税理士の仕事内容や働き方、年収から収入を上げる方法までを徹底解説

税理士という職業は、専門性が高く、社会的にも重要な役割を担っています。その仕事内容は多岐にわたり、企業や個人の税務を支えることで経済活動に貢献します。

ただ、税理士になるためには、難関試験である税理士試験に合格しなければなりません。税理士試験は難易度が高いだけでなく、受験資格もあります。その分、合格後のステータスは高く、働き方も多様です。例えば、税理士事務所を独立開業する道や、企業に所属するといった働き方もあります。

また、年収や収入は、その専門性と経験によって大きく変わるため、税理士としてのキャリアを積むことで、収入を上げる方法もさまざまです。

そこで今回は、税理士の仕事内容や働き方、年収から収入を上げる方法までを徹底解説します。これから税理士を目指す方はもちろん、現在税理士として活躍中の方も、ぜひ参考にしてください。

税理士の仕事内容と役割

まずはじめに、税理士の仕事内容と役割について解説します。

税理士の仕事内容

税理士の主な業務には、以下のようなものがあります。

税務の代行業務

納税者に代わって税金の申告を行う業務です。これには、法人税や所得税などの申告書の作成や、税務調査時の立ち会い、異議申し立てや審査請求の手続きなどが含まれます。

税務書類の作成業務

確定申告書や相続税申告書など、税務署に提出する書類をクライアントに代わって作成する業務です。

税務の相談業務

税金の計算方法や税務上必要な手続きについてのアドバイスを行います。

上記の3つは、税理士の独占業務と呼ばれています。税理士の独占業務とは、税理士法に基づき、税理士の資格を持つ人のみが行える特定の業務のことです。

税理士は、これらの独占業務を通じて、納税者が適正かつスムーズに税金を納められるようにサポートする役割を担っています。

また、税理士はクライアントの経営面でのアドバイスも行い、経営者にとって重要なパートナーとなることも多いです。

税理士の役割

税理士の社会的役割としては、公正な立場から納税義務者の相談に応じ、納税をサポートすることで、公平な税負担により住みやすい豊かな暮らしを守ることにも貢献しています。さらに、税理士は経理や財務業務の代行、経営や事業運営の相談なども行い、クライアントのビジネスをサポートする幅広い役割を果たす仕事です。

税理士になるまでのプロセス

税理士になるためのプロセスは、以下のステップで構成されています。

1.受験資格を取得する 

まずは、税理士試験の受験資格を取得します。大学で税法や会計などの関連分野を学んだり、税理士事務所で3年以上の実務経験を積んだり、日商簿記1級を取得するなど、受験資格を得るためには、いくつかの方法があります。

2.税理士試験に合格する

次に、国税庁が実施する税理士試験に合格する必要があります。試験は非常に難しく、熱心な勉強と準備が必要です。

3.実務経験を積む

試験に合格しても、すぐに税理士として独立することはできません。合格後には、通算で2年間の実務経験を積む必要があります。

4.税理士会へ登録する

実務経験を積んだ後、税理士会に登録し、正式に税理士としてのキャリアをスタートさせることができます。

また、税務署などで23年以上勤務した後に指定の研修を受けるルートや、弁護士や公認会計士資格を持っている場合は、税理士試験が免除される場合もあります。

これらのステップを経て、税理士としての資格を取得し、専門家として活動することが可能です。

税理士は税務代理や税務書類の作成、税務相談など、社会的に重要な役割を担う専門職です。合格までの道のりは長いですが、その分、やりがいのある職業と言えるでしょう。

税理士を目指す場合は、長期的な視点で計画を立て、着実にステップを踏んでいくことが大切です。

税理士試験の受験資格と難易度

税理士試験は、数ある国家試験の中でも合格が難しい試験の1つとして知られています。そこで以下では、まず税理士試験に関する情報を共有します。

税理士試験の概要

税理士試験は、税理士として必要な学識及び応用能力を判定するための国家試験です。以下にその概要を解説します。

試験の目的

税理士としての適性と能力を測ること。

試験科目

• 会計学に属する科目：簿記論、財務諸表論
• 税法に属する科目: 所得税法、法人税法、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税の中から受験者が選択する3科目。
• 科目合格制: 受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよい。
• 合格基準: 各科目とも満点の60パーセント以上。
• 合格条件: 会計学に属する科目2科目及び税法に属する科目3科目の合計5科目に達したとき合格者となります。

試験は毎年8月に実施され、合格発表は12月に行われます。

なお、税理士試験の詳細や最新の情報は、国税庁のウェブサイトで確認できます。試験の準備をする際は、これらの情報を参考にしてください。

税理士試験の受験資格

税理士試験の受験資格には、学識、資格、職歴の3つの要件のいずれか1つを満たす必要があります。また、会計学に属する科目（簿記論・財務諸表論）については、2023年度の第73回税理士試験から受験資格の制限がなくなったため、誰でも受験可能となりました。

税理士試験の具体的な受験資格は、以下の通りです。

学識による受験資格

• 大学、短大、高等専門学校を卒業し、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者。
• 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者。
• 一定の専修学校の専門課程を修了し、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者。

資格による受験資格

• 日商簿記検定1級合格者。
• 全経簿記検定上級合格者。

職歴による受験資格

• 法人または事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者。
• 銀行、信託会社、保険会社等で資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者。
• 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者。

税理士試験の難易度

税理士試験は11科目中5科目に合格する必要があり、各科目の合格率は15%〜20%と非常に厳しいです。

税理士資格の合格率

税理士試験の合格率は、例年約20%前後で推移しており、科目によって異なりますが、平均して20%に満たないことが多いです。

合格までに要する期間

多くの受験者は1年に1〜3科目を受験し、合格するまでに数年をかけることが一般的です。

このように、税理士試験の合格には、長期間にわたる継続的な学習が必要です。また、科目合格制を採用しているため、一度合格した科目は生涯有効であり、受験回数に制限はありません。これにより、受験者は自分のペースで試験に挑戦し続けることが可能です。

税理士の働き方とそれぞれの役割の違い

税理士の働き方にはいくつかの選択肢があり、それぞれに異なる役割があります。以下に主な働き方と役割の違いを紹介します。

税理士法人や会計事務所に勤務する

税理士法人や会計事務所に勤務するメリットは、さまざまな業務経験が積めることや、独立開業の基礎能力を築けることです。一方、デメリットとしては、専門性や特殊性に欠ける場合があるといったことが挙げられます。

税理士法人や会計事務所に勤務する場合は、顧問先の税務だけでなく、経営戦略や資金調達支援など幅広い業務に携わることになります。

一般企業に勤務する

税理士として一般企業に勤務する場合のメリットは、雇用や給料が安定することや、企業内部を詳しく知ることができることです。一方、デメリットとしては、配属先によって業務内容や経験が大きく変わることが挙げられます。

一般企業に勤務する場合は、税理士として、企業の経理や財務・総務、資金調達など、企業内の税務関連業務を担当するのが一般的です。

税理士事務所を開業する

税理士事務所を開業するメリットは、自分のやりたいように経営できることや、頑張り次第で高収入を目指せることです。一方、デメリットとしては、競合が多くてリスクが大きいことや、収入を安定させるまでに時間がかかることが挙げられます。

税理士事務所を開業する場合は、自分の顧客の税務申告や税務計画、相続税の申告などを行うのが主な仕事です。

コンサルティングファームに勤務する

コンサルティングファームに勤務するメリットは、多種多様な企業に関与できることや、プロジェクトがない時期には長期休暇が取りやすいこと、コンサルティング会社によっては非常に高収入を得られるといったことが挙げられます。一方、デメリットとしては、高度なビジネススキルや知識が求められることや、仕事がハードなことです。

コンサルティングファームに勤務する税理士は、企業への経営全般のアドバイスや税務戦略の提案などを行うのが一般的です。

これらの働き方は、税理士の専門性を活かし、個々のライフスタイルやキャリアプランに合わせて選択できる柔軟性があります。また、税理士の役割は、税務申告、税務計画、相続税の申告など、税に関わる広範囲なサービスに対応し、顧客が法を遵守しながら税負担を軽減できるようにサポートすることです。

税理士の収入を上げる方法

税理士が収入をアップさせるためには、スキルアップと計画に基づいたキャリアパスが重要です。そこで、以下のポイントを参考にしてください。

専門性を高める

税理士として選ばれるためには、専門性を高めることが求められます。特定の分野や業務内容を深く掘り下げ、知識と技術を磨くことで、より高度で高単価な業務に挑戦することが可能です。

キャリアパスを明確にする

税理士のキャリアパスには、開業税理士、企業内税理士、勤務税理士などがあります。自分に合ったキャリアパスを選択し、それに応じたスキルを磨くことでキャリアアップが可能です。

組織マネジメント能力を身につける

税理士事務所や企業内での昇進を目指す場合、組織を管理し、リードする能力が必要です。チームを効果的に管理し、業務の効率化を図ることで、収入アップにつながります。

営業力を身につける

税理士としてのサービスを広め、新たな顧客を獲得するためには、営業力も重要です。顧客のニーズを理解し、信頼関係を築くことで、安定した収入源を確保できます。

高収入な勤務先を選ぶ

大手税理士法人や中堅・小規模の税理士事務所など、勤務先によって得られる経験や収入が異なります。自らのキャリアプランに合った職場を選択することが大切です。

独立開業を検討する

税理士としての経験を積んだ後、独立開業することで、経営者としての自由と収入アップの可能性を追求できます。ただし、開業にはリスクも伴うため、十分な準備と計画が必要です。

これらのポイントを踏まえ、自分に合ったキャリアプランを立て、着実にスキルアップを図ることが、税理士として収入をアップさせるコツです。また、税理士としてのキャリアアップ方法には、労働時間を増やす、業務量を増やす、高度・高単価な業務に挑戦する、業績連動給与を採用している事務所に勤務するなど、さまざまなアプローチがあります。

上記を理解したうえで、ご自分のライフスタイルや目指すキャリアに合わせ、適切な方法を選択しましょう。

税理士業界の将来性とこれから必要となるスキル6つ

税理士の将来性に関しては、AIやRPA（ロボティックプロセスオートメーション）の台頭により、単純作業の自動化が進んでいるため、一部の業務が代替される可能性があると言われています。ただし、税理士には元もと高度な専門性が求められており、代替される業務は少ないと言えるでしょう。

そこで、税理に今後ますます重要になると考えられるスキルとして、次の6つが挙げられます。

1. AIやRPAを活用する能力
2. コミュニケーション能力
3. 専門分野を持つこと
4. 経営コンサルティング能力
5. ITツールによる業務効率化
6. 問題解決能力

以下でそれぞれ解説します。

1.AIやRPAを活用する能力

自動化技術を活用して業務の効率化を図ることができるスキルは、税理士にとって必須です。これにより、より複雑で専門的な業務に集中することが可能になります。

2.コミュニケーション能力

顧客との信頼関係を築き、ニーズを正確に把握し、適切なサービスを提供するためのコミュニケーション能力は、AIには代替できない重要なスキルです。

3.専門分野を持つこと

特定の分野における専門知識を深めることで、税理士としての価値を高め、専門家としての地位を確立することができます。

4.経営コンサルティング能力

税務だけでなく、経営全般にわたるアドバイスを提供できる能力も、税理士に求められるスキルです。これにより、顧客のビジネスをサポートし、長期的な関係を築くことができます。

5.ITツールによる業務効率化

最新のITツールを駆使して業務を効率化し、時間を節約することで、より価値の高い業務に注力することが求められます。

6.問題解決能力

複雑な税務問題に対して、適切な解決策を提案できる能力は、税理士にとって非常に重要です。

税理士の仕事は、単に数字を扱うだけではなく、顧客のビジネスパートナーとしての役割も担います。そのため、上記のスキルを身につけることで、税理士としての将来性を高めることができるでしょう。また、税理士業界は変化し続けるため、常に最新の知識を学び、スキルをアップデートしていくことが重要です。

税理士の仕事探しやキャリアチェンジには転職エージェントの活用がおすすめ

税理士の仕事探しに転職エージェントを活用することがおすすめされる理由は、以下のようなメリットがあるからです。

適切なキャリアプランを設計できるから

転職エージェントは個々のニーズに合わせたキャリアプランを提案し、履歴書の添削や面接対策など、転職活動をトータルでサポートしてくれます。

非公開求人へアクセスできるから

転職エージェントは一般に公開されていない非公開求人を多く扱っており、これらの求人は通常よりも条件が良いことが多いです。

業界知識が豊富だから

税理士特化の転職エージェントは、会計業界のトレンドや需要を熟知しており、税理士としての経験やスキルを最大限評価されるようなアピール方法を提供してくれます。

ハイクラスへの転職を支援してくれるから

経験豊富な税理士の場合、ハイクラスやキャリアアップ向けの転職エージェントを利用することで、より良い条件での転職が可能となります。

これらの理由から、税理士の転職活動には転職エージェントの利用が推奨されています。そこで、税理士などの士業に特化した転職エージェントを見つけて、効率的かつ成功率の高い転職活動を行うことが重要です。

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税理士試験の仕事や働き方のまとめ

このように、税理士の仕事は、勤務する場所によってさまざまで、それぞれで働き方や年収もことなります。

しかし税理士は、難関資格である税理士試験を突破し、実務経験を積んだ後は、多様なキャリアパスと高収入に期待ができる職種です。

そこで、税理士資格や実務経験を活かしてより条件の良い職場への就職や転職をお考えの方は、ご自身のキャリアプランの策定とともにこれまでのキャリアの棚卸しを行い、ご自分の強みや目標をしっかりと把握しておくことが重要です。

そこで、ご自身が目指す業界や職種に特化した転職エージェントに相談して自己分析を行い、ご自身の特徴や強みをしっかりと理解してから就職や転職活動を行いましょう。

信頼のできる転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進められれば、就職や転職に関する悩みを解消できるだけでなく、自己分析やヒアリングを通して、自分の向いている本当の職種に気付けるかもしれません。

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