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建設業の2024年以降の動向を分析
課題の振り返りや今後の見通し・対策を解説

建設業の2024年以降の動向を分析|2023年までの課題の振り返りや今後の見通し、対策を解説

建設業は2023年以降、さまざまな課題に直面しています。

倒産件数の増加や資材価格の変動、人材不足など建設業で生き残るには、具体的な対策を検討する必要があるでしょう。

今回は、建設業の会社が2024年以降も生き残るための、業界の動向の分析や対処すべき課題、事業を維持するために必要な要素を解説します。

建設業に必要な今後の対策や行動を知りたい人はぜひ参考にしてください。

この記事の監修者
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野村 涼キャリアコンサルタント
これまで建設業界を中心に、1000名以上の転職を支援。特に施工管理技士全般と電気主任技術者の領域を得意とする。

建設業の現状と3つの課題とは

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今後の見通しを考える前に、建設業が現在直面している課題について考えます。

  • 海外情勢の変化による資材の高騰
  • 少子高齢化による後継者不足・人材不足
  • 新型コロナウイルス禍による倒産件数の増加

それぞれ詳しく見ていきましょう。

海外情勢の変化による資材の高騰

建設業が利用する建材や資材の多くは海外から輸入されています。

近年はウクライナ情勢の悪化や世界的な円安が影響して、資材の高騰が深刻です。

引用:[2022年度の「建設業」倒産動向]

2019年度と比較すると、2022年度の建設物価は1.5倍以上増加。

工事資材の高騰は、工事費用の増加につながるため、建設業では今後も激しい価格競争に悩まされるかもしれません。

少子高齢化による後継者不足・人材不足

建設業界で深刻になっているのが、労働人口の少子高齢化です。

引用:[建設業を巡る現状と課題]

データを見ると、2022年(令和4年)の労働人口のうち、55歳以上は35.9%、29歳以下は11.7%という結果に。

少子高齢化が原因で発生する問題は、後継者不足です。

建設業は資格の有無によって建設業許可の取得可否が決まるため、技術のある人材を育てる必要があります。

現状が続けば、技術を持った職人の大多数が退職をしてしまい、後継者が育つ環境を失ってしまうかもしれません。

新型コロナウイルス禍による倒産件数の増加

帝国データバンクの調査によると、2022年度(2022年4月〜2023年3月)は、過去2年間よりも倒産件数が増加しています。

引用:[2022年度の「建設業」倒産動向]

倒産件数が増加した主な原因は、上記で説明した物価の上昇と人材不足です。

新型コロナ禍の影響で中小企業の飲食店や宿泊施設などのサービス業の建設計画が中断している状況も、倒産件数の増加に起因しているのかもしれません。

特に建設業の中小企業は、今後も物価や環境の影響を強く受ける可能性があります。

会社を倒産させないためにも、今できる対策を考える必要があるでしょう。

建設業が懸念すべき2024年問題を解説

建設業の将来の動向として、2024年問題がよく挙げられます。

2024年問題とは、2024年4月までに建設業界が解決する必要がある労務環境の働き方改革のこと。

2024年4月から、建設業全体に以下の規制が適用されます。

  • 労働時間の上限規制
  • 月60時間を超えた場合の時間外割増賃金率引上げ

従来までは36協定の申請があれば、残業時間に制限なく労働時間を設定することが可能でした。

しかし今回の改革により、時間外労働時間に罰則付きで上限が設けられます。

つまり、2024年4月までに業務の効率化を実施して社員に割り当てられた仕事量を減らさなければ、従業員の働ける時間が減るため、従来どおり事業を回すことが難しくなるということ。

人材不足が懸念されている建設業で、従業員一人ひとりの働き方を見直す必要が出ています。

また、2023年から月60時間を超える労働に対する時間外割増賃金率の引上げが実施されています。

引上げ率は以下のとおり。

月60時間超の時間外労働への割増賃金率:25%から50%

月の残業時間が60時間を超えた段階で割増賃金が発生するため、会社では1人当たりの残業時間の削減が求められるでしょう。

弊社は、建設業界特化の総合ソリューション企業として、人材紹介から事業承継型M&A仲介など、経営に関するあらゆるお悩みを解決いたします。

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2024年問題に向けて建設業が取り組むべきDX化3選

2024年問題を回避するために建設業が取り組むべき行動は、DX化です。
ここでは具体的なDX化の手法を3つ解説します。

  • テレワークの推進
  • IT技術やAIを活用した現場作業の効率化
  • i-constructionによる建設業のICT化の普及

それぞれ詳しく見ていきましょう。

テレワークの推進

建設業が従業員の残業時間の削減のために取り入れるべき DX化は、テレワークです。

テレワークとは、家やカフェなど会社ではない場所から仕事をする働き方のこと。

建設業は実際に現場に入って作業する業務が多いため、テレワークとは無縁だと考えられがちです。

しかし、施工管理やCADオペレーター、設計士などの業務では、ICT技術を活用することで在宅での働き方ができるかもしれません。

たとえば施工管理の業務は工事現場での監督作業が含まれることで、監督作業中に別の作業ができなくなり、長期残業につながるというデメリットがありました。

ICT技術を活用することで、現場監督をしながら別の業務ができるようになれば、作業効率化につながり、残業時間を解消できるかもしれません。

IT技術やAIを活用した現場作業の効率化

作業員の労働時間の削減や安全確保のために、IT技術やAI技術の活用が効果的です。

実際に大手ゼネコンでは生産性の向上を目的に、積極的にAIを活用しています。

たとえば大手ゼネコンの一つである鹿島建設では、ダムなどの大型構造物に使うコンクリート型枠作業を、ロボットを使った「全自動化」に成功しています。

従来であれば5人で5時間弱の作業量だったのに対し、現在ではオペレーター1人が現場で対応し、3時間で完成。

ロボットの活用は、建設業の事故や怪我を防ぐことにもつながるでしょう。

i-constructionによる建設業のICT化の普及

i-constructionとは、政府が推奨する建設現場のさまざまな工程にICT技術を導入し、生産性向上を目指すための取り組みです。

i-constructionの導入では以下の作業をデジタル化・IoT技術で対応することを提案しています。

測量 ドローン等による3次元測量
設計・施工計画 3次元測量データを活用した施工量(切り土、盛り土量)の算出や設計・施工計画の立案
施工 ICT建設機械の自動制御による施工
検査 ドローン等による3次元測量を活用した検査の実施

出来形の書類が不要となり、検査項目が半減

引用:[i-Construction~建設現場の生産性革命~]

すべての建設現場でi-Constructionの実施を検討しているため、建設業全体でICT化が普及することが予想されます。

業界の動きに置いていかれないように、自社でも徐々にICT化の導入を検討してみてください。

建設業が取り組むべき労働環境の改善方法3選

ここからは、建設業が取り組むべき労働環境の改善方法を3つ解説します。

  • DX化による長時間残業の解消
  • 海外人材を活用した人材不足の解消
  • 建設キャリアアップシステムによる技術者の賃金の確保

それぞれ詳しく見ていきましょう。

DX化による長時間残業の解消

上で紹介したDX化を実施することで、作業員一人当たりに対する作業量が削減できます。

機械が作業を実施する間、作業員は別の作業に取り組めるようになるため、1日にこなす作業量が減り、結果として残業時間が削減できるでしょう。

他にも、DX化により作業員の作業の手間を削減すれば、業務効率化につながります。

たとえばペーパーレス化を実施して、クラウド上で書類が確認できれば、書類を探す手間や他の利用者が終わるまで閲覧を待つ必要もありません。

業務の中でDX化できる内容を見極め、徐々に作業を効率化していきましょう。

海外人材を活用した人材不足の解消

人材不足に対処するためには、海外からの人材を積極的に導入することが重要です。

政府は海外人材の業務区分を19区分と細分化していましたが、2022年からは業務区分を3区分に統合し業務範囲を拡大しています。

さらに特定技能外国人の安全性確保の観点から、専門工事業団と特定技能外国人受入事業実施法人と連携して業務に関わる前の訓練や研修を充実させているとのこと。

建設業の人材不足は、海外人材によって解消されるかもしれません。

建設キャリアアップシステムによる技術者の賃金の確保

建設業で働く技術者の課題は、資格に対する正当な賃金体制ができていないことでした。

2023年から建設キャリアアップシステムが建設業に導入され、技能者はICカードを使って自身の就労履歴を記録・管理できるように。

結果として、実績を可視化してどの現場でも正当な支払いを受けられるようになります。

事業者側としても、採用する人材のスキルを判断しやすくなるため、建設業全体の生産性の向上が期待できるでしょう。

2024年以降の建設業の見通しを解説

2024年以降の建設業はどう変化していくのでしょうか。

  • 今後も拡大する建設業全体の需要
  • 脱炭素化に向けた取り組みの増加
  • 改装工事・修繕工事の需要の拡大

それぞれ詳しく解説します。

今後も拡大する建設業全体の需要

結論、建設業は今後も拡大が見込まれます。

なぜなら、今後の日本の建設計画としては大阪万博に向けた建設計画や都市のインフラ改修、再開発プロジェクトなど多数検討されているため。

引用:[最近の建設業を巡る状況について]

データを見ると、平成23年ごろまでに停滞している建設投資額も令和3年度にかけて徐々に増加しています。

どの工事に需要があるか、どう自社が入り込めるかを分析することが重要になってくるでしょう。

脱炭素化に向けた取り組みの増加

環境への配慮が求められ、建設業も脱炭素化への取り組みが進んでいます。

例を挙げると、省エネ技術の導入や再生可能エネルギーの活用など。

建設業で扱う工事の中でも環境に貢献できる項目は多数あります。

SDGsへの取り組みは、競合他社との差別化や会社のイメージアップにもつながります。

改装工事・修繕工事の需要の拡大

建設業は新築だけでなく、改装や修繕工事の需要も拡大しています。

新規工事だけを請け負っている会社は、改装工事・修繕工事のサービス展開を検討してみてください。

今までは公共工事を請け負っていた会社が、リフォーム業に業務を切り替えたことで、事業を回復させたという事例も。

需要のある分野への参入が、生き残りの鍵になるでしょう。

弊社は、建設業界特化の総合ソリューション企業として、人材紹介から事業承継型M&A仲介など、経営に関するあらゆるお悩みを解決いたします。

  • 即戦力人材紹介・ヘッドハンティング
  • 若手高度外国人材紹介
  • 事業承継型M&A仲介
  • DXコンサルティング
  • 採用コンサルティング
  • 助成金コンサルティング

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2024年以降の建設業で生き残るために必要な3つの要素

ここからは2024年以降の建設業に求められる3つの要素を解説します。

  • 競合他社との差別化
  • 新規事業への取り組み
  • アナログとデジタルの組み合わせ

それぞれ詳しくみていきましょう。

競合他社との差別化

厳しい下請け構造が定着した建設業では、構造の下に行くほど競争力が高くなります。

下請け構造から脱出することで、自社独自の強みや特徴をアピールできるようになり、事業の安定化につながるでしょう。

下請け構造から脱出するために不可欠なのは、競合他社との差別化です。

差別化をするには、自社の強みや弱み、競合他社の分析を行うことが重要。

細かい分析方法やマーケティング手法を知りたい人は下記の記事を読んでみてください。

新規事業への取り組み

建設業だけでは事業を継続できないと考えた場合、新規事業への参入も検討しましょう。

自社の強み・弱みを他業界での活用を考えることで、少ないリソースで事業参入を進めることが可能です。

たとえば仕事が取れずに人手が余っているのであれば、別業界の人手が足りない会社へリソースを提供する方法が効果的かもしれません。

新規事業の参入に関する記事は、こちらで詳しく解説しています。

アナログとデジタルの組み合わせ

競合他社との差別化や新規事業への参入のどちらの手段を検討する場合も、アナログとデジタルを活用した集客が必須です。

たとえばエリアを限定した事業の認知の拡大であれば、チラシやイベントの開催を行ない地元の人との関わりを増やすことが大切です。

一方で、全国展開できるサービスを保有している場合は、SNSやWeb広告を活用して、絞り込んだターゲットに向けた発信を行う方が効果的でしょう。

アナログの手法も大切にしつつ、徐々にデジタルツールを導入して効率化することで、安定した成果を上げることが可能です。

まとめ

今回は建設業の現状の課題と2024年以降の動向、会社を維持するためにやるべき対策を解説しました。

建設業は少子高齢化や資材の高騰、倒産企業の増加など厳しい課題に直面しています。

しかし、記事で紹介した対策のように、自社だけの強みの発見やDX化、労働環境の改善などさまざまなアプローチを組み合わせることで対処できるでしょう。

2024年以降も建設業は大きく変化する可能性があります。

変化する環境に適応しながら、自社ならではの経営を目指すことが重要です。

この記事の監修者
agent-nomura2
野村 涼キャリアコンサルタント
これまで建設業界を中心に、1000名以上の転職を支援。特に施工管理技士全般と電気主任技術者の領域を得意とする。

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