行政書士はやめとけって本当？年収や資格の難易度、転職事情まで徹底解説

行政書士は、行政書士法に基づく国家資格を持つ専門職で、主に官公署に提出する書類の作成や手続きの代理を行います。行政書士の仕事には、資格保有者にしか従事できない「独占業務」が含まれるため、人気の高い職種の1つと言えるでしょう。

しかし、その一方で「やめとけ」と言われることも少なくありません。なぜなら、資格取得の難易度が高く、合格率も低いため、しっかりとした準備が必要だからです。また、行政書士の資格を取得し、独立・開業した場合に、集客が上手くできないといったケースも散見されます。

ただ、転職市場においても行政書士の資格は一定の評価を受けており、特に法務関連の職種で有利に働くことが多いです。これらの点を踏まえ、行政書士としてのキャリアを考える際には、メリットとデメリットを十分に理解することが重要です。

そこで今回は、行政書士はやめとけと言われる理由や、年収や資格の難易度、転職事情までを徹底解説します。これから行政書士を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

行政書士はやめとけって本当？その理由5つを解説

「行政書士はやめとけ」と言われる理由にはいくつかありますが、必ずしも全ての人に当てはまるわけではありません。

以下では、「行政書士はやめとけ」と言われる主な理由を挙げてみましょう。

1.人数の多いから

行政書士の登録者数は約5万人を超えており、他の士業と比べても多いのが特徴です。そのため、競争が激しく、新規参入者が顧客を確保するのが難しい場合があります。

2.収入が不安定だから

行政書士として独立開業する際には、収入が安定しないリスクがあります。特に初期の段階では顧客を獲得するのが難しく、収入が低いこともあるでしょう。

ただし、集客ができなければ収入が安定しないのは、どの職種でも同じです。

3.試験が難しいから

行政書士試験は合格率が10％前後と難関で、合格するためには多くの勉強時間が必要です。これも、「行政書士はやめとけ」と言われる理由の一つです。

4.業務の多さでストレスがかかるから

行政書士の業務は多岐にわたり、法改正への対応やクライアントとのやり取りなど、ストレスが多いと感じる人もいます。そのため、「行政書士はやめとけ」といわれるケースもあります。

5.独占業務が少ないから

行政書士の独占業務は限られており、他の士業と競合することが多いです。そのため、行政書士のほかの資格も取得する、「ダブルライセンス」で業務に就く方も多いです。

上記のような理由から、「行政書士はやめとけ」と言われることがありますが、逆に言えば、これらの課題を克服できれば成功する可能性が十分にあるということです。

そこで、行政書士としてのキャリアを考える際には、自分の強みや目標をしっかりと見極めることが大切です。

行政書士の平均年収｜本当に稼げないのか？

令和5年度の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、行政書士の平均年収は約551万円となっています。ただし、行政書士の平均年収は働き方や業務内容によって大きく異なります。一般的には、約300万円から600万円の範囲に収まることが多いです。

例えば、企業や行政書士事務所に雇用されている場合の年収は約300万～600万円ほどと言われています。一方、独立して開業している場合は、1000万円以上を稼ぐことも十分可能です。

また、行政書士の収入は手掛ける分野によっても大きく左右されます。例えば、薬局開設許可や産業廃棄物処理業許可申請などの専門性が高い業務を手掛けると、より高い収入が期待できるでしょう。

全体として、行政書士の収入は個人の努力や業務内容、働き方によって大きく変わるため、「稼げない」と一概には言えません。

行政書士資格の難易度と合格率

行政書士資格の難易度は比較的高く、合格率は約10%前後です。具体的には、以下のような特徴があります。

合格率

毎年の合格率は、おおよそ10%前後で推移しており、2023年度の合格率は13.98%でした。

必要な勉強時間

合格までに必要な勉強時間は600～1000時間とされています。

試験科目

試験は「法令科目」と「一般知識」に分かれ、法令科目では基礎法学、憲法、民法、行政法、商法・会社法が出題されます。

行政書士試験は、法律の初学者でも、計画的に学習すれば合格可能な試験です。

行政書士の転職事情｜就職先とキャリアパスも解説

以下では、行政書士の転職事情について、就職先やキャリアパスを解説します。

主な就職（転職）先3つ

行政書士の主な就職先は、次の3つです。

1.法務事務所

行政書士事務所や司法書士事務所などで働くことが一般的です。ここでは、許認可申請や相続手続きなど、幅広い業務を経験できます。

2.弁護士事務所

弁護士のサポート役として働くことが多いです。パラリーガルとして、契約書の作成や法令調査などを行います。

3.一般企業

法務部門やコンプライアンス部門で働くことができます。特に建設会社や運送会社、不動産会社などでは、行政書士の知識が活かされる場面が多いです。

キャリアパス

行政書士のキャリアパスには、主に次の3つがあります。

1.独立開業する

行政書士として独立し、自分の事務所を開業することが可能です。成功すれば高収入も期待できますが、営業力や経営力が求められます。

2.企業内の法務部門に就く

企業の法務部門で働き、契約書の作成や法令遵守の管理を行います。大手企業では年収600～800万円、管理職になると1000万円以上も可能です。

3.企業内のコンプライアンス部門に就く

企業のコンプライアンス部門で、社内規程の整備や法令遵守の教育を担当します。特に規制事業を営む企業では、行政書士の経験が重宝されます。

転職のポイント

行政書士が転職を成功させるには、実務経験を積むことが大切です。例えば、法務やコンプライアンスの実務経験があると、転職市場で有利です。

また、行政書士資格に加えて、公認不正検査士（CFE）や公認内部監査人（CIA）などの資格を取得すると、さらにキャリアの幅が広がります。

このように、行政書士のキャリアは多岐にわたるため、自分の目指す方向性に合わせて選択肢を広げることが重要です。

行政書士のメリットとデメリット

 

行政書士の資格には、いくつかのメリットとデメリットがあります。以下にそれぞれをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。

行政書士のメリット4つ

行政書士の資格を取得するメリットには、主に次の4つが挙げられます。

1. 独立・開業が可能
2. 社会的評価が高い
3. 業務範囲が広い
4. 社労士の受験資格を得られる

それぞれ解説します。

1.独立・開業が可能

行政書士は、独立・開業が可能な職種です。行政書士の資格を取得すれば、自分の事務所を開設し、独立して業務を行うことができます。

例えば、行政書士として独立し、地元の企業や個人の法務手続きをサポートすることで、自分のペースで仕事を進めることが可能です。

このように、行政書士は独立・開業が可能なため、自分のビジネスを築き上げる自由と責任を持つことができます。

2.社会的評価が高い

行政書士は、社会的評価が高い職業です。行政書士は法律に基づいた専門知識を持ち、法務手続きをサポートするため、信頼性と専門性が求められます。

例えば、企業の設立手続きや契約書の作成など、重要な法務業務を担当することで、クライアントからの信頼を得ることが可能です。

このように、行政書士は社会的評価が高いため、クライアントや社会からの信頼を得やすく、安定した仕事を続けることができます。

3.業務範囲が広い

行政書士の業務範囲は、非常に広いのが特徴です。行政書士は、許認可申請、契約書作成、外国人のビザ申請など、多岐にわたる業務を行うことができます。

例えば、建設業の許可申請から、外国人労働者のビザ申請まで、さまざまな分野で活躍することが可能です。

このように、行政書士は業務範囲が広いため、さまざまなクライアントのニーズに対応でき、仕事の幅が広がります。

4.社労士の受験資格を得られる

行政書士の資格を持っていると、社労士の受験資格が得られます。行政書士としての実務経験があると、社労士の受験資格が認められるため、さらなるキャリアアップが可能です。

例えば、行政書士として働きながら社労士の資格を取得できれば、労務管理や社会保険手続きの専門家としても活躍できます。

このように、行政書士が社労士の資格を得ることで、キャリアの幅が広がり、より多くの業務に対応できるようになります。

行政書士のデメリット4つ

一方で、行政書士の資格の取得には、次の4つのデメリットが挙げられます。

1. 試験の難易度が高い
2. 就職・転職には不向き
3. 独立しても安泰ではない
4. 競争が激しい

それぞれ解説します。

1.試験の難易度が高い

行政書士は、難易度が高い試験に合格しなければ取得できない資格です。行政書士試験は、法律に関する広範な知識が求められ、合格率も低いため、合格するのは容易ではありません。

例えば、2023年の行政書士試験の合格率は約10%程度で、多くの受験者が複数回受験することになります。

このように、行政書士試験の難易度が高いため、合格するためには十分な準備と努力が必要であり、長い時間を要するのもデメリットと言えるでしょう。

2.就職・転職には不向き

行政書士の資格は、業務によっては就職や転職にはあまり向いていないケースがあります。なぜなら、行政書士の資格は、基本的に独立開業を前提としているため、企業内でのポジションが限られているからです。

例えば、大企業の法務部門では、弁護士や司法書士の資格が求められることが多く、行政書士の資格だけでは不十分な場合があります。

そこで、行政書士が就職や転職を考える場合には、行政書士の資格だけではなく、他の資格の取得や豊富な経験が重要です。

3.独立しても安泰ではない

行政書士として独立しても、必ずしも安泰ではありません。行政書士は、独立開業後も、顧客の獲得や事務所の運営のために多くの努力と時間が必要です。

例えば、開業初期には顧客が少なく、収入が不安定になることが多いでしょう。また、マーケティングや営業活動も自分で行う必要があります。

このように、行政書士は独立しても安泰ではないため、継続的な努力と戦略が必要です。ただし、これはどの施行や職種でも同じです。

4.競争が激しい

行政書士の業界は競争が激しいです。なぜなら、行政書士の数が増加しているため、顧客の獲得競争が激化しているからです。

例えば、同じ地域に多くの行政書士事務所が存在する場合、価格競争やサービスの差別化が求められます。

このように、競争が激しいため、他の行政書士との差別化や専門性の強化が重要です。そこで、外国語（主に英語）などの力をつけて、外交人労働者の受け入れ手続きなどの業務を増やすのもおすすめです。

行政書士として成功するためのポイント

行政書士として成功するためには、以下の6つに代表される重要なポイントがあります。

1. 専門特化する
2. 集客に注力する
3. 信頼関係を築く
4. 継続的に学習する
5. 複数の収入源を持つ
6. 効果的なマーケティングを行う

それぞれ解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1.専門特化する

行政書士が行政書士として成功するためには、特定の分野に専門特化することが重要です。なぜなら、専門特化することで、その分野における深い知識と経験を持つことができ、他の行政書士との差別化が図れるからです。

例えば、外国人労働者のビザ申請に特化することで、その分野での信頼を築き、依頼が増える可能性があるでしょう。

このように、行政書士が専門特化することで、クライアントからの信頼を得やすくなり、リピーターや紹介の増加に期待ができます。

2.集客に注力する

行政書士が集客に注力することは、事務所の成功に直結します。なぜなら、新規クライアントを獲得することで、収入の安定と事務所の成長が期待できるからです。

例えば、ウェブサイトやSNSを活用して、行政書士のサービスを広く宣伝することが効果的です。

このように、行政書士が効果的な集客戦略を持つことで、安定したクライアント基盤を築くことができるでしょう。

3.信頼関係を築く

行政書士がクライアントとの信頼関係を築くことは、長期的な成功のポイントです。なぜなら、信頼関係があると、クライアントは再度依頼をしてくれる可能性が高くなるからです。

そこで、丁寧な対応や迅速なフィードバックを心がけることで、クライアントの信頼を得られるでしょう。

このように、行政書士が信頼関係を築くことでリピーターや紹介が増え、安定した収入に期待ができます。

4.継続的に学習する

行政書士が継続的に学習することは、専門知識を深めるために不可欠です。なぜなら、法律や規制は常に変化しているため、最新の情報を把握することが重要だからです。

例えば、定期的にセミナーや研修に参加し、新しい知識を習得することが推奨されます。

このように、行政書士が継続的な学習を行うことで、クライアントに最新の情報を提供できる専門家としての信頼を築けるでしょう。

5.複数の収入源を持つ

行政書士が複数の収入源を持つことで、経済的な安定を図ることができます。なぜなら、一つの収入源に依存することはリスクが高いため、複数の収入源を持つことが重要だからです。

例えば、行政書士業務以外にも、セミナー講師や執筆活動などを行うことで、収入源を多様化できます。

このように、行政書士が複数の収入源を持つことで、経済的な安定と事務所の成長に期待ができるでしょう。

6.効果的なマーケティングを行う

行政書士が効果的なマーケティングを行うことで、知名度を上げることができます。なぜなら、マーケティングを通じて、より多くの人にサービスを知ってもらうことができるからです。

例えば、ウェブサイトのSEO対策やSNS広告を活用することで、ターゲット層にリーチすることができます。

このように、行政書士が効果的なマーケティングを行うことで、クライアントの獲得と事務所の成長に期待ができます。

行政書士の将来性と今後の展望

現在、日本の行政書士の数は増加傾向にありますが、人口減少に伴い、顧客数は減少しています。そのため、事務所間の競争が激化し、報酬単価も下落傾向にあります。

また、AIやIT技術の進化により、行政書士の主要業務である許認可申請などの手続きが簡素化・電子化され、自分で手続きを行う人も増えている状況です。

行政書士の将来の展望

上記のような状況でも、行政書士の需要は依然として存在します。特に、新しい法律が施行されるたびに、その法律に関する手続きの代行需要が生まれるため、業務範囲は拡大傾向にあります。また、外国人労働者の増加に伴い、外国人に関する紛争解決や手続きの需要も増えると予想されていることも、行政書士にとっては朗報です。

行政書士が生き残るための戦略

今後、行政書士が生き残るためには、単なる事務作業だけでなく、コンサルティングサービスに注力することが重要です。依頼者の相談をじっくり聞き、適切なアドバイスを提供する能力が求められます。また、他の資格（司法書士やファイナンシャルプランナーなど）とのダブルライセンスを取得することで、業務の幅を広げることも有効です。

また、外国人労働者を受け入れる企業が増加傾向にあるため、英語力を強化しておくこともおすすめです。

「行政書士はやめとけ」と言われる理由のまとめ

このように、「行政書士はやめとけ」と言われる理由はさまざまですが、行政書士が時代の変化に対応し、専門知識を深めることで、十分に仕事や収入を確保できます。

行政書士は、今後も法律のスペシャリストとしての役割を果たしつつ、新しい分野への対応力を高めることが求められる仕事です。

ただ、行政書士で成功するには、ご自身のキャリアプランを明確に描くことが重要です。

そこで、ご自身が目指す業界や職種に特化した転職エージェントに相談して自己分析を行い、ご自身の特徴や強みをしっかりと理解してから就職や転職活動を行いましょう。

信頼のできる転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進められれば、就職や転職に関する悩みを解消できるだけでなく、自己分析やヒアリングを通して、自分の向いている本当の職種に気付けるかもしれません。

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