
建設業における外国人労働者の推移|人手不足の課題と対策法を徹底解説
建設業における外国人労働者数は急速に増加しており、2024年10月末時点で前年同月比22.7%増の17万7902人※に達しました。
このような傾向は、人手不足対策の一環として、他のさまざまな業界からも注目されています。
しかし、外国人労働者の受け入れには言語や文化の壁、適切な教育体制の構築など、多くの課題が存在するため、しっかりとした準備と対策が必要です。
そこで本記事では、建設業における外国人労働者の推移を詳細に分析するとともに、人手不足の根本的な原因と効果的な対策法について解説します。また、業界が直面する課題を克服し、持続可能な成長を実現するための具体的な方策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
※出典:厚生労働省の調査資料より
建設業における外国人労働者数の推移
最新の外国人労働者数データ
出典:総合資格navi
厚生労働省の調査によると、2023年10月時点で、建設業に従事する外国人労働者数は約144,981人となっています。これは前年から約28,000人の増加であり、外国人労働者の受け入れが加速していることを示しています。
なお、全産業における外国人労働者数も増加しており、2023年には約2,048,675人に達しました。
建設業界では特にベトナム、インドネシア、フィリピン、中国出身の労働者が多く、アジア系の国籍が中心となっています。
7年間で3.5倍に増加した外国人労働者
2016年から2023年にかけて、建設業における外国人労働者数は3.5倍に増加しました。この急増の背景には、日本国内の労働力不足があり、特に建設業界では職人の高齢化が進んでいるため、若手の労働力確保が課題となっています。
また、東京オリンピックや大阪万博などの大型プロジェクトが建設需要を押し上げ、外国人労働者の受け入れが拡大しました。
さらに、技能実習制度や特定技能制度の活用による外国人労働者の定着が進んでいることも、この増加の要因の一つです。
建設業における外国人労働者の構成比率の変化
建設業における外国人労働者の構成比率も増加傾向にあります。2016年には全産業の外国人労働者数に占める建設業の割合は3.8%でしたが、2023年には7.1%に達しました。これは、建設業界への外国人労働者の流入が特に顕著であることを示しています。
技能実習生や特定技能外国人の受け入れが進み、建設業界における外国人労働者の役割が拡大していることが、この構成比率の変化に影響を与えているといえるでしょう。
国籍別にみる建設業の外国人労働者
ベトナム人労働者が最多
建設業における外国人労働者の中で最も多いのはベトナム人労働者です。2023年時点では、約62,026人のベトナム人が建設業に従事しており、外国人労働者全体の中で最大の割合を占めています。
ベトナムでは日本の技能実習制度が広く知られており、多くの若者が日本での経験を求めて来日しています。賃金水準の高さや技能習得の機会も、ベトナム人労働者が多くなる要因です。
アジア系国籍が上位を占める傾向
建設業ではアジア系国籍の労働者が中心であり、上位にはベトナム、インドネシア、フィリピン、中国が並びます。この背景には、技能実習制度や特定技能制度を通じて、これらの国籍の労働者を積極的に受け入れていることがあります。特にインドネシアやフィリピンの労働者は、日本の建設業界での経験を積むことを目的とした技能実習生が多いのが特徴です。
関連記事:建設業の外国人労働者の受け入れ国ランキングと採用する際の注意点を解説
全産業との国籍構成の違い
全産業の外国人労働者の国籍構成と比較すると、建設業ではインドネシア国籍の割合が高い点が特徴的です。
全産業ではベトナム、中国、フィリピン、ネパール、ブラジルなどの国籍が上位を占めますが、建設業ではブラジルやネパール出身者が比較的少なく、その代わりにインドネシアやフィリピン出身者が多い傾向にあります。
これには、業種ごとの労働需要や技能実習制度の影響が関係しています。
建設業で外国人労働者が増加している背景
少子高齢化による労働力不足
日本では少子高齢化が進み、労働力不足が深刻化しています。特に建設業界では、熟練職人の高齢化が進み、若手の確保が難しい状況が続いています。
国内の労働者だけでは需要を満たせないため、外国人労働者の受け入れが拡大しました。技能実習制度や特定技能制度を活用し、外国人労働者が建設現場で重要な役割を果たすようになっているのが現状です。
今後も労働力不足の解消策として、外国人材の活用がさらに進むと予想されています。
建設需要の増加と人材ニーズの高まり
都市再開発やインフラ整備の増加により、建設業界の需要が高まっています。特に東京オリンピックや大阪万博などの大型プロジェクトの影響で、一時的に多くの人材が必要となりました。
しかし、国内労働者だけでは対応しきれず、外国人労働者の受け入れが加速したのです。近年は、技能実習生や特定技能外国人が増加し、建設業界の労働力として定着しています。
今後もインフラ整備や災害復興に伴い、人材ニーズは高い水準を維持するでしょう。
外国人材受入れ制度の変遷
日本では1990年代に技能実習制度が導入され、外国人労働者が技術を学ぶ機会が増えました。そして2019年には特定技能制度が創設され、一定の技能を持つ外国人が長期的に働けるようになったのです。
これにより、建設業では技能実習生だけでなく、即戦力となる外国人労働者の受け入れが進みました。政府はさらに制度を拡充し、労働力不足の解消を図っています。
今後も制度の改善が続き、外国人労働者の働く環境がより整備されるでしょう。
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建設業における人手不足の主な要因
少子高齢化と熟練労働者の引退
日本の建設業では、少子高齢化の影響による人手不足が深刻化しています。特に熟練労働者の高齢化が進み、技術の継承が課題となっています。
また、若年層の新規参入が少なく、業界全体の労働力不足を助長している状況です。さらに、退職する熟練労働者の代わりとなる人材が不足しており、経験を持つ職人の減少が作業効率や品質の悪化にも影響を及ぼしています。
このため、外国人労働者の受け入れが進んでおり、技能実習制度や特定技能制度を活用して人材を確保する動きが加速しているのです。
低賃金と厳しい労働条件の問題
建設業は長時間労働や重労働を伴う職種が多く、給与水準が他の業種と比べて必ずしも高いわけではありません。特に日給制が主流のため、天候や作業状況により収入が不安定になることが問題視されています。さらに、労働環境の厳しさや安全面のリスクが若年層の建設業離れを加速させています。
これらの要因により、建設業界は慢性的な人材不足に陥り、新たな労働者を確保するための対策として外国人労働者の受け入れや労働環境の改善が求められているのです。
若年層の建設業離れ
建設業界では、若年層の職業選択肢の多様化により、新規入職者の確保が難しい状況です。特に「きつい、汚い、危険」という3Kのイメージが根強く、若年層が敬遠する傾向があります。
また、デジタル化の進展により、ITやサービス業などの分野が人気を集め、建設業の魅力が相対的に低くなっていることも、人材不足に拍車をかけている要因です。
このため、若年層の関心を引くために、業界のイメージ改善や給与・待遇の向上、働きやすい環境の整備が求められています。
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外国人労働者活用における課題
言語コミュニケーションの壁
外国人労働者の増加に伴い、職場での言語の壁が課題となっています。
なぜなら、建設業では専門用語や作業指示が多く、日本語の理解が不十分な労働者との意思疎通が難しい場面が増えているからです。これにより、作業ミスや安全管理の問題が発生する可能性が高まります。
そこで企業側では、多言語対応のマニュアルや翻訳ツールの導入、現場での日本語教育の強化を進めることで、円滑なコミュニケーションを図る必要があります。言語の障壁を克服することは、作業効率や安全性の向上にもつながる重要な要素です。
文化の違いによる摩擦
外国人労働者と日本人従業員の間では、文化の違いによる摩擦が生じることがあります。
例えば、日本の「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」の習慣は外国人にとって馴染みにくい場合があり、業務の進行に影響を与えることがあります。
また、労働時間や休暇の考え方の違いが、職場での誤解を生む要因となるケースも少なくありません。
そこで企業では、異文化理解を促進する研修を実施し、外国人労働者が職場に適応しやすい環境づくりを進めることが重要です。異文化の違いを尊重することで、円滑な職場環境を構築できるでしょう。
技能実習制度の限界と特定技能制度の活用
技能実習制度は日本の技術を習得する目的で導入されましたが、近年では低賃金や厳しい労働環境の問題が指摘されています。なぜなら、技能実習生は原則として転職が認められないため、労働条件が厳しくても職場を変える選択肢が限られているからです。
この課題を補完する形で、2019年に特定技能制度が導入され、一定の技能を持つ外国人労働者が長期的に働ける環境が整いました。
特定技能制度の活用により、外国人労働者の待遇改善と労働力の安定化が進むことが期待されています。
関連記事:特定技能と実習生の違いとは?建設会社が受け入れる際の注意点を解説
建設業の人手不足解消に向けた対策
ICT技術の積極的導入による生産性向上
建設業の人手不足を解消するために、ICT技術の活用が進んでいます。AIを活用した工程管理やドローンによる測量の効率化などにより、作業時間の短縮とミスの削減が可能です。
また、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入することで、設計から施工までの一元管理ができ、業務の効率化が図られるでしょう。
これらの技術革新により、少ない人員でも生産性を向上させ、労働力不足の解消につなげることが期待されています。
待遇改善と福利厚生の充実
建設業界では、賃金の向上や福利厚生の充実が大きな課題のひとつです。特に日給制を採用する企業が多いため、収入の安定性が欠ける点が若年層の離職につながっていると考えられています。
これを改善するため、賞与や退職金の支給、住宅手当の導入が進められています。また、資格取得支援制度を拡充し、スキルアップを促すことで、労働者の定着率向上を図る動きも活発化している状況です。
これらの施策により、建設業の魅力を高め、人材確保の強化につながることが期待されています。
労働環境の改善(週休2日制、残業時間削減)
長時間労働が建設業界の課題となっているため、週休2日制の導入や残業時間の削減が進められている状況です。
特に2024年から施行された時間外労働の上限規制により、労働者の健康維持とワークライフバランスの向上が図られています。
また、ICT技術を活用した業務効率化により、作業時間の短縮が可能となり、労働環境の改善にも期待がされています。
これにより、若年層の離職率低下や労働力の確保につながり、建設業界の持続的な発展が促進されるでしょう。
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外国人労働者の受入れ体制強化
多言語対応の研修プログラム整備
外国人労働者が円滑に業務を遂行できるように、多言語対応の研修プログラムの整備が求められています。
特に建設業では、専門用語の理解や安全対策の周知が重要であり、日本語だけでなく英語や母国語での研修を行うことで、労働者のスキル向上を促せるため有効です。
企業においては、翻訳ツールの導入や、現場での通訳支援を強化することで、より円滑なコミュニケーション環境を構築し、作業の安全性を高めることが可能です。
生活支援体制の構築
外国人労働者が日本で安心して働けるよう、生活支援体制の整備が重要です。これには、住居の確保や医療・行政サービスの案内、地域との交流支援などが含まれます。
特に、生活習慣の違いや言語の壁によって、外国人労働者が孤立することがないよう、企業は生活相談窓口の設置や、地域活動への参加を促す仕組みを構築することが求められています。これにより、労働者の定着率を向上させることが可能です。
キャリアパスの明確化と技能評価制度の導入
外国人労働者が長期的に安定して働くためには、キャリアパスの明確化と技能評価制度の導入が不可欠です。
特定技能制度の活用により、一定の技能を持つ外国人が長期的に働ける環境が整えられています。また、企業は昇進制度や資格取得支援を充実させ、外国人労働者がスキルアップできる仕組みを作ることで、定着率を向上させることができます。
これらの施策によって、外国人労働者が持続的に活躍できる職場環境を構築できるでしょう。
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