3社間ファクタリングとは？2者間との違いやメリット、選び方を徹底解説

ファクタリングは建設会社などの資金繰り改善に有効な手段ですが、その中でも3社間ファクタリングを活用する企業が増えています。

なぜなら、従来の2者間ファクタリングとは異なる特徴を持つ3社間ファクタリングは、より柔軟な資金調達を可能にするからです。

ただし、3者間ファクタリングを利用する際は、その仕組みや具体的なメリット、適切な選び方を十分に理解しておくことが重要です。

そこで本記事では、3社間ファクタリングの基本概念から、2者間との違い、導入のメリット、そして最適な選択方法まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

3社間ファクタリングとは？基本的な仕組みと流れを解説

ファクタリングとは？

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金（売掛債権）をファクタリング会社に売却し、支払期日前に現金化する資金調達方法です。これは「債権の売買（債権譲渡）」にあたります。

ファクタリングには大きく分けて2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがありますが、以下では3社間ファクタリングについて詳しく解説します。

関連記事：2社間ファクタリングの仕組みとメリット、注意点や上手な活用法を解説

3社間ファクタリングの仕組み

3社間ファクタリングとは、売掛先（債務者）と売却企業（債権者）、ファクタリング会社の3者が関与するファクタリング取引の一形態です。

3社間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング取引に同意することで、売掛金の支払い先がファクタリング会社に変更されます。

これにより、売却企業が早期に資金を調達できるのがメリットです。

出典：アスビック

3社間ファクタリングの流れ

次に、3社間ファクタリングの具体的な流れを、建設会社を例として解説します。

1. 建設会社がファクタリング会社に3社間ファクタリングを申し込みます。
2. 建設会社が売掛先（元請け会社など）にファクタリング利用の通知を行い、承諾を得ます。
3. 建設会社がファクタリング会社に売掛債権を売却します。
4. ファクタリング会社が建設会社に売掛金相当額から手数料を差し引いた金額を入金します。
5. ファクタリング会社が売掛先に債権譲渡の通知を行います。
6. 支払期日に、売掛先がファクタリング会社に直接売掛金を支払います。

上記の流れにより、建設会社は早期に資金を調達でき、資金繰りを改善できます。また、大型案件の受注や複数案件の同時進行が可能となり、事業拡大のチャンスを逃さずに済むでしょう。

3社間ファクタリングの契約形態の特徴

3社間ファクタリングの契約形態の特徴は、売掛先の同意が必要であることです。このため、売掛債権の回収リスクが低減し、ファクタリング会社にとってリスクが少ない取引となります。また、売却企業は早期に資金を調達できるため、キャッシュフローの改善が期待できます。

3社間ファクタリングは、売掛先との合意が必要な分、取引の透明性と信頼性が高まる点も特徴です。

3社間ファクタリングと2社間ファクタリングとの違いを比較

契約当事者と取引の流れの違い

項目	2社間ファクタリング	3社間ファクタリング
契約当事者	利用企業・ファクタリング会社	利用企業・ファクタリング会社・売掛先
売掛先への通知	不要	必要（通知・同意が必須）
売掛金の支払先	利用企業が回収後、ファクタリング会社へ	売掛先が直接ファクタリング会社へ支払う

上記のように、3社間ファクタリングでは売掛先（債務者）、売却企業（債権者）、ファクタリング会社の3者が関与します。一方、2社間ファクタリングでは、売却企業とファクタリング会社の2者のみが契約当事者となります。

また、3社間では売掛先の同意が必要ですが、2社間では不要です。そのため2社間の方が手続きが簡素化されやすい傾向にありますが、債権の回収リスクが高まります。

手数料率の比較

項目	2社間ファクタリング	3社間ファクタリング
手数料率	比較的高い（8%〜18％程度）	比較的低い（2%〜9%程度）
資金化スピード	速い（最短即日）	やや遅い（数日～数週間）
審査基準	利用企業の信用力重視	売掛先の信用力重視

一般的に、2社間ファクタリングは3社間ファクタリングに比べて手数料率が高く設定されることが多いです。これは、2社間ファクタリングでは売掛先の同意が不要なため、ファクタリング会社にとって回収リスクが高まるからです。

このように、2社間ファクタリングではリスクをカバーするために手数料が高くなる傾向があるため、3社間取引を採用する企業が増えています。

関連記事：ファクタリングの手数料相場とは？費用を抑えた効果的な活用方を徹底解説

審査基準の違い

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは、審査基準にも違いがあります。具体的には、3社間ファクタリングでは売掛先の信用力や同意が重要な要素となりますが、2社間ファクタリングでは売却側の企業の信用力がより重視されます。

2社間では売掛先の介入がないため、売却企業自体の信用力や財務状況が審査通過のポイントです。これにより、審査のアプローチが異なる点に注意しましょう。

関連記事：【建設会社必見】ファクタリング審査に落ちる理由とは？審査の基準や通すコツを解説

3社間ファクタリングのメリット

手数料率が低い

3社間ファクタリングでは、取引先企業、ファクタリング会社、そして自社の間で直接取引が行われるため、手数料率が低く抑えられます。なぜなら、取引先企業の同意を得たうえで、ファクタリング会社に直接支払いを行うため、リスクが低くなるからです。これにより、売却側の企業は、コストを削減しながら資金繰りを改善できます。

審査のハードルが低い

3社間ファクタリングは、審査のハードルが低いため、中小企業や新興企業にとっても利用しやすいのが特徴です。ファクタリング会社は取引先企業の信用力を重視するため、取引先企業が信頼できる場合、審査が迅速かつ簡便に行われます。これにより、迅速な資金調達が可能となります。

集金代行の手間が不要

3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が取引先企業から直接支払いを受けるため、企業側は集金代行の手間が不要です。これにより、企業は集金業務に費やす時間とコストを削減でき、より効率的な業務運営が可能となります。特に、取引先が多い企業にとっては大きなメリットです。

未回収リスクの軽減

3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が取引先企業の支払いを受けるため、未回収リスクが軽減されます。これにより、企業は安心して取引を行うことができ、キャッシュフローの安定性が向上します。特に、信頼性の高い取引先が多い場合でも、未回収のリスクがさらに低くなるでしょう。

3社間ファクタリングのデメリット

資金調達までに時間がかかる

3社間ファクタリングでは、資金調達までの時間が比較的長くなることがあります。これは、取引先企業、ファクタリング会社、自社の三者間での調整が必要なため、手続きが複雑になりがちだからです。このため、迅速な資金調達を求める企業にとっては、他のファクタリング手法や資金調達手段を検討する必要があります。

3社の合意が必要

3社間ファクタリングでは、取引先企業、ファクタリング会社、自社の3社間の合意が不可欠です。これにより、全ての関係者が納得するまでの調整が必要となり、時間と労力がかかることがあります。特に、取引先企業がファクタリングに対して理解や協力を示さない場合、契約成立が難しくなるかもしれません。

取引先への影響

3社間ファクタリングを導入する際、取引先企業に対する影響が避けられません。取引先がファクタリングを利用することで、信用評価や取引条件の変更を求められることがあるため、今後の取引関係に影響を及ぼす可能性があります。特に、取引先企業がファクタリングに対して否定的な印象を持っている場合には、ビジネス関係に悪影響を及ぼすリスクがあるでしょう。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのメリット・デメリットを比較

3社間ファクタリングの選び方

銀行系ファクタリングの検討

銀行系ファクタリングは、銀行が提供するファクタリングサービスで、安定性と信頼性が高いとされています。銀行の信頼を背負っているため、企業にとって安心感があります。

ただし、銀行系ファクタリングは手数料が比較的高めになることがあり、審査も厳しいケースが多いです。そのため、自社の資金繰り状況や手数料のバランスを考慮して検討することが重要です。

業種別対応の確認

ファクタリング会社は、業種に特化したサービスを提供しているケースが多いです。特定の業種に詳しいファクタリング会社を選ぶことで、業界特有の課題やニーズに対応できるサービスを受けることができるのはもちろん、審査が早いといったメリットがあります。自社の業種に適したファクタリング会社を選ぶことが、よりスムーズな取引を可能にするための重要な要素です。

対応可能な売掛債権額の確認

ファクタリングを利用する際は、ファクタリング会社が対応できる売掛債権額の上限や下限を確認することも重要です。自社の売掛債権額がファクタリング会社の対応範囲内であるかどうかを確認し、必要な資金調達が可能かどうかを判断しましょう。特に大規模な売掛債権を扱う場合は、対応可能なファクタリング会社を選ぶことが必要です。

オンライン契約の可否

オンライン契約が可能なファクタリング会社を選ぶことで、手続きを迅速かつ効率的に行うことが可能です。オンライン契約に対応している会社は、書類の提出や確認作業をインターネットを通じて行うため、時間と手間を大幅に削減できます。特に遠隔地にある企業にとっては、オンライン契約の可否が利便性に大きく影響します。

3社間ファクタリングの活用事例

大企業での活用例

ある大企業では、3社間ファクタリングを活用して大規模な売掛債権の早期回収を実現しました。この企業は、多数の取引先からの債権を一括してファクタリング会社に売却し、手数料を抑えつつ迅速な資金調達を行いました。これにより、資金繰りの安定化とともに、新たな投資機会を積極的に追求することが可能となりました。

中小企業での成功事例

中小企業においても3社間ファクタリングは有効です。例えば、ある製造業の中小企業は、季節的な需要変動に対応するために3社間ファクタリングを導入しました。これにより、ピーク時の資金需要に迅速に対応し、安定した生産体制を維持することができました。また、手数料率の低さも大きなメリットとなりました。

業種別の活用ポイント

各業種ごとに3社間ファクタリングの活用ポイントは異なります。例えば、建設業では大口取引先が多く、未回収リスクを軽減するために3社間ファクタリングが役立ちます。一方、IT業界では短期間での資金調達が必要な場合に適しています。

このように、業種特有の課題に応じて適切なファクタリング会社を選び、効果的に活用することが重要です。

3社間ファクタリングの審査と通過率、通過のコツを解説

審査基準の詳細

3社間ファクタリングの審査基準には、取引先企業の信用力、売掛債権の内容、自社の財務状況が含まれます。

取引先企業の信用力は、支払い能力や取引履歴が評価されます。売掛債権の内容は、請求書の額面や支払い条件を確認し、信頼性のある取引であるかが重要です。また、自社の財務状況も審査されるため、安定した経営状態を保つ必要があります。

審査通過率の目安

審査通過率は、ファクタリング会社によって異なりますが、一般的には70%から90%程度となっています。ただし、取引先企業の信用力や売掛債権の内容によっても通過率は変動します。

信頼性の高い取引先を持つ企業や、安定した財務状況を維持している企業は、通過率が高い傾向です。具体的な通過率は、ファクタリング会社に直接確認することをおすすめします。

審査通過のコツ

3社間ファクタリングの審査を通過するためのコツとして、以下のポイントがあります。

• 売掛先との関係が良好であることを示す
• 資金調達を急いでいないことをアピールする
• 売掛債権の額が十分に大きいことを確認する
• 必要書類（登記簿謄本、決算書、印鑑証明書など）を事前に準備する
• 売掛先の信用力が高いことを示す
• 自社の財務状況が健全であることを示す
• 売掛債権の真正性を証明できる書類を用意する
• 過去の取引履歴が確認できる通帳のコピーを準備する
• 売掛先との基本契約書を提出する
• 不正利用の可能性がないことを示す

これらの点に注意を払うことで、3社間ファクタリングの審査通過の可能性を高めることが可能です。

3社間ファクタリングの利用手順と必要書類

3社間ファクタリングの利用手順

3社間ファクタリングの利用は、まずファクタリング会社への申し込みから始まります。次に、売掛債権や会社情報など必要書類を提出し、ファクタリング会社による審査を受けます。

審査に通過した後は、売掛先（取引先）に債権譲渡の事実を通知し、承諾を得ることが必須です。その後、利用企業・ファクタリング会社・売掛先の三者で正式な契約を締結します。

契約成立後、ファクタリング会社から買取代金（売掛債権額から手数料を差し引いた金額）が入金されます。最終的に、売掛先が支払期日にファクタリング会社へ直接売掛金を送金する流れです。

申し込みから契約までの具体的な流れ

利用者はまず、3社間ファクタリングを扱う会社を選定し、WEBや電話などで申し込みます。申し込み後、売掛債権や会社の財務状況などに関する書類を提出し、ファクタリング会社による審査が行われます。

審査では、売掛先の信用力や売掛債権の信憑性が重視されるのが特徴です。審査に通過した場合、売掛先に債権譲渡通知を送り、承諾を得る必要があります。

売掛先の同意が得られたら、三者間で契約を締結し、資金が入金されます。申し込みから入金までは通常1～2週間程度かかるのが一般的です。

3社間ファクタリングで必要となる主な書類

3社間ファクタリングでは、以下のような書類が一般的に必要です。

法人の場合は登記簿謄本、決算書、印鑑証明書、取引先との契約書や請求書、通帳のコピー、納税証明書などが求められます。個人事業主の場合は確定申告書や身分証明書が必要です。

これらの書類は、売掛債権の存在や会社の信用力、取引の実態を証明するために使われます。ファクタリング会社によっては追加書類を求められる場合もあるため、事前に確認し、漏れなく準備することが重要です。

売掛先への通知と承諾取得のポイント

3社間ファクタリングでは、売掛先に債権譲渡の通知を行い、必ず承諾を得る必要があります。売掛先の承諾が得られない場合、契約は成立しません。

通知や承諾の手続きはファクタリング会社が代行することもありますが、取引先に不安を与えないよう丁寧な説明が必要です。売掛先がファクタリング利用に納得し、協力的であることがスムーズな資金調達のポイントとなります。

通知後は、売掛金の支払い口座をファクタリング会社に変更する手続きも必要です。

契約締結後から資金化までの流れ

三者間で契約締結後、ファクタリング会社は売掛債権額から手数料を差し引いた金額を利用企業へ入金します。売掛先は支払期日になったら、売掛金を直接ファクタリング会社の指定口座に振り込む仕組みです。これにより、利用企業は早期に資金を調達でき、ファクタリング会社は売掛先から直接回収するためリスクを抑えられます。契約から入金までは数日から2週間程度が一般的で、手数料も2社間より低く抑えられる傾向にあります。

3社間ファクタリングの選び方と注意点

手数料の比較とコスト意識

3社間ファクタリングの最大のメリットは、2社間に比べて手数料が低い点です。手数料は2～8％程度が一般的ですが、会社によって差があるため、複数社から見積もりを取り比較することが重要です。特に高額な売掛債権を現金化する場合、わずかな手数料差が受取金額に大きく影響します。コストを抑えたい場合は、手数料率を重視して選びましょう。

審査基準と売掛先の信用力

3社間ファクタリングでは、売掛先の信用力が審査の中心となります。売掛先が上場企業や大手企業であれば審査がスムーズですが、中小企業や新規取引先の場合は審査が厳しくなることもあります。また、売掛先の同意が必須なため、事前に取引先との信頼関係を築いておくことが重要です。自社だけでなく売掛先の状況も考慮して選びましょう。

業種や取引規模への対応力

ファクタリング会社によっては、特定の業種や取引規模に特化したサービスを提供しています。自社の業種や売掛金額に合ったファクタリング会社を選ぶことで、審査や手続きがスムーズに進み、業界特有の事情にも柔軟に対応してもらえます。業種別の実績やサポート体制を事前に確認することが、安心して利用するためのポイントです。

契約条件とサービス内容の確認

契約書の内容やサービス範囲も事前にしっかり確認しましょう。手数料以外にも、契約解除条件や追加費用の有無、サポート体制などを比較することが大切です。特に、売掛先への通知方法や資金化までの期間、トラブル時の対応など、細かいサービス内容まで把握しておくことで、安心してファクタリングを利用できます。

信頼できるファクタリング会社の選定

口コミや実績、第三者機関の認定などを参考に、信頼できるファクタリング会社を選びましょう。大手や銀行系は信頼性が高い一方、審査が厳しい傾向があります。中小や新興企業向けの柔軟な対応を重視する場合は、実績や評判を重視して選ぶのがポイントです。悪質業者を避けるためにも、事前調査は必須です。

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