【採用企業インタビュー】BIMコンサルティング会社の社長が予測、BIMの将来性や建設業界の今後について(株式会社SEEZ 様)
インタビュー・特集BIMとは?
初めにBIMについてわからない方が多いと思いますのでBIMとCADとの違いについては過去に【建設業界必見】BIMとCADの違い、BIMの導入のより建設業界に変革がおきる!?という記事に記載がありますのでこちらをご参照ください。
株式会社SEEZについて教えてください。
弊社は、今年でBIMコンサルティング会社6期目に入ります。建築・土木・メーカーなど事業者様からビルディングオーナー様まで、BIM導入や運用に際して必要なソリューションを提供しております。各企業によってBIM導入に対するニーズや問題点が異なるため、ヒアリングした内容を分析しながら当社のBIMチームによる問題解決等の支援を行っております。他にも、建設業界を次のステージに押し上げる活動として、地方に住む女性テレワーカーのBIMに関する教育を通した地域創生などにも積極的に取り組んでおります。
貴社がBIMコンサル業を展開する理由を教えてください。
弊社はBIMテクノロジーを通じて、建設業界におけるBIMへの取り組みを加速させ、建設業界を次のステージに押し上げていきたいと考えております。インターネットの普及やデジタルテクノロジーの進化により社会が激変する時代の中で、GDP3位の日本はデジタルで諸外国からかなり遅れてしまいました。この激変する時代でBIMコンサルティング業はあくまでも1つの手段と考え、時代の変化に対応できる柔軟な考え方や未来を想像する先見力を大切に、新しい価値を創造し、時代に合ったデジタルで繋がる最良の空間・環境、未来へつながる活気ある社会を創るために取り組んでいます。また、企業だけでなく教育機関とも深く関わり、企業と教育の双方の架け橋になる活動を通して未来の次世代へバトンを渡せる環境づくりに積極的に取り組んでいます。
日本が世界の中でもBIMの導入が遅れている最大の理由は何だと考えますでしょうか?
日本は、小さな島国でありながらも戦後高度経済成長期を経て世界の日本になった経験があります。人種的にも文化的にも大変几帳面でモノづくり大国として国を築いてきました。そこからの経験で築き上げてきたものを大切にする風習や考え方が日常生活に定着し、時代の変化に考え方がシフトできていないのが最大の理由かと考えています。また、現状維持により仕事や普段の生活に大きな支障が出るわけでもないのでわざわざ変える必要はないと考えている企業が多く、戦後のような新しいことを学び未来に向けてさらに成長するといった向上心や欲望が薄れているのも理由の1つと考えています。世界的にも諸外国と比べるとデジタルリテラシーは低く、今後国内でのBIM導入は2極化することを予想しています。
BIMの本格的な導入が加速するためには何が必要だと考えますか?また貴社は具体的にどのような取り組みをされておりますでしょうか?
日本の建設業界に劇的に変化をもたらし加速するためには、パラダイムシフトが必要です。これは、建設業界だけに限ったことではなく、戦後これまで日本社会が成長するために積み上げてきた成功体験からの“考え方”や“観方”を切り離すことができず時代の変化に対応できていません。過去の延長線で物事を考え手早く取り組める“やり方”や“技術“だけを変えようとしていることがBIM導入や運用が加速できない大きな原因となっています。BIMに取り組むには、未来へ向けて想像力を働かせ組織改革や人材育成に時間とお金を投資する必要があります。企業によっては、BIM導入の目的や目標が明確化されていないことで上手くいっていない場合も多く、弊社ではBIMに取り組むための中長期経営戦略やBIMロードマップがあるか重要視しています。ない企業がほとんどなので、弊社では時間をかけてロードマップ作成から関わり人材育成を中心にBIMへ取り組む体制を整えていっています。
今後、BIMの導入により建設業界はどのように変革するとお考えでしょうか?
BIM導入を目的とせず、建設業界が抱える現状問題に向き合い運用を普及させることにより建築物のデータベース化が進み建設プロセスや生産性が改善されると考えています。さらに建築物がプロダクトとして扱えるようになり管理しやすく品質向上に繋がると考えています。空間・環境のデジタル化が進むので建築物のデータとリンクするようになり私たちの生活や仕事といったワークライフバランスが改善されていきます。さらにデータを活用することで新規ビジネスが生まれるます。その一方でBIM導入には先行投資が必要なのでお金や設備を始め人材育成とのバランスが重要になってきます。
BIMの導入が加速することは建設業界においてSDGs、ワークライフバランス、働き方改革に繋がるとお考えでしょうか。
既に時代の流れからBIMへの取り組み自体が特別なものではなく、デジタルトランスフォーメーションの一角で今後必須のプロセスだと考えています。BIMを導入することは、すでにSDGs、ワークライフバランス、働き方改革に自然と繋がっていて、逆に取り組まないことで時代の流れについていけず大きな影響を受ける可能性が高いでしょう。現在から未来を繋げるのではなく、未来がどうなっているかを想像しての取り組みが重要だと考えています。
BIMコンサル業を行う上では、リモートワークなどを活用されておられますでしょうか?
弊社は、設立時からテレワークコンサルティング企業やAutodesk社と協業し、地方在住で在宅勤務を希望する女性にリモートワークを通してBIM教育と事業に関わってきました。それ以来、他の地域の企業様やテレワーカーとリモートで業務や打ち合わせのやり取りをさせていただいてます。現在、弊社ではワークライフバランスの実現に向けて働き方をリモートワーク中心とし今後も継続していきます。
BIMの人材研修などもされていらっしゃると思いますが、BIM人材育成のポイントは何でしょうか。
企業がBIM導入・運用する中で人材育成が必要と考え取り組んでいますが、BIMに関する人材育成や研修の定義を誤解しているようです。殆どの企業がBIMプロジェクトを実現させるために必要となるBIM関連ソフトウェアの研修やトレーニングが人材育成施策と考えているようですが、本来、中長期経営戦略やBIMロードマップを実現させるために企業内でBIMに必要な人材育成の方針や戦略と予算の見直しする必要があります。従来の設計や施工において図面作成ベースのプロセスとは異なりデータベース構築のプロセスとなるので各企業の目標やワークフロー、そして各役職のキャリアに合わせて教育カリキュラムを考えるなどが今後のBIMの成果に繋がるポイントと考えています。
BIM人材として、外国人というのは1つの選択肢として、今後、日本国内で増えていく可能性は高いでしょうか。
今後、日本では海外のBIMに関わる人材を必要とする機会が増えると考えています。その背景には、日本の社会的問題や業界の問題である少子高齢化により建設業界で人材が減少していくことがあり、さらに日本ではBIM教育が一般的に不十分で教育機関だけでなく企業内での人材育成が十分にできていないのが現状だからです。海外でBIMに取り組んでいる人は技術力や経験が豊富であるので企業での即戦力になりえます。優秀な海外人ほどオペレーターという役職ではなく設計者やBIMマネージャーとしての役職とそれに見合った報酬を望んでいるので、今後、企業はこれまで以上にBIMへ取り組む姿勢を改善し、積極的に海外の人材を受け入れる体制を整えていくことが重要なポイントとなってくるでしょう。
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今後の貴社の経営方針、成長ビジョンなど可能な範囲で教えていただけますと幸いです。
BIMテクノジーにより新しい価値を創造し、未来へつながる活気ある社会を創造することを目指しています。現在、詳しく話せませんが、時代が求めていることに対応しながら新しい取り組みにチャレンジし建設業界に新しいビジネスモデルを作る構想を考えています。
BIMに関心を持つ若者、または建設業界に伝えたいメッセージなどがあればコメントを頂戴できますでしょうか。
BIMは、比較的新しい概念でこれから業界にさらに深く浸透していくことが予想されますが、テクノロジーの進化により社会でさらに大きな変革が起きるでしょう。今後は、業界という境界線がなくなる可能性も大きいので、目先の勉強や仕事だけにとらわれることなく未来へ向けて志高く向上心をもって柔軟に取り組んでいただきたいです。
まとめ
今回は株式会社SEEZの代表取締役でいらっしゃる大槻成弘様にインタビューさせていただきました。大槻社長はFlorida International University & Florida Atlantic Universityにて建築学科をご卒業され、Miamiの設計事務所にて3DCADやBIM設計に従事されておられました。帰国後は久米設計にてBIM支援業務を経て、株式会社SEEZの設立に至っております。海外(特にアメリカ)でのご経験があるからこそ、日本は海外と比較した際にBIMの普及が遅いと感じ、その原因を追究し課題感を持ってBIMコンサルティング会社を経営されていらっしゃいます。今後日本における建設・設計業界は遅かれ早かれ、BIMなしでは語れなくなることはご理解いただけたのではないでしょうか。建設・設計業界にご興味ある方、既に建設業界にて働かれてる技術者の方は、是非ともBIMという将来性ある分野をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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