2級建築士の平均年収を徹底調査!試験概要や年収を上げるコツを解説
設計士2級建築士を目指している人の中で、気になるポイントは「年収」ではないでしょうか。
2級建築士は国家資格として建設業界でも評価が高い資格のひとつ。
資格がある人とない人では年収の額も変わってくるでしょう。
ただ、働く会社や対応する仕事、資格手当などによって2級建築士の中でも年収の額が異なります。
今回は、2級建築士の年収に注目して建築士全体の平均年収の比較や資格によって異なる年収額、年収をより上げるためにやるべき行動を紹介します。
建設業界への転職を検討している人や、2級建築士の取得を目指している人はぜひ参考にしてください。
建築士の平均年収を比較
まずは建築士全体の平均年収を比較していきます。
今回比較する項目は以下の3種類です。
- 建築士と国全体の平均年収
- 年代別の建築士の平均年収
- 企業規模別の建築士の平均年収
それぞれ詳しく見ていきましょう。
建築士と国全体の平均年収の比較
建築士と国全体の平均年収を比較したデータはこちらです。
建築士全体 | 国全体 | |
平均年収 | 620.4万円 | 344万円 |
引用:[令和4年賃金構造基本統計調査],[令和3年分 民間給与実態統計調査]
国全体と比較すると、建築士の平均年収は2倍近く高いことが分かります。
年代別の建築士の平均年収の比較
建築士の年代別の平均年収をまとめました。
年齢 | 平均年収 |
〜19歳 | 275.9万円 |
20〜24歳 | 360.9万円 |
25〜29歳 | 479.4万円 |
30〜34歳 | 599.9万円 |
35〜39歳 | 676.1万円 |
40〜44歳 | 710.9万円 |
45〜49歳 | 726.9万円 |
50〜54歳 | 774.8万円 |
55〜59歳 | 777.4万円 |
60〜4歳 | 600.4万円 |
65〜69歳 | 527.7万円 |
引用:[令和4年賃金構造基本統計調査]
こちらの表をグラフにまとめると以下のとおり。
引用:[jobtag]
グラフ・表から、建築士の年代別の平均年収は、55〜59歳が最も高く、777.4万円という結果になりました。
建築士の仕事はスキルをつけながら徐々にレベルアップしていく仕事です。
資格を取得することでより規模の大きな建設工事に関われるようになります。
体力的にきつい仕事が少ないため、50代まで高年収を狙って活躍し続けられるでしょう。
企業規模別の建築士の平均年収の比較
企業の規模によって建築士の平均年収はどう変化するのでしょうか。
企業規模別の建築士の平均年収は以下のとおりです。
企業の規模(従業員数) | 平均年収 | ボーナス |
10〜99人 | 544.4万円 | 982,500円 |
100〜999人 | 646.3万円 | 1,336,100円 |
1,000人以上 | 721.0万円 | 1,746,400円 |
引用:[令和4年賃金構造基本統計調査]
企業規模別に見ると、1,000人以上の従業員を抱える大企業で働く建築士の平均年収が1番高いことが分かりました。
年収が高くなる左の一つにはボーナスの支給額があります。
10〜99人の従業員を抱える会社と1,000人以上の従業員を抱える会社では、支給されるボーナスの金額が763,900円も異なります。
規模が大きい会社に勤めることで、福利厚生の充実した働き方をしながら高い年収を受け取ることができるでしょう。
2級建築士の資格手当の目安
2級建築士の平均年収は、300万円~700万円前後と勤める会社や対応する業務によって金額が異なります。
年収の差には、会社が支給する資格手当の金額の差も当てはまります。
2級建築士の資格手当の目安は以下のとおりです。
2級建築士の資格手当の相場:5,000円~8,000円
1級建築士の資格手当の相場:10,000円~13,000円
1級建築士との資格手当の相場を比較して分かるように、2級建築士の比較手当はやや低め。
しかし、手当があることで基本給が底上げされ、年収アップが期待できます。
2級建築士で年収を上げたい人は、自社と他社の資格手当の金額を比較してみてください。
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2級建築士の試験概要を詳しく解説
ここからは2級建築士の試験概要や合格率を詳しく解説します。
- 2級建築士の試験概要
- 2級建築士の合格率
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2級建築士の試験概要
2級建築士の試験概要は以下のとおり。
運営機関 | 公益財団法人 建築技術教育普及センター |
試験内容(学科) | 4科目100問
マークシート方式、五肢択一 学科Ⅰ:建築計画(25問) 学科Ⅱ:建築法規(25問) 学科Ⅲ:建築構造(25問) 学科Ⅳ:建築施工(25問) |
試験内容(設計製図) | 事前に課題が発表された内容をもとに建築物の計画、作図を実施する
令和5年度:専用住宅(木造) 令和4年度:保育所 令和3年度:歯科診療所併用住宅 令和2年度:シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい(木造2階建て) |
受験資格 |
|
試験は学科試験と設計製図試験があります。
試験が行われる順番は以下のとおり。
- 設計製図の課題発表
- 学科の試験
- 設計製図の試験
学科試験の内容は過去問を解くことで対策できますが、設計製図試験は課題が発表されてから課題で求められる施設の設計を考える必要があります。
なお、学科試験に合格しなければ設計製図試験に進むことはできません。
まずは学科試験の対策を徹底的に行い、試験を全て受けることができるように準備を進めましょう。
2級建築士の合格率
2級建築士の試験は学科試験と設計製図試験に分かれます。
ここではそれぞれの試験の過去の合格率を表でまとめました。
【学科試験】
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
令和4年度 | 18,893人 | 8,088人 | 42.8% |
令和3年度 | 19,596人 | 8,219人 | 41.9% |
令和2年度 | 18,258人 | 7,565人 | 41.4% |
令和元年度 | 19,389人 | 8,143人 | 42.0% |
平成30年度 | 19,557人 | 7,366人 | 37.7% |
【設計製図試験】
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
令和4年度 | 10,797人 | 5,670人 | 52.5% |
令和3年度 | 11,450人 | 5,559人 | 48.6% |
令和2年度 | 11,253人 | 5,979人 | 53.1% |
令和元年度 | 10,884人 | 5,037人 | 46.3% |
平成30年度 | 10,920人 | 5,997人 | 54.9% |
合格率のデータを見ると、年によって37〜54%と合格率がさまざまです。
学科試験と設計製図試験を比較すると、学科試験の方がやや合格率が低い印象です。
学科試験と設計製図試験の両方に合格しなければ、2級建築士になれません。
バランスを考えながら試験勉強を進めましょう。
2級建築士になればできるようになること
建築士の資格は以下の3種類です。
- 木造建築士
- 2級建築士
- 1級建築士
2級建築士の資格を取得すると、下記の業務ができるようになります。
設計できる建物の素材 | 設計できる建物の大きさ |
鉄筋コンクリート造
鉄骨造 石造 れん瓦造 コンクリートブロック造 無筋コンクリート造 |
面積300平方メートルまで
(高さ13メートルかつ軒の高さ9メートルまでの建物) |
木造
木造もしくは上記以外の構造 |
面積1,000平方メートルまで
(高さ13メートルかつ軒の高さ9メートルまでの建物) |
資格取得前は木造建築の住宅の設計しかできなかった人が、2級建築士の資格があることで、ビルやマンションの設計ができるようになれば、仕事の幅が広がります。
より規模の大きな工事に関われるようになることで、働ける会社の種類も広がるでしょう。
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2級建築士が年収を上げるためにやるべき4つの行動
2級建築士が年収を上げるには、以下の4つの行動を取ることがおすすめです。
- 1級建築士の資格を取得する
- 建築関連の資格を取得する
- 実績を積んで役職を獲得する
- 今よりも条件の良い会社に転職する
それぞれ詳しく解説します。
1級建築士の資格を取得する
1級建築士だけが取り扱うことができる建物の種類は以下のとおりです。
設計できる建物の素材 | 設計できる建物の大きさ |
鉄筋コンクリート造
鉄骨造 石造 れん瓦造 コンクリートブロック造 無筋コンクリート造 |
面積300平方メートル以上
(高さ13メートルかつ軒の高さ9メートル以上の建物) |
木造
木造もしくは上記以外の構造 |
面積1,000平方メートル以上
(高さ13メートルかつ軒の高さ9メートル以上の建物) |
学校
病院 劇場 公会堂 集会場 百貨店 |
面積500平方メートル以上 |
階数が2階以上の建造物 | 面積1000平方メートル以上 |
つまり、1級建築士の資格を取得すると全ての建造物の設計ができるようになります。
さらに、1級建築士を取得した人がさらに数年の実務経験を積むと、以下の2つの資格の受験資格を得ることができます。
構造設計一級建築士:構造部分の設計を行うことができる
設備設計一級建築士:設備の設計が行うことができる
資格を取得すれば、さらに希少価値が高まります。
自分のスキルを上げてどんな会社でも活躍できる建築士になりたい人は、まず1級建築士の資格取得を目指しましょう。
建築関連の資格を取得する
2級建築士が年収を上げる方法は、1級建築士の資格を目指すだけではありません。
資格手当は建築士の資格以外の資格を取得したときにも支給されます。
建築士の仕事に役立つ資格を取得すれば、自分の仕事にも活用できますし、将来的に転職する際も有利に働くかもしれません。
2級建築士が取得すべき資格は以下のとおり。
- 建築施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 宅地建物取引士
- 管理建築士
- インテリアコーディネーター
- カラーコーディネーター
- 福祉住環境コーディネーター
まずはそれぞれの資格が自分の仕事にどう活かせるかを確認し、気になる資格の勉強を始めましょう。
実績を積んで役職を獲得する
今の会社で働き続けたい人で、年収を上げるためには実績を積んで役職を獲得するのがおすすめです。
同じ会社の中で給与の差別化を図るには、役職を任される立場になって役職手当を獲得する方法が効果的だから。
役職を獲得するのは簡単ではないですが、幅広い工事の設計を担当し、実績をつけることで周りと差をつけることができるでしょう。
まずは実績作りをするために、仕事の提案ややってみたい仕事を上司に伝えてみてください。
今よりも条件の良い会社に転職する
年収を上げるために最も効果的な方法の一つは、転職です。
なぜなら今よりも規模の大きな会社に入ることができれば、会社が社員に支払える金額が増えて、もらえる年収の額が変わるから。
資格取得などでスキルアップして、今の会社よりも高いレベルの仕事がしたいと思った人は転職を検討してみてください。
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まとめ
今回は2級建築士の年収について、資格手当の相場や建築士全体の平均年収、2級建築士の試験概要まで詳しく解説しました。
2級建築士は建築士として一定の実力を認められた状態です。
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