不動産鑑定士の仕事内容や平均年収、向いている人の特徴などを徹底解説

不動産鑑定士は、不動産関係の職に就く方にとっては非常に魅力的なキャリアパスと言えるでしょう。不動産鑑定士は、その専門的な知識を活かし、不動産の価値を見極めます。しかし、そのために高い専門性と責任感を要求される仕事でもあります。

不動産鑑定士は、平均年収も安定しており、比較的高収入が期待できる職種です。ただし、不動産鑑定士になるためには、難易度の高い国家試験に合格しなければならず、その合格率は5％にも満たないほど難関です。

実際に、不動産鑑定士試験は、司法試験や公認会計士試験と並ぶ「3大国家試験」と言われています。しかし、その仕事内容や年収については、あまり詳しく知られていないのが現状です。

そこで今回は、不動産鑑定士の仕事内容や平均年収、向いている人の特徴などを徹底解説します。これから不動産鑑定士を目指す方はもちろん、興味のある方も、ぜひ参考にしてください。

不動産鑑定士とは？仕事の内容や重要性を解説

不動産鑑定士とは、不動産の価値を鑑定する専門家のことです。

不動産鑑定士は、法律や建築、市場動向などの知識を活用して、不動産の鑑定評価を行い、不動産の売買や賃貸借、相続、税務などの際に重要な役割を果たします。

不動産鑑定士の仕事内容

不動産鑑定士の具体的な仕事内容には、以下のようなものが挙げられます。

不動産鑑定評価業務

土地や建物の実際の取引価格は、社会の景気動向や政府の金融政策、国民的イベントなどの外部要因に影響されやすい特徴があります。

このように、不動産の価格は、直接関係のない理由によって大きく変動することがあるため、不動産鑑定士が土地や建物の本来の価値を的確に評価し、適正な不動産取引をサポートするための鑑定評価業務を行うのです。

なお、不動産鑑定の評価には公的情報や関連法令の調査、現地調査、フィールドワーク、専用ツールを用いた解析が含まれます。

コンサルティング業務

不動産コンサルティングでは、不動産の用途が多様であるため、不動産鑑定士が適切な利用法のアドバイスを提供します。また、投資家に対して投資判断材料を作成し、投資活動をサポートするケースもあります。

不動産鑑定士の仕事の流れ

不動産鑑定士の仕事は、鑑定依頼を受け付ける段階から始まり、公的情報の確認、現地調査、価格の算定、評価書の作成までの一連のプロセスを経て、不動産鑑定評価書を顧客に提出します。

不動産鑑定士の役割

不動産鑑定士は、不動産価格を適正な方向に導く役割を果たします。また、相続税や固定資産税に関するトラブルを予防するのも重要な業務に1つです。さらに、コンサルティング業務を経て、投資家を保護する役割もあります。

このように、不動産鑑定士は不動産価格を考慮しながら、社会全体が誤った方向に行きすぎることを防ぐ重要な役割を果たしています。

不動産鑑定士の平均年収や初任給、キャリアの展望を解説

次に、不動産鑑定士の平均年収と年収に影響する要因について解説します。

不動産鑑定士の平均年収と給料データ

厚生労働省の令和元年度賃金構造基本統計調査によると、不動産鑑定士の平均年収は、46.6歳で755万円ほどとなっています。なお、月額給与は約49万円、年間のボーナスは約166万円です。

以下は詳細な統計データです。

• 平均年齢: 46.6歳
• 勤続年数: 7.5年
• 労働時間: 146時間/月
• 月額給与: 490,300円
• 年間賞与: 1,662,300円
• 平均年収: 7,545,900円

男女別にみると、月額給与では女性が男性を約7万円ほど上回っており、ボーナスではその逆に男性のほうが女性より約49万円も高くなっています。ただし、女性の不動産鑑定士は全体の7%程度しかいないため、データ数が少ないことが影響していると考えられます。

不動産鑑定士の初任給とキャリアの展望

不動産鑑定士の初任給は一般的な大卒者とほぼ同じ水準であり、約20万円～22万円前後が相場とされています。しかし、不動産鑑定士の実務修習期間が終わって資格登録した後は、資格手当なども加算されて一気に5万円前後昇給するケースが一般的です。キャリア2年目～3年目からは、難関資格に合格するまでの苦労に見合った給与が期待できるでしょう。

このように、不動産鑑定士の年収は、一般的な会社員の平均年収を上回る水準ではありますが、不動産鑑定士試験と並ぶ「3大国家資格」である、弁護士や公認会計士ほど高給ではありません。しかし、不動産鑑定士は数が限られていること、独占業務があるため、不況時でも給料面が安定しやすい点がメリットです。

不動産鑑定士試験の難易度や資格の取得方法

不動産鑑定士試験は、不動産鑑定の専門家である「不動産鑑定士」の資格を取得するために受験する国家試験です。

この試験は、司法試験や公認会計士試験とともに「3大国家試験」の1つとして知られており、最終合格率は約5％程度と非常に難易度の高いものとなっています。

以下に不動産鑑定士試験について詳しく解説します。

不動産鑑定士資格とは

不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を中心とした業務に携わる不動産分野の専門家であり、国家資格に定められています。

不動産鑑定士資格を取得するためには、国土交通省が主宰する国家試験を受けて合格することが必要です。

不動産鑑定士の試験は「短答式試験」と「論文式試験」の二段階に分かれて実施され、双方をパスすると最終合格となります。

試験に合格した後は、実務修習を終えるなどのステップを踏むことで、不動産鑑定士として実務に従事できるようになります。

不動産鑑定士試験の難易度

不動産鑑定士試験は非常に難易度の高い試験とされています。

一次試験の短答式試験の合格率は毎年30～35%前後、二次試験の論文式試験の合格率は15%前後で、双方を突破できる最終合格率は約5％前後と難関です。

ただし、かつての合格率は3％以下とさらに低水準でしたが、近年は上昇傾向にあります。

不動産鑑定士試験の勉強時間・勉強方法

合格までに必要な勉強時間は、最低でも約2000時間は必要と言われており、一般的には1年半～2年ほどの学習計画が求められます。

特に論文式の対策は独学では難しいため、予備校や通信講座で勉強する人が多い傾向にあります。

企業が不動産鑑定士に求める人物像

次に、企業が不動産鑑定士に求める人物像について解説します。

専門知識と技術力の高い人

不動産鑑定士は、土地や建物の価値を正確に評価する専門家です。そのため、企業では、高度な専門知識と鑑定技術を持つ人材を求めています。

論理的思考能力が高い人

不動産の鑑定評価は複雑であるため、高い論理的思考能力が求められます。そこで企業では、問題解決能力や論理的な判断力を重視して採用する傾向にあります。

コミュニケーション能力の高い人

不動産鑑定士には、鑑定評価結果をわかりやすく説明する能力が必要です。また、企業内での円滑なコミュニケーションや、報告書の作成も求められるでしょう。

ビジネスマインドを持っている人

不動産鑑定士は、企業の利益や戦略に影響を与える役割を果たします。そこで、常にビジネスの視点を持ち、経済的な視座で評価できることが重要です。

経験と実務能力が豊富な人

企業では、不動産鑑定士として豊富な実務経験があることや、実際の不動産取引に携わった経験が評価されやすい傾向にあります。

また、企業ではたらく不動産鑑定士には、経理や開発部門と連携し、不動産の評価や戦略的な活用に貢献することが求められるため、将来性が高く、企業内での需要が高まっている職種と言えるでしょう。

不動産鑑定士に向いている人の特徴5つ

以下では、不動産鑑定士に向いている性格や適性、必要な能力について解説します。

1.論理的に物事を考えられる人

不動産鑑定士に最も必要な資質は、論理的思考力です。なぜなら、鑑定評価額は社会的影響力を持ち、公示価格にも影響を与える重要な指標だからです。そのため、計算過程を明確な根拠に基づいて行う必要があります。そこで、鑑定評価基準に従いつつ、論理的な解釈を加えて判断する能力が求められます。

2.デスクワークもフィールドワークも好きな人

不動産物件は、常に街中にあるとは限らないため、田舎や山中などさまざまな場所で調査を行う必要があります。そのため、不動産鑑定士はデスクワークだけでなく、現地調査も行うのが一般的です。そこで、事務作業と野外活動の両方をこなせる人が向いていると言えるでしょう。

3.きめ細かい仕事ができる人

不動産の鑑定評価業務は細かい作業の連続です。なぜなら、不動産物件ごとに異なる特徴を正確に把握するための、情報収集と分析が必要だからです。そのため、計算ミスや見落としをしない注意深さが求められます。

4.文章力の高い人

不動産鑑定士が作成する不動産鑑定評価書には、計算過程をわかりやすく文章で表現する必要があります。そのため、不動産鑑定士には高度な文章力が求められます。

5.発想力が豊かな人

不動産鑑定士は、不動産の最適な利用方法を考え、オーナーをサポートすることも重要な仕事の1つです。そのため、収益性を向上させたり、新しい用途を提案したりするための発想力（アイデア）が必要です。

このように、不動産鑑定士は社会的責任の大きい仕事であるため、知識に対する向上心や責任感のある人が向いています。

不動産鑑定士のキャリアパス

次に、不動産鑑定士のキャリアパスについて解説しますので、不動産鑑定士になるためのステップと、キャリアの進め方の参考にしてください。

資格を取得するまで

不動産鑑定士になるためには、不動産鑑定士試験を受けて国家資格を取得する必要があります。この試験は、年齢や学歴に関係なく誰でも受験可能です。

試験は短答式の一次試験と論文式の二次試験の二段階選抜で行われ、短答式に合格した人だけが論文式を受けられる仕組みです。

資格を取得してから

不動産鑑定士は、試験に合格してもすぐに業務を行えるわけではありません。資格を行使するためには「実務修習」を受ける必要があります。

実務修習は、所定の研修を受講して不動産鑑定士に求められる高い専門性と知識を身につけるためのものです。実務修習は講義、基本演習、実地演習の3段階で実施されます。修了考査をクリアすると、各都道府県の協会に資格を登録して、不動産鑑定士としてキャリアをスタートさせることが可能です。

不動産鑑定士のキャリアプランとキャリアパス

不動産鑑定士は、主に不動産業界はもちろん、金融業界でも活躍します。そのため、初めは信託銀行や不動産デベロッパーなどの企業で経験を積みながら知識を深めていくことも可能です。また、独立して開業する不動産鑑定士もいます。

いずれの場合でも、キャリアアップを目指す場合には、実務経験を積むことが重要です。

不動産鑑定士に年齢制限はある？

不動産鑑定士を目指す年齢に制限はありません。どの年齢でも受験可能です。

転職や就職方法

不動産鑑定士の求人は、信託銀行や不動産事業、鑑定士事務所などで見つけることができます。具体的な転職や就職情報に関しては、不動産業界を専門とする転職エージェントを利用するのがおすすめです。そこで、不動産業界の転職に強い「ビーバーズ」が特におすすめです。

不動産鑑定士の働き方

不動産鑑定士は正社員だけでなく、派遣社員やパート・アルバイト、独立開業、副業・在宅など、さまざまな働き方があります。

不動産鑑定士の仕事内容のまとめ

このように、不動産鑑定士の仕事は、非常に難易度の高い国家試験に合格する必要があるものの、その分高収入に期待ができる営業職です。

ただし、不動産鑑定士への転職や就職を考える際は、ご自身がこの仕事に本当に合っているかをしっかりと自己分析しておくことが大切です。

そこで、不動産業界に特化した転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進めることで、転職に関する悩みを解消できる可能性が高まります。

また、専属のキャリアコンサルタントが、あなたの適性や客観的に自己分析してくれるため、ご自分に本当に向いている職種に気付けるかもしれません。

業界特化型の転職エージェント「ビーバーズ」では、あなたの自己分析のサポートをしながら、最適な転職先を提案いたします。

まずは「ビーバーズ」にお気軽に登録していただき、転職に関する悩みや疑問を相談してみましょう。