公認会計士試験の難易度は？合格率や受験資格、勉強のコツを徹底解説

公認会計士試験は、司法試験や不動産鑑定士試験と並ぶ、国内で最も高い難易度を誇る国家試験の一つです。合格の難しさは、合格率の低さからも見て取れます。

しかし、しっかりとした準備と戦略を持って臨めば、合格することは可能です。そこでまずは、受験資格についての理解が必要です。公認会計士試験には特定の学歴や実務経験が必要とされるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

次に、合格率について知ることで、自分の立ち位置を把握し、適切な目標設定が可能となります。そして、過去問の活用や計画的な学習スケジュールの作成といった、勉強のコツを押さえることで、効率的に学習を進めることができるでしょう。

そこで今回は、公認会計士試験の難易度や合格率、受験資格や勉強のコツを徹底解説します。これから公認会計士を目指す方はもちろん、興味のある方も、ぜひ参考にしてください。

公認会計士試験の難易度は？難しいと言われる理由5つを解説

公認会計士試験は、司法試験や不動産鑑定士試験と並ぶ日本の三大国家資格の一つであり、非常に難易度が高い試験です。

以下では、公認会計士試験が難しいと言われる理由を5つ紹介します。

1. 合格率の低さ
2. 試験範囲の広さ
3. 学習時間の長さ
4. 試験の形式
5. 受験生のレベルの高さ

それぞれ解説します。

1.合格率の低さ

公認会計士試験の合格率は非常に低いです。公認会計士試験の合格率は、毎年約10%前後で推移しており、10人に1人しか合格できない難関試験です。

例えば、2022年の合格率は約7.7%でした。

このように、試験の難易度が非常に高いことがわかります。

2.試験範囲の広さ

公認会計士試験は、試験範囲が非常に広いのが特徴です。財務会計論、管理会計論、監査論、企業法、租税法などの必須科目に加え、経営学、経済学、民法、統計学などの選択科目も含まれます。

これにより、受験生は多岐にわたる知識を身につける必要があります。

このように、公認会計士試験では、広範な知識が求められるため、試験の準備が大変です。

3.学習時間の長さ

公認会計士試験に合格するためには、非常に長い学習時間が必要です。実際に、会計の知識が全くないところからスタートした場合には、最低でも5,000時間以上の学習が必要とされています。

そのため、社会人がゼロからスタートするには、約3年〜5年間の学習期間を要するのが一般的です。

このように、長期間の学習が必要なため、計画的な学習が求められます。

4.試験の形式

公認会計士試験は、試験形式が複雑なことも特徴の一つです。公認会計士試験は、短答式試験（マークシート式）と論文式試験（筆記試験）の2段階に分かれています。

その中でも、特に論文式試験は難易度が高く、深い理解と応用力が求められます。

このように、形式が異なるため、各形式に応じた対策が必要です。

5.受験生のレベルの高さ

公認会計士試験の受験生のレベルは、非常に高いのも特徴です。実際に、多くの受験生が名門大学出身であり、競争が激しいです。

例えば、慶應義塾大学や早稲田大学などの出身者が多く受験しています。

このように、高い競争率の中で合格するためには、他の受験生よりもしっかりとした準備を行う必要があります。

公認会計士試験の合格率とその推移

公認会計士試験の合格率は、年によって多少の変動がありますが、一般的に10%前後で推移しています。

以下は、平成25年〜令和4年までの出願者数と合格率の推移を示しています。

出典：キャリアガーデン　より

出典：キャリアガーデン　より

上記のように、平成25年〜令和4年度の合格率は平均して約10%前後で推移していることがわかります。

公認会計士試験は、平成18年に試験制度が変更されたことで合格率が一時的に上昇しましたが、その後は低いレベルで安定している状況です。

このように、公認会計士試験は非常に難易度が高く、合格するためにはしっかりとした準備と努力が必要です。

公認会計士試験の受験資格と必要な条件

次に、公認会計士試験の受験資格と必要な条件について解説します。

公認会計士試験の受験資格

公認会計士試験には、学歴、年齢、性別、国籍に関する制限はありません。そのため、誰でも受験できます。

以前の制度では大学卒業などの受験資格が必要でしたが、平成18年以降の新試験制度の導入により、これらの制限が撤廃されました。

公認会計士試験の受験に必要な条件

公認会計士試験では、一部の科目について、特定の条件を満たすことで免除が認められる場合があります。例えば、会計専門職大学院修了者や税理士試験合格者などは、一部科目の免除が可能です。

このように、公認会計士試験は、誰でも挑戦できる開かれた試験と言えるでしょう。特定の学歴や年齢制限がないため、多くの人が目指しやすい資格となっています。

ただし、試験の難易度が非常に高いため、しっかりとした学習計画を立て、長時間勉強する必要があります。

公認会計士試験の合格に必要な勉強時間

公認会計士試験に合格するためには、長い勉強時間と効率的な学習方法が必要です。そこで以下では、勉強時間の目安と効率的な学習方法を解説します。

公認会計士試験の勉強時間の目安

公認会計士試験の勉強時間は個人の学習ペースや背景によって異なりますが、一般的な目安としては、次のようなものが挙げられます。

例えば合格までに3,000時間を要すると仮定した場合、1年間の勉強で合格を目指すとなると、1日10時間の勉強を300日続ける必要があります。これには、非常に集中した学習環境が必要であり、あまり現実的とは言えないでしょう。また、2年間で合格を目指す場合には、1日5時間程度の勉強を2年間続ける必要があります。

このように、比較的短期間で合格を目指すには、学生のように勉強に集中しやすい環境が必要です。

一方、社会人として働きながら公認会計士を目指す場合には、3年程度の期間を想定するのが現実的といえるでしょう。3年間で合格を目指す場合には、1日約3時間以上の勉強を3年間続けることで、合格ラインに達する可能性があります。

このように、公認会計士試験の合格には長い時間が必要です。そのため、社会人が公認会計士試験の勉強をする際は、数年単位の計画を立てて取り組むのがおすすめです。

公認会計士試験に合格するための勉強のコツ7つ

公認会計士試験に合格するためには、計画的かつ効率的な勉強法が重要です。以下に、合格に向けた勉強のコツを紹介します。

1. 学習計画を立てること
2. バランスよくインプットとアウトプットを行うこと
3. 模試で間違えたところを徹底的に復習すること
4. 重要なエリアに絞って勉強すること
5. 同じ教材を繰り返し使うこと
6. 受験仲間を作らないこと
7. 時間に投資する考えを持つこと

それぞれ解説します。

1.学習計画を立てること

学習計画を立てることは、公認会計士試験の効率的な勉強のために不可欠です。計画を立てることで、どの科目をどのタイミングで勉強するかが明確になり、無駄な時間を減らせます。

例えば、毎週の目標を設定し、進捗を確認することで、計画通りに進んでいるかを把握できます。

このように、しっかりとした学習計画を立てることが、効率的に勉強を進めるコツです。

2.バランスよくインプットとアウトプットを行うこと

公認会計士試験では、インプットとアウトプットのバランスを取ることが重要です。なぜなら、理解した知識を実際に使うことで、記憶が定着しやすくなるからです。

例えば、テキストを読んだ後に問題を解くことで、学んだ内容を確認できます。

このように、インプットとアウトプットをバランスよく行うことが、効果的な公認会計士試験勉強のコツです。

3.模試で間違えたところを徹底的に復習すること

公認会計士試験の勉強では、模試で間違えた箇所を徹底的に復習することが重要です。なぜなら、間違えた箇所を理解し直すことで、同じミスを繰り返さないようにできるからです。

例えば、模試の結果を分析し、間違えた問題を再度解き直すことで、理解を深めることができます。

このように、模試で間違えた箇所を復習することが、弱点を克服するコツです。

4.重要なエリアに絞って勉強すること

公認会計士試験の勉強では、重要なエリアに絞って勉強することが効果的です。なぜなら、公認会計士試験は、試験範囲が広いため、全てを完璧に理解することが難しいからです。そこで、重要な部分に集中することで、効率的な学習が可能となります。

例えば、過去問を分析し、頻出問題を重点的に勉強することで、得点力を上げることができるでしょう。

このように、重要なエリアに絞って勉強することが、効率的な公認会計士試験対策のコツです。

5.同じ教材を繰り返し使うこと

公認会計士試験の対策には、同じ教材を繰り返し使うことが効果的です。なぜなら、繰り返し学習することで、知識が定着しやすくなるからです。

例えば、一つのテキストを何度も読み返し、問題集を繰り返し解くことで、内容を深く理解できます。

このように、同じ教材を繰り返し使うことで、知識を確実に身につけることができます。

6.受験仲間を作らないこと

公認会計士試験の勉強では、受験仲間を作らないことも一つの方法です。なぜなら、他人と比較せず、自分のペースで学習を進められるからです。

例えば、独学で集中して勉強することで、自分の弱点に集中して取り組むことができます。

このように、受験仲間を作らないことが、自分のペースで効率的な学習をすすめるコツです。

7.時間に投資する考えを持つこと

公認会計士試験の勉強では、時間に投資する考えを持つことが重要です。公認会計士試験は長期戦です。そこで、時間をかけてじっくりと学習することが求められます。

例えば、毎日一定時間を勉強に充てることで、少しずつでも確実に知識を積み上げることができます。

このように、時間に投資する考えを持つことが、合格へ近づくコツです。

公認会計士試験の科目別の勉強方法

公認会計士試験は、複数の科目にわたる広範な知識が求められるため、各科目の難易度と対策を理解することが重要です。以下に、主要な科目の勉強方法を解説します。

公認会計士試験の科目には、次の5つがあります。

1. 財務会計論（簿記・財務諸表論）
2. 管理会計論
3. 監査論
4. 企業法
5. 租税法

それぞれ解説します。

1.財務会計論（簿記・財務諸表論）

財務会計論では、まず簿記と財務諸表論について学ぶ必要があります。

簿記については、基礎を固めるために、日商簿記2級や3級の問題集を繰り返し解くのが効果的です。そして、基本的な仕訳を瞬時に行えるようにしましょう。

一方、財務諸表論については、企業会計原則や財務諸表の基本的な構成要素を深く理解することが重要です。そこで、テキストの例題や問題集を用いて、理論と実務の結びつきを意識しながら学習しましょう。

2.管理会計論

管理会計論は問題演習を繰り返し行うことが重要です。なぜなら、管理会計論は計算問題が多く、問題を解くスピードと正確さが求められるからです。

例えば、原価計算や予算管理の問題を繰り返し解くことで、計算の流れやポイントを体得することができます。

このように、問題演習を繰り返し行うことで、管理会計論の得点力を高めることが可能です。

3.監査論

監査論は、監査基準や監査報告書の内容を理解し、記憶することが重要です。なぜなら、監査論は理論的な内容が多く、監査基準や監査報告書の細かい規定を覚える必要があるからです。

例えば、監査基準の前文や監査報告書の構成を理解し、具体的な監査手続きや監査証拠の収集方法を学ぶことが求められます。

このように、監査基準や監査報告書の内容をしっかりと理解し、記憶することで、監査論の得点力を高めることが可能です。

4.企業法

企業法は条文の理解と暗記が重要です。なぜなら、企業法は法律科目であり、条文の内容を正確に理解し、記憶することが求められるからです。

例えば、会社法や金融商品取引法の条文を読み込み、重要な条文やその趣旨を覚える必要があります。

このように、条文の理解と暗記を徹底することで、企業法の得点力を高めることができます。

5.租税法

租税法は計算問題と理論問題の両方をバランスよく学習することが重要です。なぜなら、租税法は計算問題が多く、また理論問題も出題されるため、両方の対策が必要だからです。

例えば、法人税法や所得税法の計算問題を繰り返し解き、理論問題では税法の趣旨や背景を理解することが求められます。

このように、計算問題と理論問題の両方をバランスよく学習することで、租税法の得点力を高めることが可能です。

公認会計士試験の難易度のまとめ

このように、公認会計士試験は非常に難易度が高く、長期間にわたる勉強が必要です。

そこで、公認会計士試験の合格を目指すには、しっかりとした学習計画を立てることが重要です。

また、公認会計士の資格や実務経験を活かして、より条件の良い職場への就職や転職をお考えの方は、ご自身のキャリアプランの策定とともに、これまでのキャリアの棚卸しを行い、ご自分の強みや目標をしっかりと把握しておくことが大切です。

そこで、ご自身が目指す業界や職種に特化した転職エージェントに相談して自己分析を行い、ご自身の特徴や強みをしっかりと理解してから就職や転職活動を行いましょう。

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