特定行政書士と行政書士の違いとは？仕事内容や年収、メリットも解説

行政書士と特定行政書士、この2つの資格は似ているようで、実は大きな違いがあります。どちらも人気の高い資格ですが、それぞれできる仕事や求められるスキルは異なります。

この記事では、行政書士と特定行政書士の違いを分かりやすく解説し、それぞれの魅力や将来性についてご紹介します。どちらの資格を取得するか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

行政書士と特定行政書士の違いとは？

行政書士と特定行政書士の違いを表にまとめて解説します。

上記のように、行政書士は、主に行政手続の代理や書類作成、申請手続きの代行を行う職種です。一方、特定行政書士は、通常の行政書士業務に加えて、行政不服申立手続の代理人として活動する資格を持つ点が異なります。

具体的には、行政書士は一般的な申請代行や書類作成を行いますが、特定行政書士は、申請が拒否された場合の不服申立てに関する代理業務も行えるよう、特別な研修と試験に合格しているのが特徴です。

特定行政書士の仕事内容

特定行政書士の仕事内容は、通常の行政書士の業務に加えて、行政不服申立てに関する代理業務を行うことが可能です。以下に、特定行政書士の具体的な仕事内容を解説します。

1.許可申請書類の作成

特定行政書士は、企業や個人が各種許認可を取得するための申請書類を作成可能です。これには、建設業許可、宅地建物取引業免許、風俗営業許可など、さまざまな行政手続きが含まれます。また、申請書類の作成だけでなく、必要な添付書類の準備や、申請内容のチェックも行います。

2.契約書・遺言書の作成

特定行政書士は、契約書や遺言書などの法的文書の作成も可能です。これには、売買契約書、賃貸借契約書、秘密保持契約書（NDA）、遺言書などが含まれます。法的に有効な文書を作成し、トラブルを未然に防ぐためのアドバイスも提供します。

3.相談業務

特定行政書士は、クライアントの各種法的問題について相談を受け、適切なアドバイスを提供することが可能です。これには、企業の法務相談や個人の相続問題、契約に関する相談などが含まれます。クライアントのニーズに応じた解決策を提案し、問題解決を支援します。

4.行政不服申立ての代理

特定行政書士は、行政不服申立てに関する代理業務を行うことも可能です。行政不服申立てとは、行政機関が行った処分に対して不服を申し立てる手続きです。

特定行政書士は、クライアントの代理人として申立て書を作成し、行政機関とのやり取りを代行します。また、クライアントの立場を代弁し、処分の取り消しや変更を求めるためのサポートも提供可能です。

5.進行管理と調整

特定行政書士は、行政手続きの進行管理や各関係機関との調整を行うことが可能です。これには、申請の進捗状況の確認や、必要に応じて追加資料の提出、行政機関とのやり取りなどが含まれます。クライアントがスムーズに手続きを進められるよう、全体の進行を管理します。

6.文書の翻訳

特定行政書士は、外国人のクライアント向けに、法的文書の翻訳サービスを提供可能です。これには、許認可申請書や契約書、その他の法的文書の翻訳が含まれます。正確な翻訳を行うことで、言語の壁を越えてクライアントをサポートします。

7.研修と教育

特定行政書士は、継続的な研修や教育を受ける必要があります。なぜなら、最新の法律や行政手続きに関する知識を常に更新し、クライアントに対して最適なサービスを提供するためです。また、他の行政書士や特定行政書士に対する指導や教育も行うことがあります。

特定行政書士の年収

特定行政書士の年収は、経験や勤務先、地域によって大きく異なります。

一般的には、年収は300万円から500万円程度からスタートし、経験を積むにつれて、年収は増加します。中堅クラスの特定行政書士の年収は600万円から800万円程度、独立したベテランクラスでは1,000万円を超えることも少なくありません。

また、大手法律事務所や企業に勤める特定行政書士の年収は、さらに高くなることがあります。ただし、地域によっても差があり、大都市圏で高くなる傾向です。

下記は、厚生労働省が発表している行政書士の平均年収で、特定行政書士はこれよりも高くなる可能性が高いでしょう。

出典：厚生労働省　jobtag

特定行政書士になるメリット

特定行政書士の資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。

1.業務範囲の拡大

特定行政書士になることで、通常の行政書士業務に加え、行政不服申立ての代理業務が可能となります。これにより、クライアントに対して、より包括的なサービスの提供が可能です。行政書士としての業務範囲が広がることで、多様な案件に対応できる能力が求められるため、業務の多様化が図れます。

2.収入の向上

業務範囲の拡大に伴い、提供できるサービスの幅が広がるため、収入の向上が期待できるでしょう。特定行政書士は、行政不服申立ての代理業務など、より高度な業務を行うことができるため、その分報酬も高く設定されることが一般的です。専門的な知識を活かした業務で、高い収入を得ることが可能です。

3.専門性の強化

特定行政書士の資格を取得することで、行政法に関する深い知識を持つ専門家としての評価を得られるでしょう。特定行政書士研修を修了し、考査に合格することで、専門性が高まり、信頼性の向上にも繋がります。これにより、クライアントや関係機関からの信頼が得られ、依頼件数の増加や継続的な取引を実現可能です。

4.差別化と競争力の向上

特定行政書士の資格を持つことで、他の行政書士と差別化を図ることができます。競争が激しい業界において、特定行政書士の資格を持つことは、大きなアドバンテージです。これにより、新規顧客の獲得や既存顧客の維持において有利となるでしょう。

5.キャリアアップの機会

特定行政書士の資格を取得することで、キャリアアップの機会が広がります。例えば、行政機関や企業内での法務部門への転職や、独立開業する際の大きな強みとなります。専門性を高めることで、さらなるキャリアパスの選択肢が広がるでしょう。

6.社会貢献の実現

行政不服申立ての代理業務を行うことで、市民の権利保護や行政の透明性向上に寄与することが可能です。特定行政書士として、社会的に重要な役割を果たすことができるため、社会貢献の一翼を担うことができます。

特定行政書士になる方法

特定行政書士になるためのステップを、以下で解説します。

1.行政書士資格の取得

特定行政書士になるためには、まず行政書士の資格を取得しなければなりません。行政書士資格を得るためには、日本行政書士会連合会が実施する行政書士試験に合格する必要があります。この試験は、法律（憲法、行政法、民法、商法など）に関する知識を問うもので、一定の学習と準備が必要です。

2.行政書士としての実務経験

特定行政書士資格を取得するためには、行政書士としての実務経験が必要です。具体的には、行政書士資格を取得し、一定期間（通常は2年以上）の実務経験を積むことが求められます。この期間中に、さまざまな行政手続きや書類作成の業務を経験することが重要です。

3.特定行政書士研修の受講

実務経験を積んだ後、特定行政書士研修を受講する必要があります。この研修は、日本行政書士会連合会が実施しており、行政不服申立てに関する法的知識や実務スキルを学ぶものです。研修プログラムには、講義や演習が含まれ、実際の事例を通じて深い理解を得ることが可能です。

4.定行政書士考査の合格

研修を修了した後は、特定行政書士考査に合格しなければなりません。この考査は、研修内容の理解度を問うもので、筆記試験や面接試験が含まれます。考査に合格することで、特定行政書士として認定されます。

5.特定行政書士としての登録

考査に合格後、日本行政書士会連合会に特定行政書士として登録します。これにより、正式に特定行政書士として業務を行うことが可能です。登録手続きには、必要書類の提出や登録料の支払いが必要です。

6.継続的な教育と研修

特定行政書士としての登録後も、継続的な学習が必要です。法律や行政手続きは頻繁に変更されるため、最新の情報を常に把握し、スキルを更新することが重要です。定期的な研修やセミナーに参加し、専門知識を維持する努力を続けましょう。

特定行政書士の就活を成功させるためのポイント

特定行政書士としての就職活動を成功させるためには、以下のポイントに注意して準備を進めることが重要です。

1.自己分析と目標設定

まずは自己分析を行い、自分の強みや弱み、興味や価値観を明確にしましょう。どの分野で特定行政書士として活躍したいのか、どのような業務に興味があるのかを具体的に考えます。また、短期的および長期的なキャリア目標を設定し、それに基づいて就職活動を進めることで、適切な企業や機関を見つけやすくなります。

2.市場調査

就職市場の動向や業界のトレンドをリサーチします。特に、行政書士や特定行政書士を必要としている企業や機関の情報を収集することが大切です。求人サイトや企業のウェブサイト、業界レポートなどを活用し、求人情報の内容や求められるスキルを把握しましょう。また、特定行政書士の求人が多い地域や業界についての調査も必要です。

3.履歴書と職務経歴書の準備

履歴書と職務経歴書は、あなたのスキルや経験をアピールする重要なツールです。特定行政書士としての実務経験や取得資格、具体的な実績を詳しく記載しましょう。

特定行政書士としてのスキルや知識を強調し、どのようにしてクライアントに貢献できるかを明確に示し、応募する企業ごとに内容をカスタマイズすることが重要です。

4.面接準備

面接に備えて、予想される質問に対する回答を準備しましょう。自己紹介や志望動機、過去の経験について具体的に説明できるようにしましょう。また、特定行政書士としての専門知識やスキルをアピールするために、関連する法令や手続きについても事前に復習する必要があります。模擬面接を通じて、実際の面接で自信を持って臨めるように練習しましょう。

5.特化型の転職エージェントの活用

行政書士や特定行政書士に特化した転職エージェントを活用することで、効率的に就職活動を進めることが可能です。エージェントは業界の内情や最新の求人情報に詳しいため、ご自身に最適な企業やポジションを紹介してくれるでしょう。

また、履歴書の添削や面接対策などのサポートも受けられるため、準備をより万全にすることが可能です。自分一人では見つけられない求人情報や人脈の拡大にも役立ちます。

特定行政書士のまとめ

このように、特定行政書士は「マルチタスク」が求められる仕事であるため、しっかりとご自身の適性を見極めたうえで、取り組むことが大切です。

そのため、特定行政書士で成功するには、ご自身のキャリアプランを明確に描くことが重要です。

そこで、ご自身が目指す業界や職種に特化した転職エージェントに相談して自己分析を行い、ご自身の特徴や強みをしっかりと理解してから就職や転職活動を行いましょう。

信頼のできる転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進められれば、就職や転職に関する悩みを解消できるだけでなく、自己分析やヒアリングを通して、自分の向いている本当の職種に気付けるかもしれません。

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