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一人親方の確定申告のやり方を解説 必要書類や経費にできる項目まで紹介

一人親方は確定申告しないとヤバい?やり方や必要書類、経費項目まで徹底解説

職人・一人親方

一人親方として事業を営む上で、避けて通れないのが確定申告です。

確定申告をするには帳簿が必要となりますが、事務の仕事に自信がない方もおられるでしょう。

そこで今回は、帳簿の書き方や、確定申告する際の注意点などを徹底解説します。便利なアプリも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者
agent-enomoto
榎本 芽玖キャリアコンサルタント
これまで転職エージェントとして数多くの求職者に携り、即戦力に限らず、建設業界未経験のキャリアサポート実績が顕著。施工管理に限らず、現場事務(書類作成)やCADオペ、職人向けの案件マッチングも得意とする。
目次

一人親方の確定申告とは?

一人親方には、確定申告する義務があります。

確定申告が必要な人は、下記の特徴がある場合の全ての方が対象です。

その年分の所得金額の合計額が、所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人

引用:[No.2020 確定申告|国税庁]

所得控除とは、下記の表で確認できます。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

引用:[No.1199 基礎控除|国税庁]

上記のように、所得控除額の最大は48万円です。

つまり、年間の収入が48万円以上ある方は確定申告が必要ということです。

一人親方の場合は、個人事業主として仕事を請け負っている場合が多く、生活をするために年間48万円以上の収益を上げているはずですので、一人親方は確定申告が必要な人に当てはまります。

一人親方の確定申告の種類やメリットとデメリット

一人親方の確定申告の種類は、青色申告と白色申告の2種類があります。

青色申告とは、複式簿記での記帳や決算書の作成などの条件を満たすと、最大65万円の特別控除や赤字の繰越控除などの税制優遇を受けられる申告方法です。

一方、白色申告とは、単式簿記での記帳や収支内訳書の作成などの簡易な手続きで済む申告方法ですが、特別控除や赤字の繰越控除が受けられないというデメリットがあります。

一人親方は、自分の事業の規模や利益、経理の知識などに応じて、青色申告か白色申告かを選択する必要があります。

青色申告のメリットとデメリット

青色申告とは、一定の条件を満たすと、税金を節約できる特典を受けられる申告方法です。青色申告する場合は、税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

青色申告のメリットは、主に以下の6つがあります。

  1. 最高65万円の青色申告特別控除が受けられる
  2. 赤字が3年間繰り越せる
  3. 家族や親族の給与を経費にできる
  4. 30万円未満の固定資産を一括で経費にできる
  5. 貸倒引当金を計上できる
  6. 現金主義の記帳が可能

青色申告のデメリットは、主に以下の3つです。

  1. 事前に申請を出す必要がある
  2. 複式簿記での記帳が必要
  3. 書類の保存期間が長い

白色申告のメリットとデメリット

白色申告とは、青色申告よりも簡単な税務処理で手続きできるのが特徴です。以下では、白色申告のメリットとデメリットを解説します。

白色申告のメリットは、主に次の2つです。

  1. 事前に申請手続きを行う必要がない
  2. 簡便な帳簿の作成が認められている

白色申告のデメリットは、主に次の3つです。

  1. 特別控除がない
  2. 専従者の給料の全額は経費として計上できない
  3. 基本的には赤字を繰り越せない

一人親方には青色申告がおすすめ

一人親方には青色申告がおすすめな理由には、以下のようなものがあります。

青色申告では、最大65万円の特別控除を受けることができます。これは、所得税や住民税、国民健康保険料などの納税額を減らすことができるメリットです。

また、青色申告では、事業で赤字になった場合に、その赤字額を3年間繰り越すことができます。これは、将来の黒字に対しての納税額を減らすことができる大きなメリットです。

さらに、青色申告では貸倒引当金や減価償却費などの経費計上が認められます。これは、事業に必要な資産の減価や債権の回収不能などのリスクを考慮した経営ができるメリットとなるでしょう。

ただし、青色申告をするには複式簿記での記帳や、税務署への申請などの条件がありますので、注意が必要です。

一人親方が確定申告を行わないことで発生するデメリット

一人親方が確定申告を行わないことで発生するデメリットは下記のとおりです。

  • 税務署からペナルティを受ける
  • 延滞税や無申告加算税などの追加の税金を払う義務が発生する
  • 脱税とみなされた場合は逮捕されるリスクがある
  • 銀行からの融資が受けられなくなる
  • 建設業の許可が取れなくなる

一人親方が企業と仕事をする際、確定申告書の提出を求められる場合もあります。そこで、もし確定申告をしてないと、社会的信用を失い、仕事ができなくなるリスクもあります。

仕事を受注するためにも、なからず確定申告が必要です。

一人親方の確定申告のやり方と手順

ここからは、一人親方の確定申告のやり方を紹介します。

確定申告の手順は、以下のとおりです。

  • 確定申告の準備を整える
  • 所得金額と控除金額、所得税額を計算する
  • 必要書類を記載して税務署に提出する
  • 必要な場合は税金を納付する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

確定申告の準備を整える|青色申告か白色申告か決める

確定申告の期間が始まる前に、確定申告の準備を整えましょう。

具体的にすべきことは、青色申告か白色申告か決めるということです。

はじめて青色申告で確定申告をする場合は、税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければいけません。

開業届を提出したタイミングによって、提出期限が2つに分かれていますので、あらかじめ確認して書類の提出を済ませておきましょう。

所得金額と控除金額、所得税額を計算する

次に、確定申告の書類に記載が必要な、所得金額と控除金額、所得税額を計算します。

それぞれの計算方法は下記のとおりです。

計算方法
所得金額 収入-経費
控除金額 各控除の内容や人によって異なる。

保険料や医療費の控除額は年末に送られてくる書類で確認できる。

所得税額 課税所得金額×所得税の税率ー税額控除額

会計ソフトを利用することで、これらの金額を自動計算することも可能です。

控除が多い人や経費の項目がたくさんある人であれば、計算が面倒になるため、会計ソフトの導入を検討してみましょう。

必要書類を記載して税務署に提出する|e-taxを活用するのもおすすめ

確定申告に必要なデータが揃ったら、必要書類に情報を記載して税務署に提出しましょう。

確定申告の期間は、2月中旬〜3月15日です。

指定の期限までに管轄の税務署に提出できなければ受理されないため、早めに準備しておきましょう。

確定申告の提出は下記の方法で行います。

  • 税務署の窓口で直接提出する
  • 確定申告書を郵送する
  • e-Taxなどを利用して電子申告する

会計ソフトを使用すれば、e-Taxで提出する書類をすぐに作成可能です。

窓口まで行くのが面倒、提出までに時間がない人は、電子申告を利用してみてください。

必要な場合は税金を納付する|還付される場合は待つだけ

確定申告をした時点で、納税が終わっていない人は納税手続きを済ませましょう。

納税期限は、確定申告と同じく翌年2月16日から3月15日までとされています。

納税方法は納付書による直接納税や振替納税など複数の方法があるため、自分の利用しやすい方法を利用してください。

確定申告によって還付金が出る場合は、確定申告書に還付金を振り込む口座情報を記載する必要があります。

確定申告の記載内容の確認から還付金の決定、振り込みまでは時間がかかることもあるため、1ヶ月程度待ちましょう。

一人親方の確定申告で経費にできる項目

ここからは一人親方が確定申告の際に経費にできる項目を紹介します。

租税公課 仕事で利用する物に対する収入印紙や自動車税、固定資産税など
旅費交通費 仕事場までの高速料金や時間極パーキング料金
損害保険料 事務所や工事に係る保険費用
外注費 他の業者や職人に工事を依頼したときの費用
水道光熱費 仕事で使う事務所の水道代や電気代
消耗品費 文房具や書類など、材料以外の備品(10万円未満のもの)の費用
通信費 仕事で利用する電話・Wi-Fi費用など

他にも、仕事で利用する際に使う費用は経費にできます。

どの費用がどの項目に当たるかは、都度調べておくことが重要です。

一点注意すべきなのは、プライベートで利用した旅費や交通費などの費用は経費に含まれないということです。

会社として利用したことが分かるように、領収書を発行しておきましょう。

一人親方が確定申告をする際の注意点3つ

ここからは、一人親方が確定申告をする際の3つの注意点を解説します。

  1. 給与と外注費の使い分けに注意する
  2. 一人親方が所属する組合費は経費にする
  3. 利益を把握するために棚卸し作業を行う

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.給与と外注費の使い分けに注意する

一人親方の確定申告で特に注意すべき内容が、給与と外注費の使い分けです。

給与と外注費のそれぞれの特徴は下記のとおり。

給与 外注費
契約の特徴 雇用契約 請負契約
源泉徴収 あり なし
社会保険 あり なし
消費税の控除 あり なし

複数の会社と取引をする場合、会社との取引によって契約の種類が変わる可能性があります。

また給与と外注費は、自分が人を雇う際にも注意が必要な項目です。

両者の使い分けをしっかり行い、税務署に指摘されないようにしましょう。

2.一人親方が所属する組合費は経費にする

一人親方は建設組合や労働保険組合などの組合に所属することがあります。

一人親方が所属する組合費は経費にしても問題ありません。

経費にする際の科目は下記のとおり。

入会金:支払手数料
組合費:諸会費または租税公課

組合費の科目は、一度決めたら来年以降も同じ科目に入れるようにしましょう。

3.利益を把握するために棚卸し作業を行う

一人親方の確定申告をスムーズに進めるには、棚卸しを行ないましょう。

棚卸しとは、期末(12/31)までに商品等の在庫の数量を確認し、会計上の期末棚卸資産の金額を確定させる作業のことです。

確定申告で申告する成果の範囲は、毎年1月1日から12月31日までの1年間であるため、期末までの利益を把握しておく必要があります。

棚卸しで利用する、売上純利益を出す計算式は下記のとおりです。

売上純利益=売上総額ー(総仕入額ー棚卸資産)

棚卸しをすると、自分の資産を正確に把握できるというメリットもあります。

1年間の仕事の成果を把握するため、節税対策のためにも棚卸しを忘れずに行いましょう。

一人親方の確定申告で準備すべき必要書類を解説


青色申告では最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。

青色申告特別控除を受けるためには、「主要簿」と呼ばれる帳簿を作成しなくてはなりません。

ここでは、代表的な主要簿の種類や、その概要について解説します。

青色申告で控除を受けるのに必要な主要簿

青色申告では最大65万円の青色申告特別控除を受けれます。

青色申告特別控除を受けるためには、「主要簿」と呼ばれる帳簿を作成しなくてはなりません。

主要簿の一つ目は、仕訳帳です。

仕訳帳は、日々のすべての取引を発生順に記録する帳簿です。

仕訳帳は複式簿記で記帳する必要があり、取引を原因と結果の要素に分けて記帳します。

また、複式簿記では左側に「借方」、右側に「貸方」を記帳します。

借方とは現金などの財産が増えたことを示すもので、貸方とは現金などの財産が減ったことを示します。

主要簿の二つ目は、総勘定元帳です。

総勘定元帳とは、仕訳帳の借方と貸方の取引を、売上・現金・仕入高など勘定科目ごとに集計する帳簿です。

勘定科目は損益計算書の収益・費用・貸借対照表の資産・負債・資本の5分類に分かれます。

勘定科目ごとに取引発生の年月日、相手方の勘定科目、金額を記入します。

青色・白色どちらでも必要な補助簿

「補助簿」はより詳細な取引内容の記録をする帳簿のことで主要簿の内容を補足するために作成します。

青色申告・白色申告に関わらず、補助簿は作成をします。

ここからは代表的な補助簿を全部で6つ紹介します。

  1. 現金出納帳
  2. 預金出納帳
  3. 売掛帳
  4. 買掛帳
  5. 経費帳
  6. 固定資産台帳

それぞれ詳しく見ていきましょう。

現金出納帳

1つ目は現金出納帳です。現金出納帳とは、日々の現金の入出金を発生順に記録し、現金の残高を把握するための帳簿です。現金出納帳には主に、

  • 日付:現金の入出金や支払いの日付
  • 摘要:入金・支払いの相手と内容
  • 収入金額:入金額
  • 支払金額:支払額
  • 残高:取引結果の残高額

の5項目を記入します。

預金出納帳

2つ目は預金出納帳です。預金出納帳とは、普通預金や当座預金など、事業用の口座の入出金を記録するための帳簿です。

通帳の印字だけではなんの取引かわからなくなってしまう可能性があるため、預金出納帳に記帳して取引の記録を残します。預金出納帳には主に

  • 日付:取引した日付
  • 勘定科目:入出金の分類分け
  • 摘要:入金・支払いの相手と内容
  • 預入金額:預け入れられた金額
  • 引出金額:引き出された金額
  • 残高:取引の結果の残高

の6項目を記入します。なお、クレジットカードの支払や取引先からの総合振り込みなど、複数の入出金がまとめられた場合は、取引をまとめて一行で記入します。この場合、取引の詳細証明のために、別途明細を補助資料として用意する必要があります。

売掛帳

3つ目は売掛帳です。売掛帳とは、売上に関する取引の内容を発生順に記帳するための帳簿です。

売掛金とは、売上があがっているものの、未入金の金額のことを指します。

売掛帳を記帳すれば、売掛金を回収できていない案件も一目瞭然になるため、取引の状況や資金繰りを把握するためにも重要になります。

売掛帳には主に、

  • 日付:取引した日付
  • 摘要:売上・回収の相手と内容
  • 売上金額:売上額
  • 回収金額:回収した額
  • 残高:取引の結果、売掛の残高

の5項目を記入します。

買掛帳

4つ目は買掛帳です。

買掛帳とは、仕入に関する取引の内容を発生順に記帳するための帳簿のこと。

買掛金は売掛金とは反対で、商品やサービスを購入・仕入したものの、まだ支払っていない金額のことを指します。

帳買掛帳には主に、

  • 日付:取引した日付
  • 摘要:仕入れの相手と内容
  • 仕入金額:購入した金額
  • 支払金額:支払いした金額
  • 残高:取引の結果、買掛の残高

の5項目を記入します。

経費帳

5つ目は経費帳です。

経費帳とは、仕入を含まない経費を記帳する帳簿です。

勘定科目ごとに取引の日付や金額、その内容を記載します。

交通費や文房具、コピー用紙などの消耗品などが気比に含まれます。

経費帳には主に、

  • 日付:購入した日付
  • 摘要:購入した内容の詳細
  • 購入金額:購入時の金額
  • 合計:取引の結果の合計金額

の4項目を記入します。

固定資産台帳

6つ目は固定資産台帳です。

固定資産台帳とは、事業のために使用している減価償却資産を管理するための帳簿です。

減価償却資産は「10万円以上かつ使用期間1年以上の資産」を指し、車やパソコン・建物や備品などが該当します。

減価償却資産は原則として法定の耐用年数で分割して1年毎に経費として計上します。

固定資産台帳では、減価償却資産がいつ購入したものか、現在いくら償却してどれくらい残っているかを管理しています。

固定資産台帳には主に、

  • 資産名:車や建物など
  • 区分:国税庁の耐用年数表に該当する区分名
  • 取得年月日:資産の取得した日付
  • 耐用年数:国税庁の耐用年数表に該当する年数
  • 償却方法:定率法・定額法などの償却方法
  • 償却率:該当年に償却する割合
  • 摘要:資産の内容
  • 取得原価:資産の購入金額
  • 減価償却費:該当年に減価償却する金額
  • 帳簿価額:未償却の残高

の10項目を記入します。

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一人親方の確定申告に必要な帳簿や台帳を作る方法4つ

ここでは、一人親方の確定申告に必要な個帳簿・台帳をつくる手段をまとめました。

具体的には下記の4つの方法があります。

  1. 手書き
  2. 表計算ソフト
  3. 会計ソフト
  4. 税理士に依頼

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.手書きで記帳する

まずは、ノートなどの紙に必要な項目を設け、手書きで記帳する方法です。

メリットとしては、費用をかけずにすぐ始められる点。

一方で、ミスが起きやすく修正が難しいというデメリットもあります。

なお、2022年1月より施行されている電子帳簿保存法に基づき、経理処理を行う場合は手書き以外の方法で売上台帳を作る必要があります。

他にも満たさなくてはならない条件が多々あるため、どうしても手書きでの記帳を進めたい人は税理士などの専門家に相談しましょう。

手書きでの記帳方法は、昔はよく利用していた方法ですが、これから帳簿を作り始める人は次から紹介する方法を利用するのがおすすめです。

2.表計算ソフトを利用して自分で入力する

EXCEL・スプレッドシートなどの表計算ソフトを使って、売上台帳を作成できます。

パソコンの操作が得意な人にとっては、自分が使いやすいようにカスタマイズできる点がメリットです。

また、売上台帳のテンプレートはWeb上で沢山公開されているため、「イチから作るのは大変」と感じる方にも安心です。

3.会計ソフトを利用する

帳簿をつける際には、パソコン用の会計ソフトを利用するのもおすすめです。

代表的な会計ソフトは以下のとおり。

  • やよいの青色申告
  • 会計freee
  • ワクワク財務会計
  • 現金出納帳

会計ソフトを購入したらパソコンにインストールし、領収書や請求書の記載事項を入力するだけで、自動的に帳簿付けができます。

会計ソフトを使うことによって、簿記や会計知識がなくても帳簿をつけることができ、業務効率化に繋がります。

4.税理士に依頼する

自分で帳簿を作成することに自信がない方は、税理士に依頼しましょう。

税理士に依頼すれば、領収書や請求書の管理をはじめ、あとの帳簿付けや確定申告・控除の申請まで代行することが可能です。

費用がかかるというデメリットはありますが、時間がかからず勉強の必要がないというメリットがあります。

最終確認と手続きだけ税理士に代行してもらう、という方法もありますので、活用してみてはいかがでしょうか。

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帳簿のつけ方は複式簿記と単式簿記の2種類


帳簿の付け方には、複式簿記・単式簿記の2種類があり、それぞれ受けられる控除の種類が異なります。

ここでは、複式簿記と単式簿記について帳簿の付け方の特徴をご紹介します。

複式簿記

複式簿記とは、1回の取引を2つの方向から網羅的に記帳する方法です。

取引発生の原因と結果を分解して記録するため、財産の残高や収支を網羅的に記録できます。

青色申告を選択した場合は、複式簿記による記帳が必要です。

青色申告では最大65万円の青色申告特別控除を受けることが出来るため、節税につながるという大きなメリットがあります。

手書きで記帳するのでハードルが高い形式ですが、会計ソフトを使えば簡単に帳簿を作成することができます。

単式簿記

単式簿記とは、一回の取引に対して1つの科目に絞って収支を記録する方法で、複式簿記よりもシンプルでわかりやすいことが特徴です。

ただし、単式簿記で帳簿をつけた場合、最大65万円の青色申告特別控除のうち10万円の控除しか受けられないので、注意しましょう。

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一人親方の帳簿作成の手順

帳簿の作成は、

  1. 領収書や通帳などの記載内容の整理
  2. 取引内容を記帳
  3. 月次で利益・損失を計算

の3ステップに分けられます。それぞれについて具体的に解説していきます。

1.領収書や通帳などの記載内容を整理

まず、領収書や通帳などに記載された取引内容を整理しましょう。

支払い方法によって記入する帳簿が異なるため、現金で支払った領収書と、クレジットカードなど銀行口座を経由して支払った領収書で分類すると良いでしょう。

2.取引内容を記帳

複式簿記の帳簿の場合、仕訳帳に取引内容を日付順で記帳し、それをもとに総勘定元帳にも記帳を行います。

また現金で支払った領収書などの内容は現金出納帳に、銀行口座を経由して支払った領収書などの内容は預金出納帳に記帳します。

売上を記録する売掛帳、仕入れを記録する買掛帳などにも取引内容を記帳していきます。

時間が経つと忘れてしまうので、日々こまめに記帳を行うようにしましょう。

3.月次で利益・損失を計算

総勘定元帳などに記帳した内容を基に収支を計算して、利益や損失を算出します。

確定申告では、この結果を基に所得税などを算出することになります。

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帳簿を作るときの注意点4つ|一人親方が確定申告で困らないための必須項目

帳簿を作成する際にいくつか注意する点があります。

  1. こまめに記帳すること
  2. 売上がない日も記帳すること
  3. 電子帳簿保存法に則した保存を行うこと
  4. 保存期間は必ず守ること

それぞれ詳しく解説していきます。

1.こまめに記帳すること

売上台帳は、毎日もしくは毎週といった日程を決めて定期的に記帳しましょう。

確定申告の期限が近づいてから慌てて着手すると、正確な記帳ができないうえに、ミスが発生しやすくなります。

「毎日就業直後は帳簿付けを行う」や「毎週金曜日の就業後は売上台帳をつける」など自分の中でルールを決めて習慣化すると良いでしょう。

2.売上が無い時も記帳すること

売上がなかった期間も、その事実を帳簿に記録しましょう。

売上帳簿を作成することは先述の通り法律で定められていますが、事業を運営する上でも大切な記録にもなり得ます。

「なぜ、このときは売上がゼロだったのか」を振り返ることで、自分の事業をより発展させるためのヒントが得られるでしょう。

3.電子帳簿保存法に則した保存を行うこと

売上台帳を始めとする各種帳簿は、紙で保存するのが原則です。

手書きの場合はそのまま、パソコンやアプリで作成した場合はプリントアウトして保存しましょう。

なお、電子帳簿保存法の規定に沿って各種帳簿を保存したい場合は、データの保存方法などの条件を守らなくてはなりません。

あらかじめ、税理士などの専門家に相談し、条件を守れるよう設備・体制を整えておきましょう。

4.保存期間は必ず守ること

紙・データのいずれであっても、売上台帳は法律で決められた期間保存しなくてはなりません。

売上台帳の保存期間は、会社法では10年、税法では7年と定められています。

長期間保存できるよう、ファイリングしたり、データのバックアップを取りましょう。

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一人親方の確定申告のまとめ

今回は、一人親方の確定申告のやり方や注意点の紹介から、帳簿の付け方まで経理に関するさまざまな解説をしました。

個人事業主である一人親方は、確定申告のために帳簿を記入することが法律で定められています。

記帳をし忘れてしまったなどで「売上を隠すために記帳していない」と判断された場合、ペナルティが発生し、納付税額の35〜40%の税金を追加で徴収されてしまいます。

帳簿を作成する際は手順や注意点を抑えると同時に、法律に沿ってトラブルが起きないように心がけ、困った場合は税理士などの専門家に相談する事を忘れずに行いましょう。

また、会計ソフトやスマホアプリを使用すると、費用もかからず容易に出来るため、活用してみてはいかがでしょうか。

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