税理士と公認会計士の違いや向いている人の特徴、年収や将来性を徹底解説
税理士 士業 働き方やキャリア 転職財務や会計の専門家として活躍する道は多岐にわたりますが、特に税理士と公認会計士はその中でも中心的な役割を担っています。これら二つの資格は、似ているようでいて、その業務内容、求められるスキル、そしてキャリアパスには大きな違いがあります。
税理士は主に税務に特化し、個人や企業の税金に関するアドバイスを行います。一方、公認会計士は会計監査や財務アドバイスなど、より広範な業務を担当することが多いのが特徴です。また、これらの職種に向いている人の特徴や、それぞれの年収、将来性についても、明確な違いが存在します。
そこで今回は、税理士と公認会計士の違いや向いている人の特徴、年収や将来性を徹底解説します。これから税理士や公認会計士を目指す方はもちろん、興味のある方も、ぜひ参考にしてください。
税理士と公認会計士の資格や仕事内容の違いとは?
まずはじめに、税理士と公認会計士の資格や仕事内容の違いについて解説します。
1. 業務内容の違い
税理士は主に税務に関する専門知識を持ち、個人や法人を対象に、以下の業務を担当します。
- 税金の申告書作成
- 税務代理
- 税務相談 など
一方、公認会計士は主に企業の財務に関する専門知識を有しており、以下の業務を担当します。
- 財務諸表の作成
- 会計処理に関する監査
- 経営戦略の指導 など
2. 対象となるクライアントの違い
税理士は中小企業や個人事業主が主なクライアントです。一方、公認会計士は大企業や上場企業が中心のクライアントとなります。
3. 専門性の違い
税理士は税務に精通した専門家として活躍します。一方、公認会計士は財務情報の監査や経営戦略に関する専門知識を持つ人材です。
4. 取得する資格の違い
税理士は税理士試験に合格することで資格を取得します。一方、公認会計士は公認会計士試験に合格することで資格を取得します。ただし、両方とも難易度が高く、特に公認会計士資格は、国内の三大国家資格(弁護士、公認会計士、不動産鑑定士)の1つとされています。
税理士や公認会計士に向いている人の特徴
公認会計士と税理士は、会計業界で重要な役割を果たす資格ですが、それぞれ異なる特徴や適性があります。
そこで以下では、税理士と公認会計士に向いている人の特徴を解説します。
税理士に向いている人の特徴5つ
税理士に向いている人の特徴には、主に次の5つが挙げられます。
1.コツコツと決まったことをやれる人
税理士の仕事は地道で忍耐が必要です。税に関する最新知識を常にチェックし、企業の経理の数字と向き合い、期限までに決算書を作成するなど、継続的な努力が求められます。
2.コミュニケーション力がある人
税務の仕事はチームワークが重要であり、中小の会計事務所では職員との密なコミュニケーションが求められます。顧客との関係構築も重要なため、コミュニケーション能力は不可欠です。
3.企業の経営に興味がある人
税理士は企業の決算業務を担当し、経営面へのアドバイスも求められます。経営に興味がないと、日々の仕事が興味のないことで埋め尽くされてしまう可能性があります。
4.倫理観・正義感のある人
税理士は「税務のプロフェッショナル」としての誇りを持ち、自らの業務の適正さを自分自身で管理し、他者に対しても明らかにすることが求められます。
5.学ぶことが好きな人
税制改正や経済のトレンドに応じて変わる税理士の仕事は、常に情報収集を行い、最新の知識を身につけていることが求められます。
公認会計士に向いている人の特徴4つ
次に、公認会計士に向いている人の特徴を4つ紹介します。
1.正義感の強い人
公認会計士は監査業務を担当します。企業の財務諸表の正確性を確認し、証明する役割を果たすため、正義感が求められます。
2.コミュニケーションの得意な人
監査業務ではクライアントとのコミュニケーションが欠かせません。円滑なコミュニケーション能力が必要です。
3.勉強好きな人
公認会計士試験は難易度が高く、合格までに多くの勉強時間が必要です。継続的な学習意欲が求められます。
4.経営に興味がある人
監査業務を通じて企業の経営状態を理解し、改善策を提案することがあります。経営に興味を持つ人に向いています。
税理士と公認会計士に求められるスキルセット
税理士と公認会計士は、それぞれ異なる専門性を持ち、異なる業務を担当します。以下に、税理士と公認会計士に求められるスキルセットを紹介します。
税理士に求められるスキルセット
税理士に求められるスキルセットは、以下の4つです。
1.税法の専門知識
税理士は、個人や法人の税金に関するアドバイスを行います。税法の知識を深め、実務経験を積むことが求められます。
2.経営に関する知識
税理士は、税金対策を通じて企業の経営をサポートします。経営に関する知識が必要です。
3.情報を整理・分析する力
複雑な税制改正や法令を理解し、クライアントに適切なアドバイスを提供するために、情報を整理・分析する能力が求められます。
4.ITリテラシー
税務申告書の作成やデータ管理にはITツールを使用するため、ITリテラシーが必要です。
公認会計士に求められるスキルセット
公認会計士に求められるスキルセットは、主に以下の4つです。
1.会計・税務の専門知識と実務経験
公認会計士は、企業の財務諸表をチェックし、正確性を確認する監査業務を担当します。深い会計知識と実務経験が必要です。
2.情報収集力
担当する企業の状況や業界のトレンドを把握するため、情報収集能力が求められます。
3.コミュニケーション能力
監査結果を企業に伝える際に、適切なコミュニケーション能力が必要です。
4.コンサルティング能力
監査で得た知見を活かし、企業にアドバイスをする能力が重要です。
このように、税理士と公認会計士はそれぞれ異なる役割を果たす専門家で、これらのスキルを活かしてクライアントに貢献します。
税理士と公認会計士の平均年収や業界の動向
税理士と公認会計士の年収について、いくつかの観点から解説します。
まずは、両者の平均年収や年齢別の傾向を比較してみましょう。
税理士の平均年収や業界の動向について
以下は、大手監査法人に勤務する税理士の年収の一般的な傾向です。(あくまで傾向値としてご参照ください)
- スタッフ: 500~800万円程度(新卒から2~3年目)
- シニアスタッフ: 600~900万円程度(数年の経験後)
- マネジャー: 800~1,300万円程度(10年目前後)
- シニアマネジャー: 1,200~1,700万円程度(30代半ば~40代)
- パートナー: 1,500~5,000万円程度(経営者・事業の責任者)
税理士は日本全国で約75,000人いますが、その平均年齢は60歳を超えており、若手職員が不足している状況です。
さらに、税理士受験者数も減少傾向にあり、2019年には29,779名と3万人を割り込みました。
そのため、大手税理士法人でも1科目合格者や未経験の新卒を積極的に採用しており、求職者の売り手市場となっています。
公認会計士の平均年収や業界の動向について
公認会計士の平均年収は、従業員数10人以上の企業に勤める場合で約746万6,400円となっています。さらに企業規模が大きい場合には、40代~50代前半の平均年収で900万円を超えているのが現状です。
このように、税理士と公認会計士の平均年収を比較すると、会計士の方が高い傾向にありますが、税理士にも好待遇で活躍できるチャンスが十分にあるといえるでしょう。
税理士と公認会計士のキャリアパス
税理士と公認会計士のキャリアパスは多様で、それぞれ異なる道を選ぶことができます。以下に、両者のキャリアパスを詳しく説明します。
税理士のキャリアパス
税理士のキャリアパスには、以下のようなものが挙げられます。
勤務税理士
勤務税理士は、会計事務所や税理士事務所で雇用され、税理士としての仕事を行います。
未経験者はスタッフからスタートし、主査を担当することもあります。
また、大手監査法人から中堅・小規模の事務所まで、さまざまな規模の会計事務所で働くことができます。
独立開業
独立開業は、自ら税理士事務所を開き、個人事業主として営むキャリアパスです。
雇用される立場ではなくなるため、収入が不安定になるリスクがありますが、自分の思い通りに事業を進められる魅力があります。
その他のキャリアプラン
- 他の専門家と共同事務所を経営する
- 一般事業会社で働き続ける
- コンサルティングファームで働く
- 金融機関で働く など
公認会計士のキャリアパス
一方、公認会計士のキャリアパスとしては、次のようなものが挙げられます。
監査法人
監査法人での経験を積むことが一般的です。
スタッフからスタートし、シニア、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーと昇進していく道があります。
経営コンサルタント
経営コンサルティング会社でのキャリアも選択肢の一つです。
経営戦略や業務プロセスの改善などに携わります。
税務担当
税理士法人や会計事務所で税務アドバイスを提供するキャリアもあります。
その他のキャリア
- 大学の講師
- 一般企業の財務担当
また、公認会計士の資格は汎用性が高く、希少性もあるため、さまざまな分野での活躍が可能です。
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税理士と公認会計士の将来性と職業展望
税理士と公認会計士の将来性について、現状と展望を詳しく解説します。
税理士の人口
税理士は、税務に関する専門家であり、国家資格を保有している人々を指します。
国税庁によると、税理士の登録者数は2015年度から2021年度まで増加しており、2021年度には約80,000人に達しています。
ただし、合格率は15~20%程度であり、高齢化が進んでいることも明らかです。
税理士の今後
AIやRPAの進出により、税理士の仕事が脅かされるという声もあります。
しかし、AIには柔軟性を必要とする業務や高度な専門性が必要な業務を行うまでの技術はありません。そこで税理士には、これまでの経験や知識を活かしたコンサルティング業務などで、その能力を発揮することが求められるでしょう。
公認会計士の現状と将来性
公認会計士は、企業の監査を行う唯一の職業であり、需要が高い職種です。
AIやITの進化により、一部の業務は効率化される可能性がありますが、公認会計士の専門性は今後も求められるでしょう。
公認会計士は監査業務だけでなく、一般企業での就業や独立開業など、幅広い活躍の場があります。
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税理士と公認会計士の違いのまとめ
このように、税理士と公認会計士には、さまざまな違いがあることがわかります。そして、税理士と公認会計士が、それぞれの業務を通じてキャリアアップを行うには、いくつかのポイントを理解することが大切です。
また、それぞれの資格を活かし、より条件の良い職場へ転職しようとお考えの方は、ご自身のキャリアプランの策定とともにこれまでのキャリアの棚卸しを行い、ご自分の強みや目標をしっかりと把握しておくことが重要です。
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