建設業が新規事業に取り組むべき3つの理由|成功事例や具体的な実施方法を解説
建設建設業は業界の特徴として、下請構造の考え方が深刻です。
下請構造の下にいる会社にとって、自社の生き残りは常に大きな課題の一つといえるでしょう。
また、近年では建設業の将来的な仕事量の縮小や、中小企業の生き残り策などの話題が取り上げられています。
事業を継続するために、新規事業の立ち上げやシフトチェンジが求められるようになりました。
今回は、建設業が新規事業に取り組む必要性や成功事例、新規事業に取り組む手順を解説します。
建設業の会社が新規事業への参入を検討する3つの理由
国民生活金融公庫総合研究所の調査によると、小規模建設業の新分野へ進出した企業の数は増加傾向です。
引用:[小規模建設業の新分野進出]
なぜ建設業の会社が新規事業への参入を検討するのでしょうか?
ここでは以下の3つの理由を解説します。
- 建設需要の低下や変化が予想されるから
- 建設業全体の高齢化・少子化が深刻化しているから
- 人手不足により会社の存続が危ういから
それぞれ詳しく見ていきましょう。
建設需要の低下や変化が予想されるから
引用:[維持修繕工事の推移]
上記のグラフから、建設需要のうち新設工事よりも維持修繕工事の需要が高まっていることがわかります。
これは、バブル時代に建設した建物やインフラの老朽化が進んでいることが影響していると考えられます。
新設工事においては、2020年の東京オリンピックの影響で2019年の新設工事需要が高まりましたが、その後新設工事の需要は停滞・横ばいです。
つまり、現在新設工事を主に事業としている企業は、今後も新設工事のみを取り扱う場合、競合他社との競争が激しくなる可能性があるということ。
建設需要の低下や変化に対応するために、新たな事業への参入を検討する会社が出てくると考えられます。
建設業全体の高齢化・少子化が深刻化しているから
引用:[建設産業の現状と課題]
データからわかるように、建設業の高齢化は深刻です。
若手が入ってこないことで人材の減少を招いており、今後、現在働いている高齢の技術者が定年退職すれば、事業の継続が難しくなるリスクが考えられます。
少子化の原因の一つは、建設業界の「3K(きつい・汚い・危険)」というイメージです。
企業のできる少子化対策としては建設業のイメージを刷新する、もしくは別事業を展開して、建設業以外の分野で働く若い人材を確保する必要があるでしょう。
人手不足により会社の存続が危ういから
引用:[建設産業の現状と課題]
建設業界は2020年を境に年々労働人口が減少しています。
中小企業の多くは、人材が集まらないことで事業の継続が難しくなっている悩みに直面しています。
新しい事業分野への進出は、労働力の確保を促進し、企業の持続可能性を確保する手段の一つといえるでしょう。
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建設業の会社が新規事業に参入するメリット
建設業の会社が新規事業に参入することで得られるメリットは以下のとおり。
- 新規人材の確保が期待できる
- 会社の収入の柱が増える
- 事業の倒産を避けられる
上でも説明したとおり、新規事業に取り組めば、建設業ではなく新規事業に興味を持った求人を集めることが可能です。
さらに若い人材が会社に入ること・新しい事業に関するノウハウが増えることで、会社内で新しい考え方や価値観が生まれるきっかけになるかもしれません。
また、新規事業が成功すれば、会社の収入の柱が増え、経営が安定するというメリットもあります。
経営が安定することで、建設業だけを継続した場合は倒産のリスクがあった会社も事業を継続できるでしょう。
建設業の新規事業へ参入した成功事例7選
ここからは建設業界の会社が新規事業に参入した成功事例を7つ紹介します。
- 介護・清掃・警備分野
- 畜産分野
- 環境・リサイクル分野
- 教育分野
- 農業分野
- 福祉分野
- リフォーム分野
それぞれ詳しく見ていきましょう。
介護・清掃・警備分野|建設業のノウハウが活かせる新規事業を発見
北海道の建築関係の設備工事会社の課題は、下請け企業特有の受注競争の激しさです。
受注競争に立ち向かうのではなく、別の収入の柱を作る方法として新規事業進出を検討。
建設業界のノウハウを活かせる分野として、清掃事業に着目し、事業を展開します。
事業が軌道に乗った段階で、福祉関連事業への参入をスタート。
その後警備事業を始めたことで、建設業界以外の事業の柱を3つ増やすことに成功しています。
この事例の成功ポイントは、建設業のノウハウが活かせる新規事業を発見したことです。
さらに、一つの事業を成功させた後に別の事業へ展開させた点も、一つの事業に依存せずに会社を経営できるメリットになるでしょう。
畜産分野|新規参入事業と既存事業の組み合わせ
島根県の造園業者は新規事業として、大規模畜産経営を実施しています。
大規模畜産経営を選んだ理由は、造園業のノウハウを活かし、かつ環境保護にもつながると考えたため。
経営の特徴は、畜産で利用する主な飼料に、造園業の公園管理業務で発生する刈草を
有効利用している点です。
さらに、飼料にならない木材チップや剪定くずは、畜産事業で発生した牛糞に混ぜて堆肥化してリサイクルし土壌改良材等として販売しています。
新規参入事業と既存事業の組み合わせをして、新しい事業につなげている事例の一つといえるでしょう。
環境・リサイクル分野|樹皮のリサイクル
環境・リサイクル分野の成功事例は、島根県の総合建設業者です。
景気の悪化が原因で事業の売上や利益が下がったことをきっかけに新規事業開拓に取り組みました。
新規事業として選んだのは樹皮のリサイクルです。
通常焼却処分されるスギ・ヒノキの樹皮を特殊加工し、土壌改良資材を製造する技術の開発に成功。
スギやヒノキの優れた抗菌性や保水性がグラウンドや屋上緑化に活用できるため、環境に配慮された事業として好評です。
建設業と関係ない事業から、新規参入を成功させた事例といえるでしょう。
教育分野|建機教習所の経営
すでに自社にあるノウハウや機材を使って新しい事業を展開した事例が、建機教習所です。
建機教習所とは、現場作業で求められる知識・スキルの学習や現場作業で必要な専門資格の取得をする場所です。
建設会社で建機教習所を始めるメリットは
- 資格取得に必要な建機が揃っている
- 講師を任せられる社員がいる
- 従来の建設事業と並行して新規事業が進められる
つまり、自社にすでにある物だけで始められるため、イニシャルコストをかけることなく新規事業に着手できるということ。
自社にあるものを新規事業に生かすことで事業の柱を増やした成功事例といえます。
農業分野|人手不足と人員過剰の組み合わせ
農業分野への新規参入の鍵は、人手不足の解消です。
北海道の土木工事業者の課題は、建設関連の受注量の現象により従業員の解雇を迫られていました。
従業員の働き口を確保する方法として、北海道の酪農家の高齢化問題と労働力不足に着目。
新規事業として農業コントラクターを展開し、人手不足の酪農家に向けて、牧草の収穫作業を請け負う業務を開始しました。
さらに、農業コントラクター以外にも堆肥の運搬や家畜糞尿の処理事業もスタートし、人材の投資先を確保。
結果として、建設事業で余った人材を農業事業に流すことで、従業員の雇用を守ることに成功しています。
福祉分野|需要の高い業界への参入
新規参入事業を見つける場合、需要の高まっている業界から検討するのもおすすめです。
福島県の建設会社は、新規事業の参入先として福祉業界を選びました。
理由としては、地域の高齢者が増加している情報を入手し、地域に貢献できる取り組みとして居宅・訪問介護事業ができると考えたため。
事業が軌道に乗った後は、特別養護老人ホームを開設し、地域の高齢者のケアを行っています。
介護事業は日本の少子高齢化にともなって今後も需要が高まる業界の一つです。
地域の課題や需要を判断することで、新規参入の可能性を見つけられるでしょう。
リフォーム分野|BtoBからBtoCのリフォーム会社
同じ建設業界でも、ターゲットを変えた事業の展開を進めることも可能です。
鳥取県の建築工事会社は、メインの事業として行っていた公共工事減少を懸念し、新規事業としてリフォーム事業への新規参入を検討。
市場分析の結果、リフォーム事業で主要となる水周りや外壁を取り扱うだけでは価格競争に勝てないと考えました。
結果、ガーデン・外構を中心としたリフォームショップを立ち上げ、ターゲットを女性客
に設定。
女性の求める店の環境づくりを徹底し、何度も気軽に来店できる店作りやサービス、スタッフの女性割合などを改善することで事業として成功を果たしています。
BtoBからBtoCに切り替えたこと、さらにその上で市場分析を細かく行ったことで、新しい需要を獲得した事例です。
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建設業が新規事業を始める前にすべき5つの行動
建設業の企業が新規事業への参入を検討する場合、いきなり事業を始めるのではなく、事前準備が必要です。
ここでは新規事業を始める前にやるべき5つの行動を解説します。
- 事業方針を決める
- 市場分析・調査を行う
- 参入業界の企業のM&Aができないか検討する
- 事業計画書を作成する
- 中長期目線で計画を実行する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
事業方針を決める
新規事業を成功させるには、明確な事業方針が必須です。
企業のビジョンや目標を定め、新しい事業が顧客にどのような価値を提供できるかを定義することで、明確なゴールを定められます。
たとえば建設業界の企業が再生可能エネルギー分野に進出する場合、市場や将来性、環境政策の動向を分析し、企業の方針を「クリーンエネルギーの普及と導入を推進する」などと定められるでしょう。
ゴールや目標が決まれば、社員全員の認識が共有され行動に一体感が生まれます。
市場分析・調査を行う
新規事業に参入する場合、市場のニーズやトレンドの理解は、事業の方向性を定めるために重要です。
たとえば建設業が太陽光発電事業に進出する場合、はじめに市場の成長率や競合他社の動向を公式の市場データから把握します。
データの分析を進めるなかで、地域ごとの太陽光発電の導入状況や補助金制度も検討し、正確な市場ニーズを把握できれば、自社が新規参入できる事業内容を見つけられるでしょう。
新規参入する場合は、すでに事業を展開している競合の状況や顧客の要望を分析し、入り込める市場への適切な理解が必要です。
参入業界の企業のM&Aができないか検討する
M&Aとは2つ以上の会社が合併する、もしくは他の会社を買収することです。
新規参入を目指す業界の企業とM&Aができれば、その業界のノウハウや市場の傾向をM&A先の企業から入手できます。
統合により資産が増えるだけでなく、市場調査や分析の手間が省け、事業が軌道に乗るスピードを高めてくれるため、有効な手段の一つといえるでしょう。
ただ、M&Aは統合する企業情報や将来性を細かく把握しておかなければ、負債を背負うリスクもあります。
新規事業に参入する場合は、自力で調査を進めて市場を切り開くか、すでに事業を展開している企業の力を借りるかを検討してみてください。
事業計画書を作成する
新規事業を始める前は、具体的で実現可能な事業計画書を作成しましょう。
資金調達やリソースの確保など、現実的な問題を可視化することで、必要な行動が見えてきます。
たとえば建設業が太陽光発電に進出する際は、太陽光発電の予算や投資コスト、発電量予測を元にしたデータをもとに事業計画書を作成するのがおすすめ。
公式のデータを活用して、事業の収支やリスクを詳細に示すことができれば、資金調達の具体的な計画を検討できるでしょう。
中長期目線で計画を実行する
短期的な成功を目指すのではなく、中長期的な目線を持つことが大切です。
なぜなら新規事業は軌道に乗るまでの時間がかかり、その後も段階に応じた課題が発生するため。
具体的な目標として、10年後には再生可能エネルギー事業の売上の30%を占めることを目指すなど、明確な数値目標を設定することが重要です。
計画を設定することで、実行する際に必要なリソースや予算を的確に配分し、中長期目線で計画を実行できるでしょう。
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まとめ
今回は建設業の企業が新規事業に参入する際のポイントや成功事例、新規参入を求められる背景について解説しました。
建設業界は近年、深刻な人材不足と技術者の高齢化が問題になっています。
会社を継続するためにも、新規事業に参入することで、新規人材の確保や収入の柱を設計することが求められています。
今回紹介した建設業の企業の新規参入事例を見ると、多くの業界に建設業の企業が参入するチャンスはあるといえるでしょう。
ただ、新規参入は事業を安定させるまで、時間やコストがかかります。
無駄なコストを削減するためにも、建設業のノウハウを活用できる事業や、新規参入を検討する業界の企業とのM&Aを検討するなど、対策を考えることが重要。
自社の強みを再度分析し、どんな事業と相性がいいかを検討してみてください。