土木施工管理がきついと言われる5つの理由!実情とやりがいも解説
建設 働き方やキャリア 転職 施工管理土木施工管理技士の仕事は、とにかく「きつい」「辛い」というイメージを抱いている方が多いかと思います。特にこれから転職を考えている方は、不安に感じているのではないでしょうか?
すでに土木施工管理技士として働かれている方のなかにも、仕事量の多さに不満を抱えている人もいるかもしれません。確かに土木施工管理は仕事量が多く厳しい環境と言われています。
しかし、その一方で多くのやりがいがあることも事実です。また、実はいくつかのポイントを抑えればきつくない会社で働くことも可能です。
この記事では土木施工管理技士がきついと言われる理由から、その実情、そしてきつくない職場で働く方法を解説します。これから土木施工管理技士を目指す方はもちろん、今の職場環境を変えたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
土木施工管理技士がきついと言われる5つの理由
まずは土木施工管理がきついと言われる理由でよくあるものを5つ紹介します。
①残業が多く休日が少ないから
施工管理技士は残業が多くなりがちな仕事です。業務の性質上、工期に対する現場の進み具合などによっては残業をする必要も出てくるため、大きく労働時間が異なります。
また、業界自体の人手不足や、思わぬ事故の発生や設計ミスなど個人ではどうにもできない理由により、残業や休日出勤せざるを得ない状況になることもあるため、働く時間が長くなってしまうこともあります。さらには近年解消されつつあるものの、業界の古い慣習や勤怠管理を行なわない会社が少なくないというのも、土木施工管理がきついと言われる原因になっています。
②人間関係に気を遣うから
人間関係から来るストレスはどの職場にいても問題になってきますが、なかでも土木施工管理技士は人間関係のストレスを感じやすい職業となっています。なぜなら、現場の管理を一括して行なうため、気難しい方も少なくない職人を相手に指示を出す必要があるからです。
また、元請けや下請け、施主にも気を遣わなければいけません。建築業界の場合、昔に比べれば少なくなっているものの、会社によってはパワハラやセクハラなどもいまだになくなっていないというのが現状です。
また、工期もギリギリのことが多く、上の人から下の人まで余裕がないため、気を遣うというのが難しく、きつい言葉をかけられることもあります。さらには出張、転勤などで人間関係がリセットされることもあり得ます。
上述のようなことから、施工管理技士は人間関係のストレスが多くなりがちです。
③転勤・出張が多いから
建設業界の特徴として、転勤や出張がどうしても多くなりがちなのも建設業界の特徴です。なぜなら基本的に建設業は工事が始まってから完成させるまでが一つの仕事になるからです。
そのためデスクワークとは異なり、勤務地は仕事が終わったら次の現場、その次と、どんどん移動していくことになります。もちろん施工管理技士も現場の管理を行なうため、工期が終わればもちろんこのように現場を移っていくことになり、結果として転勤や出張が多くなります。
基本的に建設業は工事が始まってから完成させるまでが仕事になります。特に広範囲で仕事を受ける大きな企業になればなるほど、転勤や出張の頻度は増え、工事の内容によっては年単位となることもあります。
お金をかけずに色々なところへ行けると考えればいいかもしれませんが、多くの人がきついと考えるでしょう。
④書類作業が多く、責任が大きいから
現場での作業だけでなく、事務手続きも施工管理技士の仕事です。特に土木施工管理技士が取扱う工事は書類も多く、また、責任も大きいため、相当なストレスを感じる方もいます。
なぜなら、土木施工管理技士は公共事業を中心に請け負うことが多く、このなかにはトンネル、鉄道、ダムなど大がかりなものも含まれているからです。こうした公共事業を中心に請け負うことが多いので、書類も多くまた責任も大きいため、相当なストレスを感じる方もいます。
現場では工期までに間に合わせ、その上で安全に工事を終わらせるというプレッシャーを感じながら業務を行ないます。そして、その疲れた状態で今度は事務所で書類を期日までに決まり通り、もれなく作成する必要があったりというように、書類作業が多く責任が大きいのもきついと言われる要因の一つになっています。
⑤体力的にきついから
施工管理技士でも力仕事をする場面があります。主な仕事は現場の管理であるとはいえ、現場にいる以上は職人の作業の手伝いのため、重い荷物を持つことが必要になる場合があるからです。
また、休日出勤が多いというのも要因の一つです。というのも基本的に職人は昔の風潮から、土曜日出勤は当たり前だったり、給料が減るのを嫌がって、休日出勤をするという人も多く、現場に出てきます。
施工管理技士の仕事は現場で工事の管理を行なう必要があるので、職人が仕事をする時は一緒に現場に出る必要があります。こうしたきつい現場での作業が終わっても、さらに事務所などで事務作業をする必要があるので体力的にきついと感じることも多いでしょう。
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土木施工管理技士として働く魅力とは?
きついといわれがちな土木施工管理でも、働く人がいるのは事実です。土木施工管理として働く方はどこに魅力を感じているのでしょうか?
ここでは意外と知られていない土木施工管理技士の魅力を紹介します。
土木施工管理はやりがいある仕事
土木施工管理技士はやりがいのある仕事だと断言できます。上述の通りもちろんきついこともありますが、そのぶん事故などがなく、無事に工事を完成させればやりがいを感じることは間違いないでしょう。
特に土木施工管理技士は公共事業に携わることも多いので、世の中の為になっているという実感が湧きます。また、気難しい職人たちとも上手くコミュニケーションをとり、多くの人と関わり合いながら一つの工事を完成させるという点で、他の職業にはないやりがいを感じる方も多いようです。
携わる工事は完成まで何年もかかるものもあり、それだけ大きな仕事をさまざまな困難を乗り越えながら完成させていくことは、土木施工管理技士ならではのやりがいと言えるでしょう。
比較的高い給料を得られる
他の職種と比べて高い給料を得られるのも土木施工管理の魅力です。土木施工管理技士の給料は資格や勤続年数によっても異なりますが、全年代の平均の年収は全業種の平均と比べやや高く、約480万円となっています。
また、経験を積むことで1級の資格を取得できるようになれば年収はさらに上がり、40代後半から50代前半の平均年収が最も高く650万円程度となります。土木施工管理技士の給料は資格によっても異なりますが、平均の年収は全業種の平均と比べやや高いものとなっています。
このように平均年収が高くなる理由としては、建築業界自体の平均年収が高いことや上記のように公共事業が多いこと、また、資格が必要になるからです。また、残業や休日出勤も多いため、しっかりと残業代を出してくれる会社であればかなりの収入を見込めます。
さらに会社によっては長期の出張になると、昼食代などが支給されるところもあるので、実際に働くときには注意して見るといいでしょう。
転職市場で引く手あまたなので将来有望
現状、建設業界は他の業界と比べても少子高齢化が進み、厚生労働省の統計では有効求人倍率が4倍を超えるなど、深刻な人手不足となっています。施工管理技士も当然高齢化が進んでおり、引退や他業種の転職などによって減少するペースが、新規資格取得のペースを上回っているため、どの会社でも施工管理技士を必要としています。
その施工管理技士不足は深刻であり、国としてもこの問題の解消のため2017年からは2級土木施工管理技士の資格試験を1回から2回に増やしています。
参考:全国建設研修センター
このように深刻な人手不足のなかで、もし施工管理技士の資格を持っていれば、就職、転職先には困らない状態となっています。
土木施工管理技士に向いている人と向いていない人の特徴
ここからは土木施工管理を行なうにあたって、向いている方とそうではない方の特徴を理由とともにご紹介します。土木施工管理を目指すか悩んでいる方は参考にしてみてください。
土木施工管理技士に向いている人
土木施工管理に向いている人の特徴は以下の通りです。
- ①もの作りが好きな人
- ②先を見据えて計画が立てられる人
- ③他人とコミュニケーションをとるのが苦にならない人
- ④色々なところへ行くのが好きな人
土木施行管理は公共事業に携わり多くの人の役に立てるので、もの作りが好きな人には絶好の仕事です。
仕事をする上では、計画性とコミュニケーション能力は欠かせません。なぜなら工期までに安全に仕事を終わらせるために残りの期間と、現在の進行具合から適切な指示を出す必要があるからです。
さらに、元請けや下請け、施主、そして職人など上から下までさまざまな人と連携しながら工事を完成させる必要もがあるからです。④に関しては特性上、大きな企業になるほど全国各地へ出張するため、業務後に各地の美味しいものが食べられたりすることもあるので、知らない土地に行くのが好きな人にはもってこいでしょう。
土木施工管理技士に向いていない人
一方、以下に当てはまる方は、土木施工管理技士には向いていないかもしれません。
- ①何でも一人でやりがちな人
- ②マルチタスクが苦手な人
- ③タバコのにおいが苦手な人
- ④体力に自信がない人
土木施工管理はさまざまな人と現場で適切な連携・協力しながら、同時に色々なことを考えながら仕事をする必要があります。そのため一人で仕事をするのが得意な方にはあまり向かないかもしれません。
また、施工管理の仕事においては大きく4つの管理をする必要がありますが、それぞれに多くの人が関わっており、一つでも怠ると工期に間に合わなくなることもあります。そのため同時に多くのことをするのが苦手な人にとっては大変な仕事になります。
現場で働く時の注意点としては、建築業界に従事する方へのアンケートでは半数以上が喫煙するといったデータもあり、現場には喫煙所がないことも多いので、煙が苦手な人にとっては少しハードルとなるかもしれません。
体力的な面でも実際に作業をすることは少ないですが、外の現場にいて指示をする必要があり、業務時間も長いため、かなりの体力を使う仕事です。そのため体力に自信がない人は注意が必要です。
土木施工管理技士としてきつくない会社で働くためのチェックポイント
ここまでは土木施工管理技士がきついといわれる理由や、向き不向きについて解説してきました。そのことを踏まえて、これから土木施工管理技士になりたい人や、現在の職場からの転職を考えている方に向けて、心身ともに負担の少ない職場を選ぶために注意するべきポイントを紹介していきます。
新人教育体制が整っているか?
第一に、新人教育体制に力を入れている会社かどうか?をチェックしてください。建設業界は古くから長く続いてきた業界であるが故に現在、施工管理技士として勤めている方々は先輩の姿を現場で見て学ぶといった教育方法が多くとられてきました。
そうしたイメージから新たにこの職に就いた後に上手くやっていけず、仕事が辛くなると考える人もいるかもしれません。しかしながら現在は深刻な人手不足から脱却するため、教育の制度が充実している会社が増えてきています。
では、どうやって新人教育体制の充実度をチェックすればいいのでしょうか?とはいえ見分けるのは難しいと思うのですが、実は外国人人材の採用比率を見ることで教育が充実している会社を見つけることができます。
なぜならこのような会社は研修制度が充実しており人手不足解消に熱心であるというのがわかるからです。ぜひ注目してみてください。
休日出勤・残業が少ないかどうか?
建設業界はもともと残業や休日出勤が多いと言われており、施工管理技士は業務上、残業することが増えるため、この点に注目するのは非常に重要です。国土交通省によって2024年から建設業の時間外労働時間の規制が設けられるため、会社によってはこれらが少なくなるよう業務の効率化など早めの対策を打っているところもあります。
就職や転職の際にはよく注目してみてください。
有給取得率が高いか
他業種を選ぶ際にも重要になる有給取得率。特に建設業界は業務上、有給が取りづらいこともあります。しかし逆にいえば、そのようななかでも社員に対してしっかりと有給を取らせている会社ということは、会社が社員のワークライフバランスを考えているという意思表示にもなります。
疲れやすい施工管理技士という仕事をする上で、どれだけ多くの休みが取れるかというのは重要なポイントになってきます。
社員定着率が高いか?
これもその会社がどれだけ過酷なのかという一つの指標になります。全ての業界で言えることですが、年収がたくさんもらえる企業であっても、多くの社員が5年程度で辞めてしまうという場合、業務内容が非常に過酷であると判断できます。
離職率の高さは業務の過酷さと比例するというのは建設業界も例外ではありません。もしそのような会社で働いた場合、自分もすぐにその会社を辞めることになるでしょう。
きつい会社を避けるためには社員の定着率にしっかり目を向けてください。
企業の規模だけでなく財務が安定しているか?
規模が大きい会社は出張などが多いことは上述の通りですが、では逆に規模が小さい企業を選べばきつくないということなのでしょうか?実際にはそうではありません。
企業を選ぶ際には、その財務体質にも注目する必要があります。負債が多く、経営が不安定な会社は無理な工期の仕事などでも受けざるを得ない場合があります。
そうなると現場の作業はギリギリのなかで行なうことになり、自ずと残業や休日出勤が増えることになりますし、そもそも普通の業務自体がピリついたハードなものになります。経営の安定した大きい会社でも部署によっては出張が少ないところなどがあったり、小さい会社でも経営が安定していれば余裕のある工事を会社に合ったペースで受けることができるので、負担も軽減されます。
建設DXが推進されているか?
積極的なBIM、CIMの利用や施工管理アプリなどの利用を積極的に行なっている会社も一つの目安になります。BIM,CIMとは3次元モデルを活用して設計や施工管理などの各段階で情報共有ができるもので、これを利用することで施工管理が効率化されたり、設計の変更などもスムーズに共有されるため、業務の負担が軽減されます。
また、アプリなども同様に、施工管理技士が行なうマルチタスク業務をよりやりやすいものにしてくれるので、積極的に取り入れている会社は業務効率化に力を入れているということになります。
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現役土木施工管理技士が今よりきつくない環境で働くには?
ここまではこれから土木施工管理技士として働く方に向けた内容でしたが、ここからは現役の方が転職する際のポイントをご紹介します。
土木の資格・スキルのレベルアップをはかる
下の2つとも関連しますが、資格の取得やスキルアップは自分ができる仕事の幅をより広くしてくれます。たとえば今は2級施工管理技士の資格を持っている人でも、1級を取得することで、監理技術者になれたり、企業の経営規模評価を大きくすることができるので転職に有利になったりします。
また現場での経験を重ね、スキルアップをしていくことで工事をより効率的に終わらせることができ、結果的に残業を減らせたり、休日出勤をする必要がなくなります。
転職をする
今の労働環境がきつく、続けられるか不安といった方は思い切って転職を検討して大きく環境を変えるのも一つの手段です。現在、下請けなどで働いている方は、もしかすると元請けや施主側、またはコンサル系の仕事に転職することで負担を軽減することができるかもしれません。
また、その際には育成がしっかりしている「ユースエール認定企業」を選べば、転職後も安心して業務に取りかかることができます。しかし、今の仕事をしながらより良い転職先を探すのはなかなか難しい場合もあると思うので一度、転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
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雇用形態を変える
現在、土木施工管理技士として働いている方のなかには、正社員が多いかもしれません。正社員の場合、現場では重要なポジションで働くことができ、給料や雇用が安定しているというのがメリットとしてあるかと思います。
しかし、時にやりたくない仕事もあったり、重要なポジションであるが故に責任の重さがつらいなどといったこともあります。そのような場合には派遣社員として働くことで、現在の悩みを解消することができるかもしれません。
派遣社員は自分である程度仕事が選べるので、ご自身がきついと感じるような現場や工種は避けることができます。また、派遣社員としての契約がある以上、サービス残業などをさせられる心配はないので、その点でも負担は軽減されます。
しかしながら法律上、主任技術者や監理技術者になれなかったり、雇用が正社員と比べるとどうしても安定しないことがあるので、しっかり検討する必要はあるでしょう。人によってはデメリットになるかもしれません。
また、近年では施工管理技士の需要の拡大から、フリーランスで働く方も増えています。かなり自由に働くことができるので、そちらも視野に入れていくといいかと思います。
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土木建設業界の労働環境は今後変わるのか?
紹介した通り、きついと感じる方も多い土木施工管理技士ではありますが、近年では働き方改革が進んできており、建設業界の古い慣習も変わらざるを得ない状況になってきています。現在では最大で月当り150時間もの残業がある会社などもありますが、労働基準法改正により2024年からは建設業界にも月40時間の残業上限規制が設けられるなど、大きく環境が変わりつつあります。
また、人手不足も深刻化しているので、多くの会社が働き手を確保しようと労働環境を良くしたり、外国人材の積極的な確保や育成を充実させたりすることで、この問題を解消しようと努力している状況です。さらにはフリーランスという新たな働き方も生まれてきているので、労働環境はこれからどんどん改善されていくことでしょう。
もともと給与は高く将来性もある業界ですので、土木施工管理技士の仕事が環境的にきつい、きつそうだ、という理由で悩んでいる方は一度、転職エージェントに相談してみましょう。
まとめ
今回は土木施工管理技士を目指している方や、今の職場環境を変えたいと感じている方に向けて、きついといわれる理由や、きつくならない方法などについてご紹介しました。
土木施工管理技士は決して楽な仕事とは言えませんが、大きな工事を取り扱うことも多いぶん、工事を無事に終えることができた時の達成感は何ものにも代えがたいものがあります。
この記事を読んで向いていると感じた方にとっては、やりがいも感じることができて、収入もいいので目指してみる価値は大いにあるでしょう。
また現在、土木施工管理技士として働くなかできつい、向いていないと感じる方であっても、その原因が職場の人間関係や労働環境にある場合、転職をすることで解決される場合もあります。
なるべく負担の少ない会社で土木施工管理技士として働きたい人や、今の職場に不満を感じている土木施工管理技士の方はワークライフバランスを重視した就職・転職エージェントに一度、相談してみてください。
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