建設コンサルタントはきついって本当?その理由と仕事の魅力5選
建設コンサルタントあなたは建設コンサルタントの仕事内容について詳しく説明できますか?
建設コンサルタントは建設会社と違い、何か目に見えるものを作る仕事ではなく計画や調査、設計や施工、管理などに携わり発注者であるクライアントをサポートする仕事です。
計画から管理まで幅広い業務に関わる仕事のため、建設コンサルタントはワークライフバランスが整っている印象があり働きやすいと感じる人もいれば、キツいと感じる人がいるのが現状です。
将来建設コンサルタントとして働きたいと思う人にとって、仕事の現実や魅力について知ることは重要でしょう。
本記事は建設コンサルタントについて仕事の概要や仕事の魅力、きついと言われる理由や建設コンサルタントになる方法について解説します。
建設コンサルタントとは|仕事の概要や建設業界における役割について
まずは建設コンサルトについて基礎知識をつけていきましょう。ここで紹介するのは下記の2点です。
- 建設コンサルタントの仕事内容
- 建設コンサルタントの建設業界における役割とは
それぞれ詳しくみていきましょう。
建設コンサルタントの仕事内容とは|クライアントの施工全体のプロデュース
建設コンサルタントとは、特定の建造物の建設において計画や調査、設計や施工、管理などに携わり発注者であるクライアントをサポートする仕事です。
建設コンサルタントの携わる仕事の多くは行政から依頼されるインフラの整備が多く、ダムや河川、トンネルや発電所などの建設をサポートします。
建設会社のように建設作業に関わるのではなく、クライアントが建設業者に施工を依頼する前と後、つまり調査や企画、施工計画の作成や建設後の管理などの方法をサポートするため、建築以外にも法律や基準など幅広い知識が必要な仕事です。
建設コンサルタントの建設業界における役割とは|外部の指導者的役割を果たす
建設コンサルタントの建設業界における役割は、外部の指導者的役割です。
下記の図を参考にしましょう。
引用:[株式会社建設技術研究所]
この図を見てわかるように、国のインフラを建設する場合の発注者は国や地方自治体です。建設を発注するため、発注先は建設会社にあたるでしょう。
建設コンサルタントは、発注者である国が建設会社に発注する「工事」以外の分野に関するサポートを受けるために依頼する対象です。
つまり、建設コンサルタントは国からの発注によりインフラを設置する場所の調査や建設物の企画、設計、建設が終わった後の管理までを国に代わってアドバイスするということ。
発注者の代わりに建設に関するプロとしてインフラの建設に携わるため、社会的な貢献度が高く、国を支えるための重要な役割を果たします。
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建設コンサルタントになりたい人必見|仕事の魅力5選
ここからは建設コンサルタントの代表的な5つの魅力を解説します。
- ダイナミックな仕事が多い|国を支えるインフラ整備に携われる
- 社会的意義を感じやすい|人の生活や命を守る仕事
- 建設業の上流工程に携われる|発注者と同じ立場でプロジェクトを進められる
- 資格や経験次第で業界内のどこでも活躍できる|転職に有利
- ワークライフバランスの確保が容易|ゼネコンほど多忙でなく稼げる
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.ダイナミックな仕事が多い|国を支えるインフラ整備に携われる
建設コンサルタントの魅力はダイナミックな仕事が多いという点です。
具体的には、国や自治体から以下のような工事を委託されます。
- ダム
- 河川
- 橋
- 発電所
- 道路
- トンネル
これらの設計や施工に関する企画や調査、アドバイスを行います。モノづくりというカテゴリの中でも大規模でかつ、未来に残るものを作ることができるため、完成した建造物を見た時の達成感は計りしれません。
一般市民の生活の基盤を造る工事を担えるという大きな魅力は、建設コンサルタントならではの魅力といえるでしょう。
2.社会的意義を感じやすい|人の生活や命を守る仕事
建設コンサルタントは、街づくりを依頼される仕事です。
特に日本は災害が多い国のため、災害に備えたインフラを整えることが重要。
建設コンサルタントは災害などを想定した建設計画のサポートを通して生活の基盤を整える仕事に携わるため、自分の仕事で誰かの命や財産を守れる尊い仕事といえるでしょう。
また、建設コンサルタントは自然を壊さずに人間が行きやすい社会を造るという役割もあります。
高度な知識を十分に活かして自然と共存しながら、人間の生活がしやすくなる社会を造る仕事は人間を含めた社会全体のためになる取り組みと考えられ、社会的意義を感じやすいでしょう。
3.建設業の上流工程に携われる|発注者と同じ立場でプロジェクトを進められる
建設コンサルタントの魅力は建設業の上流工程に携われる点です。
主に公共インフラの建設に携わる建設コンサルタントは、「設計・施工分離の原則」により受注した仕事を、総合建設業(ゼネコン)に依頼をします。
ゼネコンのように工事を請け負う立場ではなく発注者と同じく発注者側、つまり上流工程に携わりプロジェクトを進めていくことが可能です。
ただ、施工管理に関する場面では下流工程に携わることもあり、上流から下流まで全ての工程をバランスよく対応できる点は他にない魅力です。
上流工程では事業全体の枠組みを決めるような立場で働くことができ、事業を作り上げている感覚を肌で感じながら働けるでしょう。
4.資格や経験次第で業界内のどこでも活躍できる|転職に有利
建設コンサルタントとして働く上で、絶対に必要な資格はありません。
しかし資格を持っていると専門知識を有している証明になり、業界で優遇されることがあります。
建設コンサルタントとして非常に重要な資格が技術士とRCCMです。
技術士とは、各技術部門において、国が高い技術的知識と高い技術者倫理を備えていることが認められる資格です。
RCCMとは、シビルコンサルティングマネージャーの略称で、建設業界29種類の枠において、土木工事業にあたる土木工事関連の専門知識を有するものとして証明される資格となります。
この2つの資格はどちらも難易度が高く取得者数も少ないため、資格を取得すれば建設コンサルタントだけではなく、ゼネコンや専門工事会社からも求められる人材になれるでしょう。
転職時に有利に働くことも多いため、建設コンサルタントとしての自分の価値を上げたい人はぜひ資格取得を目指しましょう、
5.ワークライフバランスの確保が容易|ゼネコンほど多忙でなく稼げる
建設コンサルタントはゼネコンと比較されることが多いです。
なぜなら大手ゼネコンは業務内容に建設コンサルタントの仕事を含んでいることが多く、給与が高い業種として両者が挙げられるため。
ゼネコンと違い建設コンサルタントはプライベートの時間が取りやすくワークライフバランスの確保が容易である、という魅力があります。
同じ年収800万だとしても、ゼネコンと建設コンサルタントでは残業時間にかなり差があります。
両者の残業時間を比べると以下のとおりです。
建設コンサルタント | 29.6時間 |
ゼネコン勤務の施工管理 | 61.2時間 |
引用:[平成30年度建設コンサルタント白書],[セカコンプラス]
ゼネコン勤務の施工管理の残業時間は、建設コンサルタントの倍以上だということが分かります。
残業時間が少なければ、帰宅後に自分の時間を過ごすことができ、ワークライフバランスが整います。
ワークライフバランスを重視したい人であれば、ゼネコンよりも建設コンサルタントを選ぶと良いでしょう。
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建設コンサルタントがきついと言われる5つの理由
建設コンサルタントは魅力が多い一方で、会社によってはきついと感じてしまうことがあるようです。
- ノルマを設定されることがある|期間内で作業を完了させることが難しい
- 資格取得など常に勉強が必要|学び続けて差をつけることが大切
- 税金が投じられており責任が重い|責任感・緊張感が求められる仕事
- 見習い期間がきつい|一人前になるまで5年〜10年かかる
- 発注者とゼネコンの間に挟まれる|板挟みに耐えながら業務を遂行する
それぞれ詳しく説明します。
1.ノルマを設定されることがある|期間内で作業を完了させることが難しい
建設コンサルタントの主なクライアントは、国や地方自治体です。安定性や信頼度が高い反面、予算や納期が予め厳格に定められています。
また、建設コンサルタントは、関係する組織や周辺住民らの要望を聞きつつ法令も遵守し、計画から引き渡しまで滞りなく業務が遂行されるようにすべての工程を管理しなければなりません。
そのうえで利益の確保も求められます。発注先や関係者からの意向で、設計や施工方法の変更を急に指示されることも多く、そのたびに限られた時間の中で様々な作業に追われることになります。
期間内に作業を完了させる難しさや、予算内での工事を遂行するための手間を考えると業務が多忙できついという印象がついてしまうのかもしれません。
2.資格取得など常に勉強が必要|学び続けて差をつけることが大切
建設コンサルタントになるために必要な資格はありません。
ただ建設コンサルタントは、実務経験を積みながら様々な資格や知識を習得すること求められます。
技術士・RCCMや土木施工管理などの資格を取得すれば、他者との差別化ができるようになり、対応できる業務の幅が広がります。さらに法律や基準についての知識を習得すれば企画や設計時に役立つでしょう。
このように自分の努力次第で自分の可能性を広げられる点はメリットと考えられるかもしれませんが、常に努力をし続けなければ仕事を失う可能性もある点はデメリットと考える人がいるかもしれません。
3.税金が投じられており責任が重い|責任感・緊張感が求められる仕事
建設コンサルタントのメインの仕事は国から依頼される大規模なインフラ工事です。国からの依頼ということは、工事には税金が投じられています。
国民の税金が投じられた公共事業は、他の仕事よりも一段と責任感・緊張感が求められるため、きついと感じる人も多くいます。
また、大規模なインフラ工事を扱うため事故はつきものです。
少しのミスが大事故に繋がる可能性があり、現場に関わる人には精神的に負荷のかかる仕事といえるでしょう。
4.見習い期間がきつい|一人前になるまで5年〜10年かかる
建設コンサルタントは、担当者がコンサルタント業務を遂行し発注者の依頼の成果物を作成するだけではなく、技術営業や提案書、業務計画や実行予算計画、予実の分析・管理と幅広い業務が求められます。
また、同時進行で所定の利益達成も必要なため、建設コンサルタントの業務は建設業務だけではなく、提案力や業務管理能力、経営能力までが仕事の範囲にあたります。
そのため、一人で一通り業務を回せるようになるためには、5年から10年ほどの長い期間が必要です。
業務を学びつつ実務経験を積み、さらには様々な資格取得も求められるため、見習い期間がきついと感じることも多いようです。
5.発注者とゼネコンの間に挟まれる|板挟みに耐えながら業務を遂行する
建設コンサルタントはインフラ整備をメインで扱う仕事です。
しかし公共インフラの建設では、設計事業者と施工事業者が別でなければならないという「設計・施工分離の原則」があります。
原則を守るために建設コンサルタントが調査・設計などを行い、施工管理の業務は総合建設業(ゼネコン)が行います。
つまり建設コンサルタントは発注者から受注した仕事を、ゼネコンに回すため場合によっては板挟みのような構造になります。
両者の意見の間で上手く案件を回すことが求められるため、コミュニケーション力が必須で負荷のかかる業務といえるでしょう。
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建設コンサルタントに向いている人の特徴3選
建設コンサルタントの魅力やきつい部分を把握したところで、依然として建設コンサルタントに興味を持つ人は、適性を把握することもおすすめです。
ここからは建設コンサルタントに向いている人について紹介します。
- 専門性を高めることが好きな人
- 完全週休2日制にこだわって働きたい人
- 体育会系のゼネコンが合わない人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.専門性を高めることが好きな人
建設コンサルタントは、様々な形で建設業界に関わります。
計画や調査であれば、図面や地形データを分析し企画構成や建設計画を立てる研究員のような役割を担当し、設計や施工に関われば設計士のように図面の作成をし、施工管理のように工程管理を担当することもあります。
建設業全体の知識が必要で、かつ常に知識を収集し続けなければいけません。
専門性を高めることが好きな人は、学び続ける姿勢を大切にしながら建設コンサルタントとして活躍できるでしょう。
2.完全週休2日制にこだわって働きたい人
建設コンサルタントの職場環境はワークライフバランスの整った環境といえます。
国と仕事をすることが多い為、土日の休みが確保されていることが多く、受注者側のゼネコンなどと比較すると発注者側でもある建設コンサルタントは、比較的残業も少なく完全週休2日が守られやすい業種といえます。
全体的に建設業界は残業の多い業界ともいわれますが、その中でもワークライフバランスの充実や完全週休2日制を求める人は、建設コンサルタントに向いているでしょう。
3.体育会系のゼネコンが合わない人
建設コンサルタントは発注者である国との取引が多いため、建設業界でよく言われる「体育会系」の雰囲気が少ない業種です。
建設に携わる大工や左官、とび職で働く人の中には昔からの職人気質が強い人も多く、体育会系の雰囲気があるといわれているのかもしれません。
「建設業界=体育会系」というイメージで建設業界で働くことを諦めている人は、建設コンサルタントがおすすめです。
ただ幅広い業務に携わることが多い点から、体力がある人の方が向いているということもあらかじめ理解しておきましょう。
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建設コンサルタントの将来は明るい|将来性がある理由3選
建設業界は、建物や道などがなくならない限り仕事は絶えずあります。
その中でも建設コンサルタントの将来性は明るく、将来は業務の効率化や専門性の強化によって需要が高まるでしょう。
建設コンサルタントが将来性のある仕事だといわれる理由には以下の3つが挙げられます。
- インフラを守る仕事だから
- 国土強靭化計画があるから
- DX化やIoT化の推進がされているから
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.インフラを守る仕事だから|人間が生きていく上で必須の存在を作る仕事
建設コンサルタントの最大の仕事は、インフラ整備です。現代社会においてインフラ工事は必要不可欠といえるでしょう。
ダムや河川、橋、発電所、道路、トンネル、空港、鉄道、港、防波堤、街、上水道、上下水道、送電線、と非常に多岐にわたるインフラ全般は、人間が生きていく上で必須の存在です。
今後もインフラの需要が高まることはもちろん、インフラの設置がいらなくなることはありません。
つまり、インフラの設置に関わる建設コンサルタントは今後も継続的な需要が確保されていると考えられます。
たとえ新規のインフラ設置が無くなったとしても、災害などが起きた際には復旧が必要です。
日本は現在、30年ほど前に作られたインフラのリニューアル工事などたくさんの仕事が増えているため、今後も新規建設から修繕まで工事が継続的に実施されるでしょう。
2.国土強靭化計画があるから|災害に備えてさらに需要が高まる
国土強靭化計画によって、建設コンサルタントの将来は明るいです。
国土強靭化計画とは内閣府が中心となって行う「すすめよう災害に強い国つくり」をモットーに掲げられている国の政策です。ソフトからハードまで家庭から自治体までが様々な形で災害対策を常日頃行っていきます。
その中で、建設コンサルタントが大きく関わってくるのが「道路ネットワーク等のインフラ整備」です。
計画によると、今後日本の道路は全国的に災害に強くなるように再開発されます。日本にある道路の安全性の点検や修理を長期間かけて管理していくため、建設コンサルタントの仕事がなくなることはないでしょう。
3.DX化やIoT化の推進がされているから|建設業界のIoT化の前線として活躍するから
建設業界では、IoT化による作業効率の向上を目指した取り組みを国が積極的に行っています。
国土交通省のデータによると、全ての建設生産プロセスでICT等を活用するi-Constructionという事業をを推進し、建設現場の生産性を2025年度までに2割向上することを目標としています。
一般的にITの導入が遅れている傾向にある建設業界ですが、建設コンサルタントはその中で先頭に立ってDX化やIoT化が積極的に進められています。
例としては、BIMやCIMといったソフトウェアの導入やドローンを使った特許技術の活用た取得データの統一やクラウド共有などです。
設計ツールの導入による図面作成作業の削減やデータの共有による社内でのデータ管理を統一させれば、建設業界で深刻化していた残業時間の削減やワークライフバランスの調整が可能になります。
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建設コンサルタントになるには?|転職エージェントを活用して気になる企業を見つける
この記事を読んで、建設コンサルタントに興味を持つ人がいるかもしれません。
建設コンサルタントを目指す場合は、自分の条件を把握してできるだけ多くの情報を確保し、幅広い選択肢から自分に合った企業を探すことが大切です。
特にゼネコンで土木設計に携わっていた人であれば、建設コンサルタントとして即戦力として活躍できます。
また設計経験に加えて技術士やRCCMの資格を取得するれば、建設コンサルタントへの転職も夢ではないでしょう。
建設コンサルタントに就きたいと考えている方は、まずは転職エージェントへ相談するのがおすすめです。
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まとめ
今回は建設コンサルタントの概要や役割、魅力やきつい点、向いている人の特徴についてまとめました。
建設コンサルタントはきついと感じる側面もありますが、建設業の中では比較的働きやすい労働環境だといえます。
建設コンサルタントの業務の幅は広く、常に勉強し続けて価値を高めることが大切です。
建設業の中でも、発注者側に立ってアドバイスを行う立場である業務は、他にはない社会的責任を感じられ、モチベーションの高い仕事です。
建設コンサルタントの仕事を探したい人は、転職エージェントに相談してみましょう。
会社によって扱う案件や取り組む事業内容は異なり、自分に合った会社を見つけることが大切です。
本記事が参考になれば幸いです。