建設事業者が利用できる主な助成金・補助金9つと活用法【2024年最新版】
建設事業者にとって、助成金や補助金の活用は事業の成長や安定に欠かせない重要な要素です。ただ、近年は数多くの助成金や補助金制度が存在するため、それぞれの条件や申請方法を理解するのは容易ではありません。
しかし、このような助成金や補助金に関する最新情報を把握することは、事業運営において大きなメリットです。また、しっかりと情報を把握して活用することは、投資家などからの評価を得るためにも重要な要素と言えるでしょう。
そこで今回は、2024年度に建設事業者が利用できる主な助成金・補助金9つと活用法を徹底解説します。建設業を営む経営者の方はもちろん、財務や経理を担当する方も、ぜひ参考にしてください。
建設事業者における助成金と補助金の違い
まずはじめに、建設事業者における助成金と補助金の違いについて解説します。
助成金
助成金は、労働環境の改善や雇用促進など、社会的な課題解決を目的としています。
助成金を受け取るには一定の条件を満たせばよく、基本的に返済不要です。 また、助成金の申請プロセスは比較的簡単で、申請書類も少ないことが多いです。
建設業界では、トライアル雇用助成金や業務改善助成金、人材確保等支援助成金などが該当します。
補助金
補助金は、新しい建設機械の導入やITツールの導入など、特定の事業やプロジェクトの実施を支援するために提供されます。
補助金を受け取るには事業計画の提出や審査が必要で、条件を満たさない場合は返還が求められるケースもあるため注意が必要です。
申請プロセスも助成金より複雑で、詳細な計画書や報告書の提出が求められます。
建設業界では、事業再構築補助金やものづくり補助金、IT導入補助金がこれに該当します。
上記のように、助成金は比較的簡単に受け取れる一方で、補助金はより具体的な計画と成果が求められることが多いです。どちらを利用するかは、企業の目的や事業内容に応じて選ぶと良いでしょう。
2024年度に建設業界で活用できる主要な助成金9つ
2024年度に建設業界で活用できる主な助成金には、以下のようなものがあります。
- 事業再構築補助金
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 業務改善助成金
- トライアル雇用助成金
- 人材確保等支援助成金
- 働き方改革推進支援助成金
- 中小企業省力化投資補助金
それぞれ解説します。
1.事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小企業が新分野展開や事業転換を行う際に支援する補助金です。2024年度は「省力化投資補助枠」が新設され、最大1億円の補助が受けられます。これにより、建設業界でも新しい設備導入や業務効率化が進めやすくなります。
2.IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業がITツールを導入する際の費用を支援する補助金です。建設業界では、CADシステムや積算ソフト、勤怠管理ソフトなどの導入が対象となり、業務効率化や生産性向上を図ることができます。
3.ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業が革新的な製品やサービスの開発、生産プロセスの改善を行う際に支援する補助金です。建設業界では、新しい建設機械やシステムの導入に利用でき、最大1,250万円の補助が受けられます。
4.小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や生産性向上を行う際に支援する補助金です。建設業界では、ウェブサイトの作成や広告費、機械装置の購入などが対象となり、最大250万円の補助が受けられます。
5.業務改善助成金
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を引き上げ、生産性向上のための設備投資を行う際に支援する助成金です。建設業界では、機械設備の導入やコンサルティング費用が対象となり、最大600万円の補助が受けられます。
6.トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、若年者や女性の試行雇用を行う際に支援する助成金です。建設業界では、若年・女性建設労働者トライアルコースがあり、1人あたり最大12万円の補助が受けられます。
7.人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、若年者や女性に魅力ある職場環境を整備する際に支援する助成金です。建設業界では、作業員宿舎の設置や職場環境の改善が対象となり、支給対象経費の2/3が補助されます。
8.働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、中小企業の生産性向上を目的とした助成金です。労働時間の削減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備を支援します。建設業者の場合、労働者災害補償保険の適用事業主であり、資本金が3億円以下または従業員数が300人以下である必要があります。助成額は最大730万円で、成果目標の達成状況に応じて支給されます。
9.中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、中小企業の売上拡大や生産性向上に必要な省力化投資を促進するための補助金です。IoTやロボットの導入支援を行い、付加価値額や生産性向上を図ります。対象は資本金が3億円以下、または従業員数が300人以下の中小企業で、支給額は200万円〜最大1,500万円、補助率は2分の1以下です。
これらの助成金を活用することで、建設業界の企業は資金繰りの改善や労働環境の向上を図ることができます。
弊社は、建設業界特化の総合ソリューション企業として、人材紹介から事業承継型M&A仲介など、経営に関するあらゆるお悩みを解決いたします。
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各助成金や補助金の申請条件と対象者の詳細
次に、助成金や補助金の申請条件と対象者の詳細を解説します。
1.事業再構築補助金
事業再構築補助金の申請条件は次のとおりです。
事業再構築指針に基づく事業であること
事業再構築補助金を申請するための事業再構築指針には、新分野展開、業態転換、事業再編、国内回帰などが挙げられます。
事業計画を策定すること
事業再構築補助金を申請する際の事業計画は、認定経営革新等支援機関や金融機関の確認が必要です。
付加価値額を向上させること
事業再構築補助金を受けるには、補助事業終了後の3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0%~5.0%以上の増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0%~5.0%以上増加させる必要があります。
事業再構築補助金を申請できる対象者
事業再構築補助金を申請できるのは、日本国内に本社を有する中小企業者および中堅企業です。
事業再構築補助金の管轄機関
事業再構築補助金の管轄機関は、経済産業省です。
事業再構築補助金の申請先
事業再構築補助金は、事業再構築補助金事務局のウェブサイトから申請できます。
事業再構築補助金の詳細は、こちらをご参照ください。
2.IT導入補助金
IT導入補助金の申請条件は次のとおりです。
対象ツールを導入すること
IT導入補助金を申請するには、新たにCADシステム、積算ソフト、勤怠管理ソフトなどを導入する必要があります。
GビズIDプライムアカウントを取得すること
IT導入補助金の申請には、GビズIDプライムアカウントが必要です。
みらデジ経営チェックを実施すること
みらデジ経営チェックを実施して、経営課題の把握とデジタル化の進捗状況を確認する必要があります。
IT導入補助金を申請できる対象者
導入補助金を申請できるのは、資本金3億円以下、または従業員数300人以下の中小企業・小規模事業者です。
IT導入補助金の管轄機関
IT導入補助金の管轄機関は、経済産業省です。
IT導入補助金の申請先
IT導入補助金は、IT導入補助金2024のウェブサイトから申請できます。
IT導入補助金の詳細は、こちらをご参照ください。
3.ものづくり補助金
ものづくり補助金の申請条件は次のとおりです。
革新的な製品・サービスを開発すること
ものづくり補助金の申請には、革新的な製品・サービスを開発すること、または生産プロセスを改善することが条件となっています。
給与支給総額を増加させること
ものづくり補助金の申請には、従業員の給与支給総額を年率平均1.5%以上の増加させる必要があります。
最低賃金を引き上げること
また、正社員以外のパートタイマーなどに対しても、地域別最低賃金+30円以上の最低賃金の引き上げが必要です。
ものづくり補助金を申請できる対象者
ものづくり補助金を申請できるのは、資本金3億円以下、または従業員数300人以下の中小企業です。
ものづくり補助金の管轄機関
ものづくり補助金の管轄機関は、経済産業省です
ものづくり補助金の申請先
ものづくり補助金の申請は、ものづくり補助金事務局のウェブサイトから申請できます。
ものづくり補助金の詳細は、こちらをご参照ください。
4.小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金の申請条件は次のとおりです。
販路開拓や生産性向上に取り組むこと
小規模事業者持続化補助金の申請には、ウェブサイトの作成や広告費、機械装置の購入などが必要です。
経営計画を策定すること
小規模事業者持続化補助金の申請には、商工会議所や商工会の支援を受け、経営計画を策定する必要があります。
小規模事業者持続化補助金を申請できる対象者
小規模事業者持続化補助金を申請できる対象者は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者です。
小規模事業者持続化補助金の管轄機関
小規模事業者持続化補助金の管轄機関は、中小企業庁です。
小規模事業者持続化補助金の申請先
小規模事業者持続化補助金の申請は、各都道府県の商工会議所または商工会連合会を通じて申請します。
小規模事業者持続化補助金の詳細は、こちらをご参照ください。
5.業務改善助成金
業務改善助成金の申請条件は次のとおりです。
事業場内最低賃金を引き上げること
業務改善助成金の申請には、事業場内最低賃金と地域別最低賃金との差額が50円以内であることが条件です。
生産性向上のための設備投資を行うこと
業務改善助成金の申請には、機械設備、コンサルティング、人材育成などに投資する必要があります。
業務改善助成金を申請できる対象者
業務改善助成金を申請できる対象者は、従業員数300人以下、前年度の売上高が50億円以下の企業または個人事業主です。
業務改善助成金の管轄機関
業務改善助成金の管轄機関は、厚生労働省です。
業務改善助成金の申請先
業務改善助成金は、各都道府県労働局またはハローワークを通じて申請できます。
業務改善助成金の詳細は、こちらをご参照ください。
6.トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金の申請条件は次のとおりです。
ハローワーク等の紹介による雇用を行うこと
トライアル雇用助成金を申請する際は、原則3か月のハローワーク等の紹介によるトライアル雇用を行う必要があります。
対象労働者の条件を満たすこと
トライアル雇用助成金を申請する際は、1週間の所定労働時間が30時間以上、過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返しているなどの対象労働者を雇用する必要があります。
トライアル雇用助成金を申請できる対象者
トライアル雇用助成金を申請できる対象者は、若年者(35歳未満)または女性を建設技能労働者として試行雇用する中小建設事業主です。
トライアル雇用助成金の管轄機関
トライアル雇用助成金の管轄機関は、厚生労働省です。
トライアル雇用助成金の申請先
トライアル雇用助成金は、各都道府県労働局またはハローワークを通じて申請できます。
トライアル雇用助成金の詳細は、こちらをご参照ください。
7.人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金の申請条件は次のとおりです。
職場環境を整備すること
人材確保等支援助成金の申請には、作業員宿舎の設置や職場環境の改善が求められます。
若年者や女性の雇用を促進すること
人材確保等支援助成金の申請には、魅力ある職場環境を整備する必要があります。
人材確保等支援助成金を申請できる対象者
人材確保等支援助成金を申請できる対象者は、若年層や女性に魅力ある職場環境を整備する中小企業です。
人材確保等支援助成金の管轄機関
人材確保等支援助成金の管轄機関は、厚生労働省です。
人材確保等支援助成金の申請先
人材確保等支援助成金は、各都道府県労働局またはハローワークを通じて申請できます。
人材確保等支援助成金の詳細は、こちらをご参照ください。
8.働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金の申請条件は次のとおりです。
労働者災害補償保険の適用事業主であること
働き方改革推進支援助成金の申請には、労働者災害補償保険の適用事業主であることが求められます。
成果目標の設定に向けた条件を満たしていること
働き方改革推進支援助成金の申請には、成果目標の設定に向けた条件を満たしている必要があります。具体的には、時間外労働の削減や年次有給休暇の促進に関する目標を設定し、その達成を目指すことが求められます。
年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
また、働き方改革推進支援助成金の申請には、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している企業である必要があります。
働き方改革推進支援助成金を申請できる対象者
働き方改革推進支援助成金を申請できる対象者は、資本金または出資額が3億円以下、または常時使用する労働者数が300人以下の中小企業事業主です。
働き方改革推進支援助成金の管轄機関
働き方改革推進支援助成金の管轄機関は、厚生労働省です。
働き方改革推進支援助成金の申請先
働き方改革推進支援助成金は、申請書類を所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に提出することで申請可能です。提出方法は、郵送または窓口への持参でも可能です。
働き方改革推進支援助成金の詳細は、こちらをご参照ください。
9.中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金の申請条件は次のとおりです。
人手不足の状態にある中小企業・小規模事業者であること
中小企業省力化投資補助金の申請には、人手不足の状態にあることを証明するための証憑を提示するか、人手不足が経営課題である旨を申告する必要があります。
事業計画を策定すること
中小企業省力化投資補助金を申請する際は事業計画を策定し、補助事業終了後1~3年で従業員一人当たりの付加価値額が年率平均3%以上増加する見込みがあることを示す必要があります。
賃上げ計画を従業員に表明すること
中小企業省力化投資補助金の申請には、賃上げ計画を従業員に表明し、申請時点でその要件を満たす必要があります。
中小企業省力化投資補助金を申請できる対象者
中小企業省力化投資補助金を申請できる対象者は、日本国内に法人化されている中小企業または個人事業主であることです。なお、資本金が1億円未満の企業が一般的な対象となります。
中小企業省力化投資補助金の管轄機関
中小企業省力化投資補助金は、中小企業庁が管轄しています。
中小企業省力化投資補助金の申請先
中小企業省力化投資補助金の申請は、中小企業省力化投資補助事業事務局を通じて行います。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、電子申請が基本となります。
中小企業省力化投資補助金の詳細は、こちらをご参照ください。
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建設会社が助成金や補助金を最大限に活用するためのポイント5つ
以下では、建設会社が助成金や補助金を最大限に活用するためのポイントを5つ紹介します。
- 適切な助成金・補助金を選定する
- 申請要件を確認する
- 書類を準備して提出する
- 事業計画の実行と報告を行う
- 専門家を活用する
それぞれ解説します。
1.適切な助成金・補助金を選定する
助成金や補助金には多種多様な種類があります。自社の事業内容や目標に最も適したものを選ぶことが重要です。
例えば、環境対策を強化したい場合は「エコ補助金」、人材育成を重視するなら「人材育成助成金」などが考えられます。
選定の際には、助成金の目的や対象事業をしっかりと理解し、自社のニーズと一致するかを確認しましょう。
2.申請要件を確認する
助成金や補助金には、申請するための要件が細かく定められています。
例えば、従業員数や事業規模、過去の実績などが要件に含まれることがあります。
これらの要件を事前に確認し、自社が満たしているかどうかをチェックすることが必要です。要件を満たしていない場合、申請が却下される可能性が高いため、慎重に確認しましょう。
3.書類を準備して提出する
申請には多くの書類が必要です。事業計画書、経費の見積もり、過去の業績報告書などを準備し、期限内に提出することが求められます。書類の不備や遅延は申請の却下につながるため、細心の注意を払って準備しましょう。
また、提出前に第三者に確認してもらうことで、ミスを防ぐことができます。
4.事業計画の実行と報告を行う
助成金や補助金を受け取るためには、計画通りに事業を実行し、その進捗や結果を報告する必要があります。これには、定期的な報告書の提出や現地調査の対応が含まれることがあります。
助成金の目的に沿った活動を行い、透明性を持って報告することで、信頼性を高めることができます。
5.専門家を活用する
助成金や補助金の申請は複雑な場合が多いため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。社労士や中小企業診断士などの専門家に相談することで、スムーズに申請手続きを進めることができます。
専門家は最新の情報やノウハウを持っているため、申請の成功率を高めることができます。
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建設事業者が利用できる助成金・補助金のまとめ
このように、建設業界にはさまざまな種類の助成金や補助金が用意されているため、これらを有効に活用することで、人手不足の解消やDX化の推進にも役立てることができるでしょう。
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