特定社会保険労務士と社労士の違いは？業務内容や働き方、年収を比較して解説

社会保険労務士は、企業の人事労務に関するあらゆる問題を解決する専門家です。しかし、社会保険労務士の中でも、特定社会保険労務士という特別な資格を持つ人がいます。

この記事では、社会保険労務士と特定社会保険労務士の違いを、業務内容や働き方、年収などを比較しながら詳しく解説します。どちらの資格を取得するか迷っている方や、社会保険労務士のキャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

社会保険労務士と特定社会保険労務士の違い

社会保険労務士と特定社会保険労務士の違いを表にまとめて詳しく解説します。

社会保険労務士と特定社会保険労務士の違いは、その業務範囲や資格取得要件にあります。特定社会保険労務士は、より高度なスキルを持ち、個別労働紛争の解決手続代理業務を行うことができるため、特に労働問題の専門家としての需要が高いです。

特定社会保険労務士になるメリット

特定社会保険労務士になることで得られるメリットはいくつかあります。以下に詳しく説明します。

1.業務範囲を拡大しやすい

特定社会保険労務士は、社会保険労務士の業務に加えて、個別労働紛争の解決手続代理業務（ADR）を行うことが可能です。これにより、企業だけでなく労働者個人からの相談にも対応できるようになり、業務範囲が広がります。

2.高い専門性と信頼を得やすい

特定社会保険労務士は高度な知識と技能を持っているため、より専門的な問題解決が期待されます。このため、クライアントからの信頼も高まりやすく、プロフェッショナルとしての評価が向上します。

3.収入の増加に期待ができる

特定社会保険労務士としての資格を持つことで、提供できるサービスが増え、クライアントの数や業務内容が増えるため、収入の増加が期待できます。特に個別労働紛争の解決に関する業務は報酬が高いことが多いです。

4.多様なキャリアパスがある

特定社会保険労務士は、社会保険労務士としての一般的な業務に加えて、調停人や仲裁人としての役割を担うことができます。これにより、キャリアパスが多様化し、自分の専門性をさらに発揮できる場が広がるでしょう。

5.社会貢献できる

個別労働紛争の解決を通じて、労働者の権利を守り、公正な労働環境を実現することに貢献できます。社会正義の実現に寄与することで、やりがいを感じることができます。

6.自己成長の機会が多い

特定社会保険労務士になるためには、継続的な学習と研修が必要です。これにより、自己成長を続けることができ、最新の法律知識や問題解決技術を習得する機会が増えます。

特定社会保険労務士の仕事内容

特定社会保険労務士の仕事内容について詳しく説明します。

1.個別労働紛争の解決手続代理業務（ADR）

特定社会保険労務士の主要な業務は、個別労働紛争の解決手続代理業務（ADR）です。これは、労働者と使用者間の労働紛争を解決するための手続きを代理する業務です。具体的には以下のような活動が含まれます。

• 相談業務：労働者や使用者からの相談を受け、問題の内容を把握し、適切な解決策を提案します。
• 調停・仲裁：調停人や仲裁人として、労働者と使用者の間の紛争を解決するための調停や仲裁手続きを行います。
• 交渉代理：労働者や使用者を代表して、労働条件や労働環境の改善に関する交渉を行います。
• 解決手続きの代理：労働審判や調停など、法的手続きを代理します。

2.就業規則の作成・見直し

企業が労働環境を整備するために、就業規則の作成や見直しを行います。これには以下の作業が含まれます。

• 規則の作成：新しい就業規則を作成し、法令に適合するようにします。
• 見直し：既存の就業規則を定期的に見直し、必要に応じて修正します。
• 社員への説明：作成・見直した規則を社員に説明し、理解を深めてもらいます。

3.労働契約の管理

労働契約の管理も特定社会保険労務士の重要な業務です。これには以下の活動が含まれます。

• 契約書の作成：労働契約書を作成し、労働者と使用者の間の契約内容を明確にします。
• 契約条件の見直し：契約条件を定期的に見直し、労働者の権利を守るために必要な修正を行います。

4.労働問題の予防と対応

労働問題の発生を未然に防ぐための活動も行います。これには以下の内容が含まれます。

• 研修・教育：労働者や管理職に対して、労働法や労務管理に関する研修や教育を行います。
• 労働環境の整備：職場環境の改善提案やメンタルヘルスケアの推進など、労働環境の整備を行います。

5.法的アドバイス

最新の労働法や社会保険法に基づいた法的アドバイスを提供します。これには以下の活動が含まれます。

• 法律相談：労働法や社会保険法に関する相談を受け、具体的な解決策を提案します。
• 法改正対応：法改正に対応するためのアドバイスや企業の対応策を提案します。

6.その他の業務

特定社会保険労務士は、企業の労務管理全般に関する業務をサポートします。これには以下のような活動が含まれます。

• 給与計算：社員の給与計算や給与明細の発行を行います。
• 福利厚生の管理：福利厚生制度の運用や改善を行います。

特定社会保険労務士の仕事は多岐にわたり、企業の労務管理や労働者の権利保護に大きく貢献しています。

特定社会保険労務士の働き方

特定社会保険労務士の働き方はいくつかのスタイルがあります。それぞれの働き方について詳しく説明します。

1.企業内特定社会保険労務士

企業内特定社会保険労務士として働く場合、その企業の労務管理全般を担当します。具体的な役割には以下が含まれます。

• 労働契約の管理：労働契約書の作成や見直しを行い、法令に適合した労働条件を確保します。
• 労働紛争の解決：労働者と使用者の間の紛争を解決するための調停や仲裁を行います。
• 法改正対応：最新の法改正に対応するための企業の体制整備や社員教育を実施します。
• 給与管理：給与計算や給与支払いの管理を行い、正確な処理を確保します。

2.独立開業特定社会保険労務士

独立して事務所を構え、多くのクライアントと契約する場合です。この働き方では以下の業務が中心となります。

• クライアントの労務管理支援：クライアント企業の労務管理や社会保険手続きを代行します。
• 労働問題のコンサルティング：労働問題に関する相談を受け、解決策を提供します。
• 個別労働紛争の代理：労働者と使用者の間の個別労働紛争の解決手続きを代理します。
• 教育・研修：企業や団体に対して労働法や労務管理に関する教育・研修を提供します。

3.業務委託特定社会保険労務士

企業や個人事業主から業務を委託されて働く場合、このスタイルは柔軟な働き方が特徴です。

• 部分的な労務管理支援：特定の業務やプロジェクトに限定して労務管理や社会保険手続きをサポートします。
• 一時的な問題解決支援：一時的に発生する労働問題に対して短期間での対応を行います。
• 専門アドバイスの提供：特定の法令改正や労務問題に関するアドバイスを提供します。

4.教育・研究分野での活動

特定社会保険労務士としての知識や経験を活かし、教育や研究分野で活動する場合。

• 大学や専門学校の講師：労働法や労務管理に関する講義を担当します。
• 専門書や論文の執筆：自身の知識を整理し、出版物として提供します。
• セミナーや研修会の開催：専門知識を広めるためのセミナーや研修会を企画・実施します。

5.多様な働き方の実現

テレワークやフリーランスとして働く場合、時間や場所にとらわれずに柔軟な働き方が可能です。これにより、ワークライフバランスを重視しながら専門的な仕事を続けることができます。

特定社会保険労務士と社会保険労務士の年収を比較

特定社会保険労務士と一般の社会保険労務士の年収には違いがあります。特定社会保険労務士は、特定の業種や地域に特化した知識を持っているため、年収が高くなる傾向があります。

一般的に、特定社会保険労務士の年収は300万円から500万円程度とされています。一方、一般の社会保険労務士の年収は200万円から400万円程度とされています。

しかし、経験を積むにつれて年収が増加し、中堅社員の場合は600万円から800万円、ベテランの場合は1,000万円を超える場合が多いでしょう。

出典：厚生労働省　jobtag

特定社会保険労務士のまとめ

このように、特定社会保険労務士には、さまざまな業務をこなす「マルチタスク」が求められる仕事であるため、しっかりとご自身の適性を見極めたうえで、取り組むことが大切です。

そのため、特定社会保険労務士で成功するには、ご自身のキャリアプランを明確に描くことが重要です。

そこで、ご自身が目指す業界や職種に特化した転職エージェントに相談して自己分析を行い、ご自身の特徴や強みをしっかりと理解してから就職や転職活動を行いましょう。

信頼のできる転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進められれば、就職や転職に関する悩みを解消できるだけでなく、自己分析やヒアリングを通して、自分の向いている本当の職種に気付けるかもしれません。

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