公認会計士試験の合格率の推移と低い理由、独学で合格するコツを徹底解説

公認会計士試験の合格率は毎年低い水準で推移しており、その合格率の低さからも、非常に高い難易度であることが伺えます。実際に公認会計士の資格は、弁護士や不動産鑑定士と並ぶ「三大国家資格」と呼ばれており、非常に価値の高い資格として認識されています。

公認会計士試験の低い合格率の背景には、試験の難易度の高さや受験者の準備不足などが挙げられるでしょう。しかし、公認会計士試験に独学で合格することも不可能ではありません。綿密な学習計画と効果的な勉強法を取り入れることで、独学でも十分に合格を狙うことが可能です。

そこで今回は、公認会計士試験の合格率の推移と低い理由、独学で合格するコツを徹底解説します。これから公認会計士を目指す方はもちろん、興味のある方も、ぜひ参考にしてください。

公認会計士試験の合格率の推移を徹底分析

公認会計士試験の合格率は、年によって変動がありますが、一般的に10％前後で推移しています。以下に、過去数年間の合格率の推移を示します。

合格率の推移

下記のように、平成25年から令和4年までの間は、合格率がおおむね10％前後で推移しています。

出典：キャリアガーデン　より

上記のように、令和4年度の合格率は7.7％でした。

また、試験形式別で見てみると、短答式試験の合格率は20～25％程度で、論文式試験は合格率は35～40％程度となっており、非常に難易度の高い試験であることがわかります。

合格率が低い理由

公認会計士試験の難易度が高く、合格率が低い理由としては、試験範囲の広さが挙げられるでしょう。

公認会計士試験では、会計学や監査論、企業法、租税法などの専門的な知識が必要で、長時間にわたる勉強が求められます。

また、全科目を一度に受験し、合格しなければならないため、負担が大きいことも、合格率を下げる要因の一つです。

そのため、公認会計士試験に合格するためには、長期的なモチベーションの維持が必要です。また、試験対策には平均3000時間の学習が必要とされており、約2～3年の勉強期間を設けるのが一般的です。

受験者数と合格者数の推移

平成19年度の合格者数は4,041人で、過去最多となりました。しかし、平成27年度の合格者数は1,051人まで減少し、その後少し増えました。

なお、令和3年度の合格者数は1,360人で、令和4年度の合格者数は1,979人となっています。

公認会計士試験の合格率が低い理由とは？主な6つの要因を解説

公認会計士試験の合格率が低い理由は、いくつかの要因が複合的に影響しています。以下に主な理由を挙げます。

1. 試験範囲が広いこと
2. 一度に全科目受験する必要があること
3. 長い学習時間が要求されること
4. 試験の難易度が高いこと
5. 競争が激しいこと
6. 受験者のレベルが高いこと

それぞれ解説します。

1.試験範囲が広いこと

試験範囲が広いことが合格率を低くする要因の一つです。公認会計士試験は、財務会計、管理会計、監査論、企業法、税法など多岐にわたる分野をカバーしています。

例えば、財務会計だけでも多くの基準や規則を理解し、適用する必要があります。これに加えて他の科目も同時に学習する必要があるため、膨大な知識量が必要です。 

このように、試験範囲が広いために全ての分野を網羅するのが難しく、合格率が低くなっています。

2.一度に全科目受験する必要があること

一度に全科目を受験する必要があることが、合格率を低くする要因の一つです。公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の両方で全科目を一度に受験しなければならないため、負担が大きいのが特徴です。

例えば、短答式試験では一日に複数の科目を受験し、論文式試験では3日間にわたって試験が行われます。このため、全科目を一度に準備するのは非常に大変です。 

このように、一度に全科目を受験する必要があるため、合格率が低くなります。

3.長い学習時間が要求されること

長い学習時間が要求されることも、合格率を低くする要因の一つです。公認会計士試験に合格するためには、膨大な学習時間が必要です。そのため、多くの受験生は数千時間にわたる学習を余儀なくされます。

例えば、毎日8時間の学習を1年間続けると約2,920時間になりますが、全くの未経験者が公認会計士試験を受験して合格するには、これを2年ほど続ける必要があるとされています。しかし、このような長時間の学習を継続するのは、非常に難しいのが現実です。 

このように、長い学習時間が要求されることで、合格率が低くなっています。

4.試験の難易度が高いこと

試験の難易度が高いことも、合格率を低くする要因の一つです。公認会計士試験は、非常に高いレベルの知識と理解を求められる試験です。問題は実務に即した内容であり、単なる暗記では対応できません。

例えば、論文式試験では、実際の企業の財務諸表を分析し、適切な会計処理を提案する問題が出題されます。このような問題に対応するためには、深い理解と応用力が必要です。 

このように、試験の難易度が高いことで、合格率が低くなっています。

5.競争が激しいこと

競争が激しいことも、合格率を低くする要因です。公認会計士試験は、多くの受験生が挑戦するため、競争が非常に激しいです。また、合格者数が限られているため、上位の成績を収めなければ合格できません。

例えば、毎年数千人が受験しますが、合格者はそのうちの一部に限られます。このため、他の受験生との競争が激しくなります。 

このように、競争が激しいことで、合格率が低くなっています。

6.受験者のレベルが高いこと

受験者のレベルが高いことも、合格率を低くする要因の一つです。公認会計士試験を受験する方の中には、早慶大学の出身者など、高い学力を持つ方が多いことでも知られています。そのため、競争がさらに厳しさを増しているのが現実です。

例えば、多くの受験生は大学で会計や経済を専攻しており、既に基礎的な知識を持っています。このため、試験の合格レベルが非常に高くなるのです。 

このように、受験者のレベルが高いことで、合格率が低くなっています。

独学で公認会計士試験に合格するためのコツ

独学で公認会計士試験に合格するのは大変ですが、しっかりとした計画と効果的な勉強法を取り入れることで可能です。以下に、独学で合格するためのコツを紹介します。

1. 基礎を固める
2. 過去問題を活用する
3. 模擬試験を受験する
4. 計画的な学習を行う
5. 予備校や通信講座を活用する
6. グループ学習を取り入れる
7. 適度な休息とリフレッシュ時間を設ける

それぞれ解説します。

1.基礎を固める

基礎を固めることは、試験合格のための重要なステップです。逆に、基礎がしっかりしていないと、応用問題や複雑な問題に対応できません。

例えば、財務会計の基本的な概念や原則をしっかり理解し、基本的な問題を確実に解けるようにすることが重要です。

2.過去問題を活用する

過去問題を活用することは、試験対策に非常に有効です。過去問題を解くことで、試験の出題傾向や問題の形式に慣れることができます。

例えば、過去5年分の問題を繰り返し解き、出題パターンを把握することで、試験本番での対応力が向上します。

3.模擬試験を受験する

模擬試験を受験することは、実際の試験環境に慣れるために重要です。模擬試験を通じて、時間配分や試験のプレッシャーに慣れることが可能です。

例えば、予備校が提供する模擬試験を定期的に受験し、本番と同じ環境で練習することで、試験当日の緊張を軽減できるでしょう。

4.計画的な学習を行う

計画的な学習を行うことは、効率的な学習を進めるために必要です。計画を立てることで、学習の進捗を管理し、無駄なく学習を進めることが可能です。

例えば、月間・週間・日間の学習計画を立て、各科目の学習時間をバランスよく配分することで、全体的な学習効率が向上します。

5.予備校や通信講座を活用する

予備校や通信講座を活用することは、専門的な指導を受けるために有効です。専門家の指導を受けることで、効率的に学習を進めることが可能です。

例えば、予備校の講義を受講し、疑問点を講師に質問することで、理解を深めることができるでしょう。

6.グループ学習を取り入れる

グループ学習を取り入れることは、互いに刺激し合いながら学習を進めるために有効です。 なぜなら、他の受験生と一緒に学習することで、モチベーションを維持しやすくなるからです。

例えば、週に一度グループで集まり、各自の進捗を確認し合い、問題を共有して解決することで、学習効果が高まります。

7.適度な休息とリフレッシュ時間を設ける

適度な休息とリフレッシュ時間を設けることは、効率的な学習を維持するために重要です。 休息を取ることで、集中力を維持し、疲労を回復することができます。

例えば、1時間勉強したら10分の休憩を取る、週に1日は完全に休むといった方法が効果的です。

公認会計士試験の合格率のまとめ

このように、公認会計士試験は非常に難易度が高く、合格率が低いため、長期間にわたる勉強に取り組む必要があります。

そこで、公認会計士試験の合格を目指すには、しっかりとした学習計画を立てて、インプットとアウトプットを繰り返しながら勉強することが大切です。

また、公認会計士の資格や実務経験を活かして、より条件の良い職場への就職や転職をお考えの方は、ご自身のキャリアプランの策定とともに、これまでのキャリアの棚卸しを行い、ご自分の強みや目標をしっかりと把握しておくことが大切です。

そこで、ご自身が目指す業界や職種に特化した転職エージェントに相談して自己分析を行い、ご自身の特徴や強みをしっかりと理解してから就職や転職活動を行いましょう。

信頼のできる転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進められれば、就職や転職に関する悩みを解消できるだけでなく、自己分析やヒアリングを通して、自分の向いている本当の職種に気付けるかもしれません。

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