不動産鑑定士試験の受験資格や科目、合格率や効果的な勉強法を徹底解説

不動産鑑定士は、不動産の価値を正確に評価する専門家です。そして、不動産鑑定士試験は、不動産鑑定士を目指す方にとっての第一関門です。

ただ、不動産鑑定士試験は非常に難易度が高いために、しっかりとした勉強と対策が必要となります。不動産鑑定士の資格を取得するには、適切な勉強法を身につけ、効果的な学習計画を立てることが大切です。

そこで今回は、不動産鑑定士試験の受験資格や試験科目、合格率や効果的な勉強法を徹底解説します。これから不動産鑑定士を目指す方はもちろん、興味のある方も、ぜひ参考にしてください。

不動産鑑定士試験とは？具体的な仕事の内容も解説

まずはじめに、不動産鑑定士について、具体的な仕事内容などを解説します。

不動産鑑定士とは

不動産鑑定士とは、不動産の鑑定評価（不動産の利用価値や経済価値を把握してそれをお金にしたらいくらになるのかを示すこと）を専門的に行う専門家のことです。

不動産鑑定士は、不動産の価値を鑑定し、評価するのが仕事であり、不動産に関する高度な知識を持つプロフェッショナルとして活躍しています。

不動産鑑定士の仕事の内容

不動産鑑定士の主な仕事には、次のようなものが挙げられます。

1.不動産鑑定評価書の作成

不動産鑑定士の仕事の核となるのは、土地や建物などの不動産の価値を鑑定・評価して、不動産鑑定評価書を作成することです。不動産鑑定評価書には、価格だけでなく、所在地、地番、権利、評価額を決定した理由なども記載されます。

不動産鑑定士は、現地調査などのフィールドワークを経て不動産に関する情報を収集し、評価書を作成します。

2.コンサルティング業務

不動産鑑定士は、不動産に関する知識や鑑定評価に基づいて、クライアントから相談を受けた内容に合わせて不動産の活用方法に関するアドバイスを行います。

具体的には、賃貸物件の適正な賃料や、投資、融資、売買、転用など、さまざまなシーンで顧客が最も利益を得られる方法を提案します。

不動産鑑定士になるためのプロセス

不動産鑑定士になるためには、次のプロセスを踏む必要があります。

1.不動産鑑定士の試験に合格する

不動産鑑定士試験は難易度が高く、毎年1回行われます。短答式試験と論文式試験の両方に合格する必要があります。

なお、受験資格はないため誰でも受験できますが、合格率は約3％程度となっており、司法試験や公認会計士試験と並ぶ、難関試験の1つとされています。

2.実務修習を受ける

試験に合格しても、実務鑑定士としての活動はできません。国土交通大臣の登録を受けた実務修習機関で実務修習を受け、修了考査に合格する必要があります。

なお、実務研修は講義、基本演習、実務演習の3つに分かれています。

3.不動産鑑定士として活動開始

実務修習の終了考査に合格し、不動産鑑定士の登録が完了すれば、不動産鑑定士としての活動が可能です。登録後は、独立開業や企業への就職など、さまざまな道が開かれるでしょう。

不動産鑑定士試験の内容を徹底解説 

不動産鑑定士試験は、不動産鑑定の専門家である「不動産鑑定士」の資格を取得するために受験する国家試験です。

以下では、不動産鑑定士試験の内容について解説します。

1. 試験科目

不動産鑑定士試験は、短答式試験と論文式試験の２段階選抜方式です。

各試験の具体的な試験科目、試験時間、出題数、出題形式は以下の通りです。

短答式試験

試験科目

• 不動産に関する行政法規
• 不動産の鑑定評価に関する理論（鑑定理論）

試験時間

• 行政法規: 10:00～12:00（120分）
• 鑑定理論: 13:30～15:30（120分）

出題数および配点

• 行政法規: 出題数40問、配点100点
• 鑑定理論: 出題数40問、配点100点
• 出題形式: 五肢択一マークシート方式

論文式試験

試験科目

• 民法
• 経済学
• 会計学
• 不動産の鑑定評価に関する理論（鑑定理論）

試験日時

• 民法: 1日目10:00～12:00（120分）
• 経済学: 1日目13:30～15:30（120分）
• 会計学: 2日目10:00～12:00（120分）
• 鑑定理論（論文）: 2日目13:30～15:30（120分）
• 鑑定理論（論文）: 3日目10:00～12:00（120分）
• 鑑定理論（演習）: 3日目13:30～15:30（120分）

出題数および配点

• 各科目: 出題数2問、配点100点
• 鑑定理論（演習）: 出題数1問、配点100点
• 出題形式: 論文式（演習による出題を含む）

2. 難易度と合格率

不動産鑑定士試験は非常に難易度の高いものであり、最終合格率は約3％〜5％程度です。

合格までに必要な勉強時間は約2000時間ほどで、一般的に1年半～2年ほどの学習計画が必要と言われています。

特に論文式の対策は独学では難しく、予備校や通信講座などで勉強する人が多い傾向にあります。

不動産鑑定士試験の効果的な勉強方法

次に、不動産鑑定士試験の効果的な勉強方法について、以下のポイントを中心に解説します。

1. 学習計画の立案

定期的な学習スケジュールを作成し、毎日一定の時間を確保して学習することが重要です。

試験までの期間を考慮し、各科目を均等に学習できるように計画を立てましょう。

2. 基礎知識の習得

各科目の基礎知識をしっかりと理解することが大切です。特に、不動産に関する行政法規や不動産の鑑定評価に関する理論は重要な科目です。

基礎書を読み込み、理解を深めるためには、自己テストやクイズを活用して知識の定着を図りましょう。

3. 過去問題の解析

過去の試験問題を解くことで、試験の傾向と対策を把握します。

過去問演習を通じて、実際の試験に近い形での練習を行い、時間管理も同時に行うことが重要です。

4. 学習グループの活用

勉強仲間やグループでの学習を通じて、情報交換や知識の共有を行うことも効果的です。

わからない点や疑問点があれば、専門家への相談や質問サイトを活用するのもおすすめです。

5. 専門学校や通信講座の利用

独学での学習が難しい場合は、専門学校や通信講座を利用することも一つの方法です。

特に、論文式試験の対策は専門的な指導が必要とされるため、プロの講師から指導を受けるのがおすすめです。

6. 定期的なレビューと調整

学習計画は定期的に見直し、自分の理解度や進捗に合わせて調整することが大切です。

効率的な学習を続けるためには、継続的な努力と計画的な学習が必要です。

これらの勉強方法を組み合わせて、効率的かつ効果的な学習を進めていくことが、不動産鑑定士試験の合格につながるでしょう。

不動産鑑定士の試験対策におすすめの参考書 

不動産鑑定士試験の対策としておすすめの参考書には、以下のようなものがあります。

1.不動産鑑定士 短答式試験 鑑定理論 過去問題集

この問題集は、短答式試験「鑑定理論」の過去問と解答・解説がまとめられており、試験対策に最適です。

2.不動産鑑定士 経済学 過去問題集

経済学の問題と解答例がまとめられており、出題傾向を把握しながら学習することができます。

3.不動産鑑定士 論文式試験 鑑定理論 過去問題集 論文

論文式試験の鑑定理論に関する過去問題が収録されており、答案の構成方法を学ぶのに役立ちます。

4.不動産鑑定士 民法 過去問題集

民法に関する過去問とその解答例が含まれており、法律論の書き方や論点の把握に有効です。

これらの参考書を利用して、各科目の出題傾向や解答のコツを掴み、効率的な学習を進めることが重要です。また、実際の試験に近い形での演習を行い、時間管理を意識しながら勉強するように心がけましょう。

また、試験対策としてこれらの参考書を使いながら、以下のポイントを押さえることも大切です。

• 基礎知識を確実に習得すること
• 過去問題を繰り返し解析すること
• 時間配分の練習をすること
• 苦手分野を克服すること
• 模擬試験で実践演習すること

難易度の高い不動産鑑定士試験では、上記のポイントを押さえた計画的かつ継続した学習が、合格の成否を分けると言えるでしょう。

不動産鑑定士試験合格者の体験談と勉強のコツ

不動産鑑定士試験は難関であり、効率的な勉強法が求められます。そこで以下では、合格者の体験談と勉強のポイントを紹介します。

1.専門学校を利用する

不動産鑑定士試験は独学で対応するのが難しい場合もあります。そこで、専門学校の講座を受講するのもおすすめです。特に論述式の対策には専門学校が有効です。

2.アウトプット学習を取り入れる

論文問題の対策にはアウトプット学習が必要です。知識を理解するだけでなく、自分の言葉でアウトプットすることが大切です。

鑑定理論や民法、経済学などの科目について、問題を解いたり、自分でまとめたりすることで理解を深めましょう。

3.過去問を活用する

過去問は試験の傾向を理解するために重要です。過去問を解くことで出題形式や難易度を把握し、対策を立てましょう。

4.科目ごとの対策を行う

行政法規（短答式）では、宅建士などの資格を取得している場合に、範囲が重なることがあります。そこで、宅建士の資格を先に取得するのもおすすめです。

また、鑑定理論（論述式）ではアウトプット学習を重視し、専門学校の講座を受講することで対策を進めましょう。

民法や経済学（論述式）については、理解を深め、数式で理解することで対策を強化できます。

5.合格ラインと合格率を意識して勉強する

短答式試験の合格ラインは総合点でおよそ7割です。論述式試験の合格ラインは総合点で概ね6割です。また、不動産鑑定士試験は、最終的に相対評価で合否が決定されるため、他者と差がつくような回答が求められます。

不動産鑑定士試験は難易度が高い資格ですが、適切な対策を講じることで合格できる可能性が高まるでしょう。

不動産鑑定士への転職には特化型の転職エージェントがおすすめ

特化型エージェントとは、特定の業界や職種に特化したエージェントのことです。例えば「ビーバーズ」のような、不動産業界や建設業界などの特定の分野を専門的に扱うエージェントを指します。

不動産鑑定士への転職を考える際に特化型の転職エージェントを利用することがおすすめされる理由はいくつかありますが、以下では、その主な理由6つを解説します。

1.業界の専門知識を提供してくれるから

特化型の転職エージェントは不動産業界に精通しており、業界の動向、求人市場の特性、必要なスキルセットなど、専門的な知識を提供してくれます。

2.質の高い求人情報を保有しているから

例えばビーバーズでは、不動産業界に特化しているため、一般に公開されていない非公開の独占求人や質の高い求人情報にアクセスできる強みがあります。

3.キャリアアップのサポートが受けられるから

特化型の不動産業界の専門エージェントは、個々のキャリアプランに合わせたアドバイスを提供し、キャリアアップを目指す方にとって有益な情報を提供してくれます。

4.適切なポジションを紹介してくれるから

業界に特化したエージェントは、候補者の経験やスキルに合ったポジションを紹介することができるため、より適切な転職先を見つけることが可能です。

5.個別サポートが受けられるから

履歴書や職務経歴書の添削、面接対策など、転職活動における個別のサポートを受けることができます。

6.業界内のネットワークを活用できるから

不動産業界に特化したエージェントは、業界内の広いネットワークを持っており、それを活用して転職活動をサポートします。

上記の理由から、不動産鑑定士への転職には、特化型の転職エージェントが有効であると言えるでしょう。

不動産鑑定士試験のまとめ

このように、不動産鑑定士の仕事は、非常に難易度の高い国家試験に合格する必要があるものの、その分高収入に期待ができる営業職です。

ただし、不動産鑑定士への転職や就職を考える際は、ご自身がこの仕事に本当に合っているかをしっかりと自己分析しておくことが大切です。

そこで、不動産業界に特化した転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進めることで、転職に関する悩みを解消できる可能性が高まります。

また、専属のキャリアコンサルタントが、あなたの適性や客観的に自己分析してくれるため、ご自分に本当に向いている職種に気付けるかもしれません。

業界特化型の転職エージェント「ビーバーズ」では、あなたの自己分析のサポートをしながら、最適な転職先を提案いたします。

まずは「ビーバーズ」にお気軽に登録していただき、転職に関する悩みや疑問を相談してみましょう。