ウッドショックはいつまで続く？原因と対策、今後の見通しを解説【2024年最新版】

ウッドショックとは、2021年から始まった木材価格の急騰現象のことで、住宅業界や建設業界に大きな影響を与え続けている問題です。特に、輸入木材に依存する日本では、住宅価格の上昇や建設コストの増加が深刻な状況となっています。2024年現在もその影響は続いており、木材価格の高止まりや供給不足が懸念されています。

ウッドショックは、コロナ禍による生産・物流の停滞、米国の住宅需要の増加、ロシアの経済制裁など、複数の要因が重なって引き起こされている問題です。そのため、今後の見通しとしては、国産木材の利用促進や新たな供給ルートの確保が必要です。

そこで今回は、ウッドショックはいつまで続くのかや、主な原因と対策、今後の見通しを徹底解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ウッドショックとは？主な原因と背景を解説

ウッドショックとは、輸入木材の価格が急激に高騰し、住宅業界などに大きな影響を与える現象を指します。この現象は、1970年代のオイルショックにちなんで名付けられました。

ウッドショックが起きた主な原因としては、まず新型コロナウイルスの影響があります。このパンデミックにより、アメリカや中国で住宅需要が急増し、木材の需要が急激に高まりました。また、コロナ禍で物流が滞ったことで、木材の輸入が困難になったことも、より影響を大きくした要因です。この根本的な問題は、日本国内の林業が衰退し、木材の自給率が低下しているため、輸入材への依存度が高まっている点にあると言えるでしょう。

これらの要因が重なり、2021年頃からウッドショックが発生しました。木材価格の高騰は住宅建設コストの増加を招き、住宅業界や消費者に大きな影響を与えています。

2024年のウッドショックの現状と最新情報

2023年〜2024年にかけて、木材価格はウッドショックが始まった2021年とほぼ同等の水準に戻りましたが、依然として高い状態が続いています。特に2022年が価格高騰のピークだったとされています。

上記のように、2023年に木材価格が大幅に下落したことで、ウッドショックは一応の落ち着きを見せましたが、2024年に入り円安が進んだことで、輸入木材の価格高騰が再び懸念されている状況です。ただ、2024年の後半には、現在の円安から円高傾向に移行する可能性が高いため、今後の為替にも注目です。また、2023年以降も輸入木材量は減少しており、木材の供給は依然として不安定な状況にあります。

ウッドショックの影響を受けにくくするために、近年は国産木材の利用が促進されていますが、供給量の増加には限界があります。

このような状況から、ウッドショックがいつまで続くかは不透明ですが、木材価格の高止まりや輸入木材の減少が続く可能性が高いと考えるのが妥当です。そのため、建設業者や住宅業界の方々は、引き続き注意が必要です。

ウッドショックが建設業界に与える影響4つ

ウッドショックは、建設業界に多大な影響を与える要因の一つです。以下にその主な影響をまとめますので、ぜひ参考にしてください。

1. 価格の高騰
2. 工期の遅延
3. 収益の低下
4. 国産材の利用促進

それぞれ解説します。

1.価格の高騰

木材価格の急騰により、住宅建設コストが大幅に上昇しました。特に木造住宅の価格が影響を受けやすく、柱や梁などの主要な構造材の価格が高騰しています。

2.工期の遅延

木材の供給不足により、建設プロジェクトの工期が遅れるケースが増えています。予定していた木材が届かないため、工事が中断されることが多くなっています。

3.収益の低下

木材価格の上昇と工期の遅延により、住宅メーカーや工務店の収益が低下しています。特に低価格帯の住宅メーカーは、コスト増を吸収しきれず、経営難に陥るリスクが高まっています。

4.国産材の利用促進

ウッドショックの影響を軽減するために、国産木材の利用が促進されています。しかし、国産材の供給量には限界があり、完全な解決策とはなっていない状況です。

建設業界におけるウッドショックへの対応策

ウッドショックに備えるためには、以下の具体的な対策が有効です。

1. 国産木材の活用
2. 代替材料の検討
3. 早期契約と在庫管理
4. 物流の効率化
5. コスト管理と生産性向上

それぞれ解説します。

1.国産木材の活用

国産木材の利用促進は、輸入木材に依存しないための重要な対策です。具体的には以下のような取り組みが行われています。

補助金や助成金

政府や自治体が国産木材の利用を促進するために、補助金や助成金を提供しています。これにより、国産木材の価格競争力が向上します。

林業の活性化

林業従事者の育成や、林業の効率化を図ることで、国産木材の供給力を強化します。例えば、最新の技術を導入して生産性を向上させる取り組みが進められています。

2.代替材料の検討

代替材料の利用は、木材不足に対するリスクを分散するための有効な手段です。以下のような材料が検討されています。

鉄骨やコンクリート

これらの材料は木材に比べて価格変動が少なく、安定した供給が期待できます。特に大規模な建築物では、鉄骨やコンクリートの利用が一般的です。

再生可能資源

リサイクル材や再生可能な資源を利用することで、環境負荷を軽減しつつ、材料の多様化を図ります。

3.早期契約と在庫管理

早期契約と在庫管理は、木材価格の変動に対するリスクを軽減するための重要な対策です。

早期契約

木材価格がさらに上昇する前に、早めに契約を結ぶことでコストを抑えることができます。これにより、予算の安定化が図れます。

在庫の確保

必要な時にすぐに使用できるように、木材の在庫を確保することで、供給不足の影響を最小限に抑えます。

4.物流の効率化

物流の効率化は、木材の安定供給を確保するための重要な要素です。

新たな輸送ルートの開拓

海運業界の物流事情を改善し、新たな輸送ルートを開拓することで、木材の安定供給を図ります。

コンテナの確保

コンテナ不足を解消するために、コンテナの確保や効率的な利用を進めます。これにより、輸送コストの削減と供給の安定化が期待できます。

5.コスト管理と生産性向上

コスト管理と生産性向上は、木材価格の上昇に対応するための基本的な対策です。

コストの見直し

業務全体のコストを見直し、無駄を削減することで、木材価格の上昇に対応します。例えば、エネルギー効率の向上や資材の無駄を減らす取り組みが有効です。

生産性の向上

デジタルトランスフォーメーション（DX）を活用し、生産性を向上させることで、コストを抑えつつ効率的な運営を実現します。例えば、建設現場での自動化技術の導入や、プロジェクト管理の効率化が挙げられます。

これらの対策を組み合わせることで、ウッドショックの影響を最小限に抑え、持続可能な木材供給体制を構築することが可能です。

ウッドショックはいつまで続くのか？今後の見通し

ウッドショックの今後の見通しについては、いくつかの要因が絡み合っているため、明確な終息時期を予測するのは難しい状況です。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、今後の動向を理解する手助けになるでしょう。

現在の状況

2023年の木材価格は、ウッドショックが始まった2021年とほぼ同等の水準にありますが、2022年のピーク時からは大幅に下落しています。これは一時的な落ち着きを見せているものの、依然として高い水準にあることを示すものです。

今後の見通し

輸入木材の供給状況については、ロシアのウクライナ侵攻による経済制裁の影響で、ロシアからの木材輸入が制限されており、これが木材供給に大きな影響を与えています。また、コロナ禍による生産・物流の停滞も依然として影響を及ぼしており、特にコンテナ不足が深刻です。

一方、国内の木材自給率は約40%前後と低く、依然として輸入木材に大きく依存しています。これにより、世界的な木材不足の影響を受けやすい状況が続いています。また、これ以上円安が進行すると、輸入木材の価格がさらに高騰する可能性も否定できません。このように、為替の変動や世界的な物価上昇も、木材価格に影響を与える大きな要因です。

上記のような理由から、ウッドショックの影響はしばらくの間は続くと予想されています。木材価格はピーク時に比べて落ち着いてきたものの、依然として高い水準にあり、輸入木材の供給状況や国内の木材自給率の低さが改善されない限り、完全な収束は難しいと言えるでしょう。

ウッドショックが建設業界に与える影響のまとめ

このように、近年の建築資材の高騰の一要因として、ウッドショックが大きく影響しています。さまざまな国で摩擦が起こるいまでは、このウッドショックが解消される見込みが立たないのが現状です。

そのため企業では、独自の取り組みによってこの問題に対処する必要があります。

そこでもし、ウッドショックへの対応にお悩みがある方は、いますぐ「ビーバーズ」にご相談ください。貴社に最適なソリューションを提供いたします。