国を回るのが好きな人
- 手先が器用な人
- 新しい技術を常に学び続けられる人
測量士は、手先の器用さや計算の正確さなど細かい作業を求められる仕事である一方で、外作業に対応できるかという応用力も求められます。
上記の特徴に多く当てはまる人は、測量士として働くのに向いているかもしれません。
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測量士が年収を上げるためにやるべき3つのこと
「測量士はやめとけ」という意見もありますが、条件の良い会社で働くことができれば、ワークライフバランスの整った働き方をしたり、高い年収を狙うことも可能です。
ここからは、測量士が年収を上げるためにやるべきことを3つ紹介します。
- 測量士のスキルアップに役立つ資格を取得する
- 測量士補から測量士になるために実務経験を積む
- 測量士の条件が良い企業へ転職する
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.測量士のスキルアップに役立つ資格を取得する
測量士として年収を上げたい人は、資格の取得を目指しましょう。
測量士資格を取得した人が、次に挑戦するのにおすすめの資格は以下の3つです。
- 土地家屋調査士
- 技術士(建設部門)
- 地理空間情報専門技術
土地家屋調査士の資格は、不動産登記に必要な土地や家屋に関する調査・測量を行い、登記申請手続きを代理することができる資格です。
測量士として、測量するだけでなく、不動産における書類作成などの手続きができるようになれば、価値が高まります。
地理空間情報専門技術は測量士資格を取得後、実務経験を経て取得する、測量士資格のさらに上にある資格です。
地理空間情報専門技術の資格を取得すれば、国の入札案件などで必要な人材となれるため、規模の大きな企業で重宝される存在になれるでしょう。
2.測量士補から測量士になるために実務経験を積む
測量士として年収を上げるには、測量士試験に合格して測量士として働くのが一番の近道です。
しかし測量士試験の合格率は低く、仕事に着く前に試験合格を目指してしまえば、いつまでも測量士として働けないというデメリットが。
まずは測量士補試験に合格して、実務経験を積んでみるのもおすすめです。
測量士補試験に合格すれば、多くの職場で測量士補として働けるようになります。
実務経験を積みながら必要な知識を得ていく方が、本を読んで学ぶよりも力になり、即戦力として重宝されるでしょう。
3.測量士の条件が良い企業へ転職する
測量士として高い年収を狙う人は、今の会社よりも条件の良い企業への転職を目指しましょう。
スキルがない時点であれば、同じ会社で実務経験を積んだり資格の取得を目指す方がおすすめです。
しかし、一定の実務経験を持っていてかつ資格が十分にあるのに年収の悩みがある人であれば、今の職場が合っていない可能性があります。
自分のスキルに見合った会社にステップアップすれば、自分の可能性も広がり、新しい分社の業務に挑戦できるかもしれません。
転職を目指す人であれば、転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進めてみてください。
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測量士に関するよくある質問Q&A3選
ここからは、測量士に関するよくある質問に答えていきます。
- 測量士は結婚できないって本当?
- 測量士は食いっぱぐれない仕事なの?
- 測量士のホワイト企業を見つける方法は?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Q1.測量士は結婚できないって本当?
A1.測量士は結婚できないといわれるのは、間違いです。
測量士補から測量士になるまでに時間がかかる・測量士補の時の年収が低いことから、「結婚している場合ではない」と考えられているのかもしれません。
実際に測量士として働いていても結婚はできますし、測量士の資格がなくても仕事ができます。
もちろん、測量士の資格を取得して測量士として働けるようになれば、家族を支える大黒柱として安定した働きができます。
「測量士だから結婚できない」と考えるのではなく「家族を支えるために早く一人前の測量士になろう」とモチベーションを上げましょう。
Q2.測量士は食いっぱぐれない仕事なの?
A2.測量士は、測量士の資格を取得すれば、食いっぱぐれない仕事です。
なぜなら、測量を行う事業所には測量士資格のある人材を最低でも1人は配置しなければいけないルールがあるため。
測量士資格があれば、出産や子育てによって一時的に仕事を離れたとしても、復職しやすいという点もメリットです。
未経験者、無資格の人でも測量士として転職することが可能ですが、転職した後はスキルを磨くためにも資格を取得するようにしましょう。
Q3.測量士のホワイト企業を見つける方法は?
A3.測量士はやめとけといわれる理由の中には、拘束時間が長くて残業が多いから、測量士の年収が低いからという働く環境の悪さを挙げていますが、これらの条件は会社を変えるだけで改善できます。
近年は、建設業界全体で働き方改革も積極的に進められているため、残業時間を減らすための対策や、福利厚生を整えている会社が増加しています。
会社の規模が変われば、測量士の平均年収も変わるため、平均年収の高い会社を探すのもおすすめです。
下記のようなホワイト企業であることを外部機関に認められたマークを持つ企業を探すのも良いでしょう。
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測量士はやめとけと言われる理由のまとめ
今回は「測量士はやめとけ」といわれる理由についてや測量士のやりがい、平均年収や年収の上げ方まで詳しく紹介しました。
測量士は測量士資格を取得して条件の良い会社で働ければ、高収入を得ながらやりがいのある仕事に取り組めます。
測量士を目指す人は、資格取得までに時間がかかること、働く職場によって仕事内容が異なることを理解した上で、計画的にキャリアプランを立てることがおすすめです。
測量士として働く中で、もっとスキルアップをしたい、年収を上げたいと考えるのであれば、転職がおすすめです。
自分に合った転職先を見つけられるように、転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進めてみてください。
本記事が参考になれば幸いです。