施工管理技士とは?資格の種類と仕事内容、難易度や受験資格まで徹底解
施工管理 建設 働き方やキャリア 転職建設業界で重要な役割を担う施工管理技士の資格は、建設現場の品質、工程、安全、コスト管理において欠かせない存在です。しかし、その具体的な仕事内容や、資格取得に必要な条件については、意外と知られていないのが現状です。
そこで本記事では、施工管理技士の役割から資格の種類、さらには難易度や受験資格まで、詳しく解説します。
建設業界でのキャリアアップを考えている方や、この資格に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
施工管理技士とは?資格や役割を解説
施工管理技士の定義
施工管理技士は、建設工事の計画、実施、監督を担当する専門職です。建設現場での工事が円滑かつ効率的に進行するよう、品質、安全、進捗管理を行います。
具体的には、工事計画の策定、現場での作業指導、問題発生時の対応などを担当し、プロジェクトの成功に貢献します。
国家資格としての位置づけ
施工管理技士は、一定の実務経験と国家試験の合格が必要な国家資格です。
施工管理技士の資格は、建設業界での専門知識と技能を証明するものであり、取得すれば、施工管理のプロフェッショナルとして認められます。また、資格の取得により、キャリアの向上や職場での信頼性が高まるでしょう。
建設業法における役割
建設業法において、施工管理技士の役割は、工事の品質、安全、進捗管理を徹底することです。
施工管理技士は、工事計画の作成、作業の指導・監督、法令遵守の確認を行い、建設プロジェクトの適正な遂行をサポートします。また、問題が発生した際には迅速に対応し、安全な作業環境を維持する重要な役割を果たします。
施工管理技士の種類と特徴
7種類の施工管理技士資格
施工管理技士には、建築、土木、電気工事、管工事、造園、舗装、機械設備の7種類の資格があります。各資格は、それぞれの専門分野に応じた知識と技術を持つことを証明するものです。
これらの資格を取得することで、各分野の施工管理に必要なスキルを備えたプロフェッショナルとして認められます。
1級と2級の違い
1級と2級の施工管理技士の違いは、主に担当する工事規模と技術力にあります。
1級は大規模工事や高い専門知識が求められる現場での管理を行い、現場全体の統括が可能です。2級は小規模工事や特定の分野に限定される管理を担当し、現場の補助的な役割を果たします。
1級の資格を取得することで、より高い責任を持てるようになるため、キャリアの向上に繋がります。
施工管理技士の7種目の概要
以下では、施工管理技士の7種目の概要を紹介します。
種類 | 概要 | 主な対象工事 |
建築施工管理技士 | 建築工事の施工計画、施工図作成、工程・品質管理を行う | マンション、住宅、ビル、公共施設、商業施設の新築・改修工事 |
土木施工管理技士 | インフラ工事や土木工事現場の施工管理を担当 | 道路、橋梁、トンネル、ダム、河川、災害復旧・復興工事 |
電気施工管理技士 | 電気設備工事の施工管理を行う | 変電・送電設備、配線、照明、信号の新設・改修工事 |
管工事施工管理技士 | 配管設備工事の施工管理を担当 | 空調設備、ガス配管、上下水道設備、浄化槽の新設・改修工事 |
造園施工管理技士 | 造園工事や緑化工事の施工管理を行う | 公園、学校、庭園、道路緑化工事 |
建設機械施工管理技士 | 建設機械を使用する工事現場の施工管理を担当 | クレーン車、ブルドーザー、油圧シャベルを使用する建築・土木工事 |
電気通信工事施工管理技士 | 電気通信設備工事の施工管理を行う | 通信ケーブル、無線設備、ネットワーク機器の設置工事 |
なお、各資格には1級と2級があり、資格レベルによって指導・監督できる工事の規模が異なります。
これらの資格は建設業界で重要な役割を果たすものであるため、取得することで技術者のキャリアアップに有利に働くでしょう。
施工管理技士の仕事内容
四大管理(工程、原価、安全、品質)の詳細
施工管理技士の四大管理には、工程管理、原価管理、安全管理、品質管理があります。以下でそれぞれ解説します。
管理項目 | 目的 | 主な業務内容 | 重要ポイント |
工程管理 | 工事を所定の期間内に完了させる |
|
|
原価管理 | 工事を予算内で完了させる |
|
品質と安全性を維持しつつコストを抑える |
安全管理 | 事故を未然に防ぎ、作業員の安全を確保する |
|
|
品質管理 | 要求された品質基準を満たす |
|
|
これらの四大管理は互いに密接に関連しており、一つの管理項目に問題が生じると他の項目にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、施工管理者には四大管理をバランスよく統括し、リーダーシップを発揮して現場を導く能力が求められます。
現場での具体的な業務
施工管理技士の現場での具体的な業務には、工事の計画作成、進捗管理、資材の手配、作業員の指導・監督、品質チェック、安全確認、問題発生時の対応などがあります。
以下で、施工管理技士の現場での具体的な業務を以下の表にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。。
業務 | 具体的な仕事内容 |
工事の計画作成 |
|
進捗管理 |
|
資材の手配 |
|
作業員の指導・監督 |
|
品質チェック |
|
安全確認 |
|
問題発生時の対応 |
|
施工管理技士は、これらの業務を通じて工事全体を統括し、品質・工期・コストのバランスを保ちながら、安全で効率的な施工を実現します。現場の状況に応じて柔軟に対応し、常に先を見据えた判断が求められる重要な役割を担っています。
主任技術者と監理技術者の役割
主任技術者は、特定の建設現場において、施工計画の立案や工事全体の管理を行います。監理技術者は複数の建設現場を統括し、工事の全体的な進行管理や品質管理、安全管理を担います。
主任技術者は、現場に常駐しながら、日々の施工を直接監督する人材です。一方、監理技術者は、全体の戦略を立案し、現場間の調整を行います。
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施工管理技士の受験資格と難易度
1級・2級それぞれの受験資格
施工管理技士の受験資格について、一級と二級それぞれの概要を以下の表にまとめました。なお、この情報は令和6年度(2024年度)以降の新制度に基づいています。
1級施工管理技士の受験資格
検定段階 | 受験資格 | 備考 |
第一次検定 | 19歳以上(受験年度末時点) | 学歴や実務経験は不問 |
第二次検定 | 第一次検定合格後、以下のいずれかを満たす者
|
実務経験のうち1年以上は特定実務経験が必要 |
2級施工管理技士の受験資格
検定段階 | 受験資格 | 備考 |
第一次検定 | 17歳以上(受験年度末時点) | 学歴や実務経験は不問 |
第二次検定 | 第一次検定合格後、以下のいずれかを満たす者
|
実務経験の一部に特定実務経験が必要 |
以下で、受験資格の詳細を解説します。
- 新制度では、第一次検定の受験資格が年齢のみとなり、1級は19歳以上、2級は17歳以上で受験可能となりました。
- 第二次検定の受験には、第一次検定合格後に一定期間の実務経験が必要です。実務経験の年数は学歴によって異なります。
- 特定実務経験とは、一定規模以上の工事において、監理技術者や主任技術者の指導下で行った経験、または自らがそれらの立場で行った経験を指します。
- 令和6年度(2024年度)から令和10年度(2028年度)までは経過措置期間とされ、旧制度の受験資格でも受験可能です。
- 実務経験の証明方法も変更され、原則として工事ごとに工事請負者の代表者等または監理技術者等による証明が必要となります。
- 複数の検定種目に対応する建設業の種類の工事経験は、同じ経験を複数の検定種目の実務経験として申請することが可能です。
この新制度により、若い世代でも早期に資格取得にチャレンジできるようになり、建設業界の担い手確保・育成につながることが期待されています。
学歴・実務経験による受験資格の違い
上記の表からもわかるように、学歴によって施工管理技士の受験資格に求められる実務経験年数が異なります。
例えば、大学卒業者は1級の場合3年以上、2級の場合2年以上の実務経験が必要です。一方、高校卒業者は1級の場合10年以上、2級の場合2年以上の実務経験が必要です。
学歴に応じてハードルが異なるため、十分に注意しましょう。
令和6年度からの新受験資格制度
上記のように、令和6年度から新しい受験資格制度が導入されています。この制度では、学歴や実務経験に加え、専用の研修や教育プログラムの修了が受験資格の条件となる場合があります。これにより、施工管理技士の質を向上させることが目的です。
詳細な制度の内容は、国土交通省の資料や、国土交通省のWebサイトを通じてご確認ください。
なお、試験日程などの詳細については、下記の指定試験機関のホームページからもご確認いただけます。
検定種目 | 指定試験機関(問合せ・申込先) | 電話番号 |
土木施工管理
(1級・2級) |
(一財)全国建設研修センター | 042-300-6860 |
建築施工管理
(1級・2級) |
(一財)建設業振興基金 | 03-5473-1581 |
電気工事施工管理
(1級・2級) |
(一財)建設業振興基金 | 03-5473-1581 |
管工事施工管理
(1級・2級) |
(一財)全国建設研修センター | 042-300-6855 |
造園施工管理
(1級・2級) |
(一財)全国建設研修センター | 042-300-6866 |
建設機械施工管理
(1級・2級) |
(一社)日本建設機械施工協会 | 03-3433-1575 |
電気通信工事施工管理
(1級・2級) |
(一財)全国建設研修センター | 042-300-0205 |
引用:国土交通省
施工管理技術検定の概要
第一次検定と第二次検定の内容
施工管理技術検定の第一次検定は、施工管理の基礎知識や法令、安全衛生などを問う筆記試験です。施工管理の全般的な知識を確認するための問題が出題されます。
第二次検定は、実際の施工管理に関する応用的な知識や技術を評価する実技試験で、実務経験を基にした問題が中心です。
試験内容は、具体的な現場での対応力や問題解決能力が必要です。
試験の実施時期と頻度
施工管理技術検定は、各種類ごとに年に1回〜2回実施されています。第一次検定と第二次検定はわけて実施されることが多いです。
試験日は地域ごとに異なる場合がありますので、受験希望者は事前に各地域の建設業協会のウェブサイトでスケジュールを確認してください。
また、試験の申し込み期限が早いため、長期的な計画と準備が必要です。
各資格の合格率と難易度の傾向
施工管理技士の資格ごとの合格率と難易度の傾向について、データが公表されているものを中心に、以下で分析します。
1級施工管理技士
・建築施工管理技士
第一次検定の2024年度の合格率は36.2%で、過去5年間では36.0%~51.1%の範囲で推移しています。
第二次検定の2024年度の合格率は40.8%で、前年比4.7ポイント減少。過去5年間では40.7%~52.4%の範囲で推移しています。
・土木施工管理技士
第一次検定の2024年度(令和6年度)の合格率は44.4%でした。
第二次検定のデータが最新ではありませんが、過去の傾向では58.8%~70.9%の範囲で推移しています。
・電気工事施工管理技士
第一次検定の過去5年間の平均合格率は42.2%です。
第二次検定の過去5年間の平均合格率は61.9%となっています。
2級施工管理技士
・建築施工管理技士
第一次検定の過去5年間の合格率は33.3%~50.7%の範囲で推移しています。
第二次検定の過去5年間の合格率は28.2%~52.9%の範囲となっています。
・電気工事施工管理技士
第一次検定の過去5年間の平均合格率は54.2%です。
第二次検定の過去5年間の平均合格率は46.1%となっています。
難易度の傾向
一級と二級を比較すると、一般的に1級の方が2級よりも難易度が高いです。
第一次検定と第二次検定の比較では、建築と土木で第一次検定の方が合格率が低く、より難しい傾向にあります。
一方、電気工事では、第一次検定の方が第二次検定よりも難しい傾向が見られます。
年度による変動を見ると、合格率は年度によって変動があり、一定の傾向を示すのは難しいと言えるでしょう。
他の電気系資格と比較すると、電気工事施工管理技士は、第一種電気工事士や第二種電気工事士よりも難易度が高く、電験三種よりは易しい傾向です。
総じて見ると、施工管理技士の試験は決して容易ではなく、特に一級の資格取得には十分な準備と実務経験が必要です。また、合格率の変動も大きいため、最新の傾向を把握しつつ、計画的な学習が求められます。
施工管理技士の資格を取得するメリット
キャリアアップの可能性
施工管理技士の資格を取得することで、建設業界でのキャリアアップが可能となります。これは、資格取得により、専門知識や技術力が証明され、昇進や責任あるポジションに就く機会が増えるからです。
また、プロジェクトマネジメント能力が評価され、より大規模なプロジェクトを担当できるようになるのも大きなメリットです。
年収への影響
施工管理技士の資格を取得することで、年収が増加する傾向があります。これは、資格を持つことで、専門知識と技術力が認められ、給与や手当が上がるケースが多いからです。
特に1級施工管理技士の資格を持つことで、高い専門性が評価され、年収が大幅に向上する可能性が高まるでしょう。
転職市場での評価
施工管理技士の資格は、転職市場で非常に高く評価されます。資格を持つことで、即戦力としてのアピールができ、求職活動が有利に進むでしょう。
また、建設業界全般での需要が高いため、他業界への転職も視野に入れることができます。資格を取得することで、信頼性と能力を証明できるため、採用率が高まります。
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施工管理技士の勉強方法とおすすめの教材
効果的な学習計画の立て方
効果的な学習計画を立てるには、まず試験日までのスケジュールを確認し、逆算して学習期間を設定する必要があります。
主要な科目ごとに学習時間を割り振り、毎日の学習目標を具体的に設定しましょう。また、過去問の演習や模擬試験を取り入れることで、試験形式に慣れることが重要です。
なお、計画は柔軟に見直し、進捗に合わせて調整することが大切です。
おすすめの参考書や問題集
施工管理技士の勉強には、信頼性の高い参考書や問題集の利用が効果的です。例えば、「施工管理技士試験完全攻略ガイド」や「過去問集」などが人気です。
これらの教材は、試験内容に沿った詳しい解説や豊富な問題を収録しており、自学自習に役立つでしょう。
テキストや問題集は、最新の試験傾向に対応した教材を選ぶことが重要です。
オンライン学習リソースの活用法
オンライン学習リソースの活用も有効です。
オンライン講座やビデオレクチャーを利用することで、専門家の解説を分かりやすく学ぶことができます。また、模擬試験や練習問題を提供するウェブサイトも多く、実践的な学習が可能です。
SNSやフォーラムでの情報交換も学習意欲を高めるために有効です。
施工管理技士の主なキャリアパス
新卒から経験者までのキャリア展開
新卒として施工管理技士を目指す場合、まずは基礎的な知識と技術を学び、現場での実務経験を積むことが重要です。
実務経験を通じてスキルを磨き、2級施工管理技士の資格取得を目指しましょう。さらに経験を重ねて1級施工管理技士を取得し、大規模プロジェクトの管理や専門分野でのスキルを向上させることで、キャリアアップを図りましょう。
専門分野のスペシャリストへの道
施工管理技士としてのキャリアを築く中で、特定の専門分野に特化することも有効です。例えば、建築、土木、電気工事、機械設備などの専門資格を取得し、その分野での経験と知識を深めることで、スペシャリストとしての地位を確立します。
専門分野でのスキルを高めることで、プロジェクトへの貢献度が増し、キャリアの幅が広がります。
マネジメント職への昇進可能性
施工管理技士の経験を積むことで、現場のリーダーとしてのスキルが身につきます。
1級施工管理技士の資格を持つことで、現場監督からプロジェクトマネージャー、さらには部門のマネージャーや経営層への昇進の機会が広がります。
マネジメント職に就くことで、より大規模なプロジェクトを統括し、企業全体の戦略を立案する役割を担うことができます。
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施工管理技士のまとめ
このように、施工管理技士の仕事は、非常にやりがいと魅力のある職種です。
ただし、施工管理技士として働く際には、仕事への適性を考慮する必要があるため、十分な自己分析が必要です。
そこで、施工管理技士への就職や転職を考える際は、ご自分に合っている仕事を見つけるための分析を行い、しっかりと理解してから就職や転職活動を行いましょう。
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